武器の充実
次にフィリに聞くと、
「私は弓を使います」
「矢は必要ないのか?」
「魔法で矢を生み出して打ち込む品ですから」
との事だった。
これで武器を持っていないのはと思ってレイナを見る。
姫騎士というからには、
「やっぱり剣か?」
「わ、私にも武器を?」
「でないと危険だからな。愛用の武器は落としたんだろう?」
見た感じではまっている風ではなかったので俺が聞くと、彼女は頷いた。
もっとも、戦闘の際にその剣は折れてしまったらしい。
なので重剣と呼ばれる厚みのある剣でいいかと聞くと、
「そうです、それが私の得意な武器です」
「結構力があるんだな」
「身体強化してしまえば問題はありませんから。あのでは……」
「強力な武器が多いので貸すだけです」
「そ、それだけでもありがたいです。それに魔王城の武器は一級品が多いと聞きます。とても楽しみです」
そう頬を赤らめながらレイナは言う。
そう言えば魔王の城の武器は強力だという話があったなと俺は思い出した。
また、それから剣を探し出しレイナに渡す。
なんでも、どんなものでも貫けぬ物はない重剣(誇大広告)であるらしい。
矛ではなく剣なのが少し残念だ。
この説明だと、無敵の“盾”のようなものもありそうだなと思ったら。どんなものでも貫けない盾(誇大広告)というものがあった。
折角だからこれとセットでレイナに渡してしまおうと思って、その二つを私説明をする。と、
「この剣で盾を攻撃するとどうなるんだろう」
「誇大広告らしいからどっちかが壊れるんだろうなという気がするので、止めてください」
「分かりました」
との事で、矛盾を回避した俺。
次は俺自身の武器だが、
「やっぱり魔王が剣を持って戦う、というより杖だよな。遠距離からの攻撃がいいよな」
そう思って調べて出てきたのはふるだけでランダムに魔法が出るという杖だった。
一振りすれば、一瞬にして周りは焦土化するであろう(当社比)、とかなんとか。
というか、当社比って何だという気がしたが、よく分からない説明がついているのは俺のせいでもあるかもしれないので、黙っていることにした。
こうして武器を一通り集めた俺達は、次は防具を……と思って探す。と、
「わ、私は以前ヒロに頂いた髪飾りがありますので」
「あ~、そういえばそんなものもあったな。じゃあそれでいいか?」
「……はい」
「よし、他の人達の分も大量に防具を……、防御の腕輪セットがあるからこれでいいかな」
そう呟いてそれを取り出す。
ごつい防具の類、つまり甲冑などは見当たらないのでこれでいいだろうと思って出した。
軽量で使いやすいそれを見ながら俺は、他に何かいいのがないかと思ってみていくと、甲冑などではなく、防弾チョッキのような物や、変身スーツという名の軽量な被り物が出てくる。
こういったものはどうだろうと思って俺が期待に胸を高鳴らせながら触れようとした所で、フィリに俺は手を捕まれた。
何故、と思ってフィリを見るとフィリはジト目で俺を見て、
「またエロい何かを取り出そうとしましたね。許しません」
「べ、別にそれは……」
「さあ、作戦を立てましょう。先ほどまで話し合った内容を、ヒロにも説明します」
そう、フィリは俺に言ったのだった。