ゲームのような
こうしてフィリに言われて、俺達は宝物庫にまず向かう事に。
ただその前に俺はフィリに、何度も何度も注意を受けた。
「いいですか、ヒロ。今は緊急事態です。ですからこの前の時のように、えお道具ばっかり探してくるのではありませんよ? いいですね」
「そんな念を押さなくても分かっているさ。ここまで信用無いとは、俺は悲しい」
「いえ、やはり念には念をと。そして真っ先に探すのは、どんな魔道具だったか覚えていますか?」
「確か治療だったり魔力回復だったりといった魔道具か。勇者イズキを救出したらすぐに治療できるようにしないといけないからな」
「それもありますが、怪我をした時、ヒロ、貴方もその魔道具を使う事になるのですよ?」
「そうだな、それもある。フィリ達が怪我した時も直さないといけないし。でも、よくよく考えてみたんだが、その勇者イズキだけでも先に回収できないかな」
俺がちょっとした思い付きで言ってみたがフィリが首を振り、
「どうやって? 転移魔法を使ってあそこの空間を繋げるのですか? 勇者イズキを一緒に連れてきている時点で、そこと繋いだら、敵も一緒にこちらに来ますよ」
「何かいい方法がないかな。……敵が俺達の結界前に来て、勇者イズキを後ろの方において、一斉に攻撃してくれるような状況にもっていくか?」
「……上手く唆してそう言った状況を作ると。確かにそれも手といえば手ですね。いい方法です。案のうちの一つに入れておきましょう。と、宝物庫に着きましたね」
そこで俺達は宝物庫の前にやってくる。
またあの宝の山から探さないといけないのかと思いながら、
「何か効率のいい取り出し方がないかな。せめてこの宝物庫の中身一覧は出てこないのか?」
俺はそう呟いた。
呟いただけだった。
と、目の前に低重音がして、光の窓が現れる。
右横のバーに軽く触れると、その一覧の文字を見ていくことが出来るようだ。
そしてそのうちの一つの武器に軽く指を触れると、その文字の下に説明文と小さな形状の絵が現れる。
とてもゲームの説明画面のような作りだなと俺は思いながら、更にその武器の名前の所を触れると、何処からともなく武器が現れた。
どうやらここにある一覧に触れると武器を目の前に出すことも可能なようだ。
「便利な技だな。よし、このまま皆の所に行って、そこで俺は必要そうなものを探してこよう」
俺がそう言うとフィリが疲れたように、またわけの分からないような魔法をと呟いている。
そしてサクラ達がいる場所に一時的に戻り、事情を話して、サクラ達も協力してくれることになった。
フィリが中心となり作戦を立てるらしい。
その間俺が何をするかというと、まずは治療系の魔道具。
他には武器類。
防御に良い道具を探す事だった。
それらを延々と一人で探していた俺だが、いろいろ議論している女の子たちを見ているとその中に入りたい気もした。
けれどその前に道具を呼び出さないとと思いながら、どうにか治療系の魔道具を二つ、ようやく見つけたのだった。