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自己防衛本能に基づき

 こうしてどうにか、彼女達の部屋に紐のような服がおかれていたという事案についての釈明を俺は行えた。

 ただ、フィリの場合は昨日購入した服があるからいいものの、シエラの方はどうしようかと俺は考えて、


「シエラは後でまた街に行って服でも買いに行くか? 着替えの服も必要だろうし」

「あ、私は旅の途中でいくつか購入していますから大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


 微笑むシエラだがそういえばと俺は思い出す。


「フィリは荷物はどうしたんだ?」

「……私の荷物はほとんどが燃えてしまったのと、ヒロという魔王を呼び出すための媒体にしてしまいましたので」


 そこまで聞いた俺は唐突に気づいてしまった。

 つまり俺を呼び出すためにフィリの服が……等と俺が邪推をしていると、フィリに俺は睨まれた。


「ヒロ、怒らないから今考えたことを口に出しなさい」

「……俺を呼び出すための変わった魔道具をいつも持ち歩いていたのか? と思っただけです。はい、それ以外は特に何も考えていません」


 俺はとっさに自己防衛本能に基づきそう答えた。

 けれどフィリは俺を冷たい眼差しでしばらく見つめてくる。

 気づかれたか、そう俺が警戒しているとそこで、フィリが首を振り、


「まだまだですね。ヒロがエロいことを言い出しそうな顔になったのでまた、と思ったのですが気のせいだったようです。もっと上手くヒロの心を読み解き、そして、歴史上、最凶最悪の魔王として名を世界にとどろかすような存在にしなければ」


 フィリはぶつぶつ何かを呟きながらそのような事を言ってくる。

 ふむ、俺はそんな有名な存在にしたいのか~、と俺は思いながらも世界征服はあまり好きではなかったので、その辺りはナデポ以外の方法で何とかする……そう、新たな技を開発する必要性に迫られていると感じた。

 と、そこでフィリが、


「お姉様が私を守るために下さった首飾りを使いました。お姉様は温厚ですが魔王でしたので、宝物庫には強い力を持つ道具が沢山ありましたから」

「あー、うん、そっか」


 俺はそれ以上聞くのもはばかられて、誤魔化した。

 そのフィリが姉をしたっていた魔王は、おそらくはもう……。

 だからあまり聞くべき内容ではないだろうと思って話を止めようと思っているとフィリが、


「人間と勇者に騙されて、私だけでも逃げてとお姉様は私を転送した……。私は最後までこの命が続く限り、お姉様を守ろうと思って、戦いますって言ったのにお姉様は、『私にとってもフィリは私の命全てをかけて守りたいくらい大切な存在よ。血はつながっていなくても大切な妹には変わらないわ』って、頭を撫でて、そして……」

「も、もういい。ほら」


 悔しそうにいいだしたフィリの頭を撫でると、フィリはホワンとした顔になる。

 もしかしたならこうやって撫でると、フィリは自分の大切だった“姉”を思い出すのかもしれない。

 でも、ここまでちょろい感じだとナデポの効果も強そうな気がするな、と俺が思っているとそこでシエラが、


「仲がよろしい所申し訳ありませんが、そろそろ朝食を作りたいと思うのですが、調理場に案内していただけないでしょうか」


 そう言ったのだった。


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