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城への帰還

 こうしてフィリを上手く騙し……ではなく言いくるめ……ではなく説得した俺は、これからどうしようかと思った。

 まず考えたのはシエラの処遇だ。


「呪いをかけられたり魔王に狙われているんだったら、桜は勇者だからそちらの方にいた方がいいか? 人間同士の方が居心地がいいし安全だし」

「そう? どうするシエラちゃん、民間人の保護も私達勇者が請け負っているけれど」


 桜に話を振るとシエラは少し考えてから俺の方を見て、


「あの……えっと、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」

「ヒロユキです。ヒロと皆からは呼ばれています」

「ではヒロ様、私はヒロ様の傍に置いていただけないでしょうか」


 と、シエラは言ってきた。

 俺としては別にかまわなかったのだが、そこでフィリが、


「人間ごと気が魔王の傍に居られると思っているのですか!」

「え、えっと、駄目、でしょうか? 呪いを解いた恩返しをしたいと思ったのですが」

「恩返し、人間ごときが何をできると?」

「父が王宮で料理をしていたのと、母もとある貴族でお菓子作りをしていた関係で、料理とお菓子関係は大抵の物は作れます。この呪いを受けてからそれを披露する機会はありませんでしたが、恩返しとしてそれを楽しんで頂ければと思います」


 シエラがそう言うと、フィリは迷ったようだった。

 美味しいものには目が無いようだったので、これは、フィリには効果的だったのかもしれない。

 そう思っていると更にシエラは、


「それにこう見えても食材を取ってくる関係で、刃物の扱いも長けているのですよ。戦闘員としても、お力になれると思います。魔法はそこまで得意ではないですが、料理には困らない程度に使えます。え、えっとですので……その、そばに置いていただけないでしょうか?」


 シエラはそう言って上目遣いで俺を見る。

 美少女のこの状態は反則だと俺は思う。

 だが、食事はとらなくてもいいとはいえ美味しいものは美味しい。

 

 だったらこの世界の料理を楽しみたいと思うのは間違いない。

 そう俺は思って頷き、


「分かった、シエラは俺達と一緒に来てもらうというか保護する」

「そうなんだ~、まあ、ヒロなら安心かも。さて、私達も帰りましょうか姫」


 桜が俺の言葉に呟き姫と呼んだ少女を連れて、この場から去っていく。

 こうして、町に出て早々ひどい目に遭った俺の出来事は終了し、転移魔法を使って移動してから、魔王城を呼び出す。

 次に決めたのは、


「俺達の部屋だな。広すぎて、何処に住んでいるのか分からなくなりそうだから、近くの部屋に設定しよう」


 と俺が言うと特に異存はないようだった。

 またフィリはシエラがまだ信用できないとも言っていた。

 これからゆっくり時間をかけて信頼をかち取ればいいと俺は答えて、部屋に向かう。


 設定を探した時の部屋よりも上なのでこの辺りは俺達はまだ知らない。

 そして上の方の階で見つけた俺の部屋らしき場所は、魔王の部屋と書かれたこれだろう。

 扉を開けて中をのぞくと、骸骨が飾られたりするのかと思ったがそんな事はなく、普通に高級そうな部屋だった。


 またその隣には、姫の部屋と書かれていて、


「フィリとシエラはこの部屋かな。どんな部屋なんだ?」

「さあ、私も見ていませんから知りません。開けてみましょう」


 そう言って開くとお姫様が死んでいそうな部屋が現れた。

 天蓋付きのベッドなど、何処からどう見てもそんな雰囲気だ。

 フィリは絶句していたが。


「あ、可愛い部屋だな。じゃあ二人とも、俺は先に寝るから」


 俺はそう言って文句を言われる前に魔王の部屋に入り、鍵をかけた。

 扉の外でフィリが何かを叫んでいたが俺は放置して、


「ふう、疲れた。寝るか」


 自棄に大変だった今日一日を思い出しながら、ベッドに向かったのだった。


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