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新たな敵が増加中

 姫、と桜が俺の傍にいる少年に話しかけた。

 だが、姫? と思っているとそこで桜がさらに、


「男性の恰好をして別荘から逃げ出したって聞いていましたが、どうしてこんな場所に?」

「……王族たるもの自分で領地の内情を、自身の目で見極めるのは当然の事です。別にちょっと自由にお散歩したかったからというわけではありません」


 そう、姫と呼ばれた少年が桜に言い訳している。

 なかなか活動的なお姫様だなと思っているとそこで姫が桜に、


「でも奴隷制度が廃止になったなんて……知りませんでした」

「三日前に私がお願いして止めさせたからね。姫様は別荘に居ましたしね。……まだ混乱しているのでしょうけれど、それでも堂々と同じ場所で販売しようとするのがいるとは思わなかったわ」

「だから、でしょうか」

「? 何が?」

「桜のお知り合いらしいこの方たちは、この奴隷市場を見に来た時に捕まって、奴隷にされかけたらしいです」

「え、捕まっちゃったの? 油断しすぎじゃない? ヒロ」


 目を瞬かせてからおかしそうに笑って、桜が俺にそう言う。

 だが俺としても、


「いきなり頭に衝撃を感じたんだぞ! どう反応しろと!? 奇襲を受けたらだれだって対応できない!」

「私なら背後から襲われても大丈夫よ。しかもフィリちゃんも捕まったみたいだし……ちょっと不用心過ぎるわよ」

「そんなこと言ってもまさかこんなことになるとは思わないだろう」

「まさかが命とりなのがこの世界。やっぱりヒロは逆ハーレム要員として強制的に連れて帰ろうかしら」

「だからなんで俺が逆ハーレム要員なんだよ……って」


 そこで俺は、新たにこちらに向かって集まってくる男達を見た。

 服装等から察するに、騎士団ではなさそうだ。

 むしろ、新たな増援であると言われた方がしっくりくる様相だった。


 だが、増援の人物達ではなかったらしい。

 彼らは集団で俺達の前にやってくると、その集団の親玉であるらしいひげもじゃの男が、


「奴隷売買に失敗したという話は本当のようだな。しかも勇者サクラまでいるとはな……。前から、勇者サクラにはいろいろとお礼をしてやりたいと思っていたんだ」

「……うわ~、面倒くさい」

「そうは言わずにな? 日頃煮え湯を飲まされた俺達の反撃の機会が、ようやく俺達にも巡って来たんだからな!」

「そうなんだ~、それで、他には?」

「お前を倒すか奴隷にして、そしてここにある奴隷という名の商品もかすめ取る予定だ。なに、やられた方が悪いんだよ」


 そう下卑た笑いを浮かべる彼等。

 また新たな悪人が現れたが、桜に相当恨みを持っているようだなと観察する。

 というか桜はこの世界で正義の味方のようなことをしているから悪人に恨みを買っているんだろうなと俺は思った。


 そこで目の前のひげもじゃ男が何かを取り出した。

 小さなトンカチのようなものが現れたと思うと、それが巨大化して地面に突き刺さる。

 その柄の部分をそのひげもじゃの男が握りしめて。


「“炎竜の槌”、魔王の宝物庫にある伝説の品だ。これを使えば勇者なんぞ、簡単に倒せるわ」

「わ~、こわーい。……ヒロ、ちょっとこのアホ、倒してくれない?」


 そう、俺は桜に話を振られたのだった。

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