檻が爆発
どうしてこうなった、と俺は言わざる負えない。
「どうしてこうなった、どうしてこうなった」
「兄ちゃん煩いぞ! 静かにしろ!」
「はい」
そこで番人のような、銀色の俺の背丈の半分もあるような大きな剣を持った武装した男に怒鳴られた。
ちなみにその人物は、俺と金属製の魔力のかかった棒の格子を隔てて反対側にいる。
さらに付け加えるならば、現在俺は檻の中にいた。
なんでもこれから、俺は男なので労働力として売り払われかかっているらしい。
どうしてこうなったのか、と思わざる負えない。
人間の醜悪さを見せましょうと言ってフィリに連れてこられた俺だが、ご工夫痛の村人がうろうろしていたがために、丁度いい、追加の商品にしてしまえといった適当な理由でこのような事態に俺達は陥った。
そして一緒に居たフェリは女性専用の檻に放り込まれているはずだった。
フェリは強そうだったが、やはり不意打ちには弱かったのだろう。
かくいう俺も、気づいたら意識を失ってここにいたわけだが。
「どうするかな。まずはこの檻の破壊からか? 周りに被害を出さないようにとなると、とかした方がいいか。それに持っていた荷物も取り返さないと。そこには服だけ攻撃する道具もあるしな」
男のストリップショー何て少しも見たくないが、相手を傷つけずに無力化できるのは魅力的だ。
平和主義な魔王ってどうなんだろうなと思っているとそこで、俺の後ろの方でうつむいていた少年と目が合った。
他の全員は諦めたような顔をしているが、彼だけは違う。
俺よりも2~3歳したといったくらいの年齢の人物だったのだが、彼は俺と目が合うと何かを感じ取ったらしい。
そこそこ大きい猛獣でも買えそうな檻なのでとりあえずは番人のような男から少し離れた場所に移動し、その少年を手招きする。
やって来た彼は、茶色い髪に緑いろの瞳の普通の村人に見えたが、
「僕を呼んで何か御用ですか?」
「実はこの奴隷市場? の道に俺は詳しくなくて。それについて教えてもらえないか?」
「……この檻から逃げ出すという事でしょうか?」
「そうだ。これくらいの檻なら多分俺でも壊せる」
何せ最強魔王なのだ。
壊そうと思えば多分壊せるが、問題なのはその後だ。
ここにいる全員を安全な場所に移動させたい。
そうなってくるとこの奴隷市場の構造が分かっていないといけないのだが、すると少年が、
「分かりました。もし檻が破壊できたら僕が声を上げて皆さんを誘導します。あ、でもそこにいる番人みたいな人は……」
「俺の荷物があれば一発なんだけれどな。村人の持ち物ってどこにあるか分かるか?」
「……どこからか連れてこられたか方ではないのですか? 貴方は」
「いや、俺はここの奴隷市場を見に来させられたら、ただの村人か、商品にしてしまえと」
「そんな無茶な。それはルール違反……でも確かに僕も似たような感じではありましたね。……ひょっとしてここは、特に非合法な……」
そうぶつぶつと呟いている少年。
だがこの人物、もしや普通の少年ではないのでは……そう思っていた所で、フィリがいたはずの檻が爆発したのだった。
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