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行動的

 こうして俺達は旅立つ……ための準備を開始した。

 謎の異空間か何かにつながっていそうなリュックサックに、金貨を大量に詰め込む。


「そういえばこの世界の通貨はどうなっているんだ? 国と国同士で共通なのか?」

「……ええ硬貨は金属の価値、ですから。特に魔力を蓄積しやすい、纏いやすいといった金属の硬貨は高値で取引されています。その硬貨の場合は武器に転用できますし、逆に武器を硬貨にして持ち運ぶ場合もありますね。だから貴重な金属の使われた硬貨ほど高くなります」

「そうなのか。だったら軽くて持ち運びがしやすいからそういった硬貨をたくさん持っていくか?」


 そう俺は言う。

 何しろこの世界を旅するとなると武器などはあるが……とそこまで考えて俺は、


「あ、俺、何も食べなくてよかったのか。……でもこの世界の美味しいものは食べたいな。それにフィリは食べ物が必要だろう?」

「……一応は自然に満ちる魔力である程度何とかなります。元から私の場合は魔力が多いですし、それもあって食事はそこまで必要ありません」

「そうなのか? そうか……甘くて美味しいお菓子なんかも見て回りたかったが、フィリはそういったものは興味はないのか」


 どうやら食べ物に興味はないらしい。

 これが桜だったなら、速攻で食べに行くわよといって俺を引きずり回しそうだ。

 以前、他の友人数名とケーキバイキングに行った時は、あの細身の肉体のどこにケーキが入って消失していたのかの考察を真剣にしてみたが、結局その謎は解けなかった。


 そう思っているとフィリが何故か凍り付いたように固まり、俺の方を何か言いたげに見ている。

 聡い俺は速攻で、フィリが何を言いたいのかに気付いた。


「フィリ……お前は実は、ケーキとかふわふわした可愛くて甘いものが大好きだな!」

「な、何を言っているのですか。そんなわけないです」

「そうかな? ふむ、ちなみに俺はこの世界に詳しくない」

「……でしょうね、先ほど目覚めさせたばかりですから」

「だからどこに美味しいそういった菓子の店があるのかが分からない。いや~、困ったな。誰か案内してくれないかな」


 そう言いつつちらりとフィリを見ると、フィリが顔を赤くして震えながら、


「そ、それは私にその案内をしろと」

「あ、嫌なら別にいい。適当に人間の国にいってガイドブックを買って食べ歩くから」


 フィリが案内してくれなかったなら、当然そうなる。

 だからそう言ってみるとフィリが、


「ガイドブックなどという物ではなく、私の舌で確認した最高のお菓子のお店を紹介しましょう」

「お、よろしく」

「……この駄目魔王様の言うとおりになって癪ですが、美味しいものは好きですし」

「あ、ついでに美味しい食事処もよろしく」

「……し、仕方がありません。この駄目魔王様なヒロはこの世界に詳しくないですから。でも今の時期だと、“アブソープトの国”が良いかと」

「なるほど。所で地図か何かはあるか? 後方角も分かった方がいい」

「手持ちの地図があります」


 そう言ってフィリが出してきた紙の地図で場所を確認する。

 目的のお店に一番近くて、目立たない場所。


「“トララの森”がいいみたいだ。よし、ここにしよう」

「え? 今から行くのですか!?」

「思い立ったが吉日だしな、行くぞ!」


 というわけで特殊能力チートを使ってみる。

 楕円形の形で、宝物庫の中から緑の森が見えた。

 とりあえず俺はそちらに足を踏み出して入り込む。


 周り一面に森が広がっていて少し離れた場所に道が見える。

 大丈夫そうだと思いそこで俺は振り向き、


「フィリ、無事ついているみたいだから早く来い」

「……こういった所は、行動的なのですね」


 フィリがそう、疲れたように呟き、俺の作った空間と空間を繋げた場所を潜り抜けたのだった。 

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