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宝物庫の性質

 こうして杖を探すのを諦め、防御用の髪飾りを手に入れた俺。

 だが俺としても、自分の身を守る程度の道具は欲しかったので探す事にした。

 今回は杖ではなく、ちょっとしたものを切ったりするのに使えそうな、短剣の類だが、


「えーと、“紙吹雪の短剣”効果は、“敵(魔物)等は切り裂き抹殺できますし、木だって簡単に切れちゃう優れもの! でも、人間相手だと気絶する程度のダメージしか当てられないように制限付きなので、思いっきり使えるよ! でも、服や鎧は紙装甲になるから扱いは気を付けてね!”……つまり、この剣を使えば女の子の服だけ切り取れると」

「……このエロ魔王が、また妙な武器を見つけやがって」


 俺が短剣の効果を見ていると、背後に立ったフィリがそれらの鑑定内容を読んで、冷たく呟いた。

 だが俺としては反論もある。


「でも次々と殺していったらその時点でお尋ね者だし。間違って殺したら目立つだろうが」

「なるほど。ですが、外に出るわけではなく、ほぼ魔王城内部で返り討ちにするのでそういったものは必要ありませんね」

「え? 何を言っているんだ? 俺達旅に出るんだぞ」


 俺はフィリにそう告げた。

 全くこの魔王はというような疲れた顔でいたフィリが目を瞬かせて、俺を見た。

 この人は一体何を言っているんだろうというような顔だったが、俺としては、


「とりあえずこの前の桜との戦闘で俺は、この世界の状況を全く知らないという事に気付かされた」

「なるほど、それで」

「だから直接見て情報収集することにした。どうせ魔王なら、魔王として働くためにも現地の正確な情報を手に入れておくには越したことはないだろう」

「……一理あります。ですが……魔王と気づかれたなら、危険なのでは?」

「そこは気づかれないようにやるんだ。そして、俺の能力は“物理法則を操る”能力だから、おそらくは空間と空間を繋げることも可能だろうな」

「そう、なのですか?」

「まだ試していないから……今試すか。この金貨を、フィリの頭の上に送るっと」

「うみゃ!」


 そこで、10枚位の金貨をフィリの頭に送ってみる。

 結果は良好だった。

 どうやらこの力を使えば桜と同じような事が起こせるらしい。


 桜の技も覚えたしあれを参考にしておこうと俺は思いつつ、そこで球状の道具とリュックサックのような袋を見つける。

 試しに鑑定してみると、色々なものが大きさ関係なく入ったりする袋で、この球状の物は魔王城を丸っと閉じ込められる品らしい。


「うむ、俺の欲しいものが全部そろっているような宝物庫だな」

「それはそうですよ、ヒロという魔王の性格が反映されているわけですから。……変な武器やらなにやら……女の子にセクハラするために作られたような武器ばかりで……まてよ? こういった武器庫の性質は魔王の性格が影響するわけで、まさか」


 そこで衝撃の事実に気付いたかのようなフィリが俺を見たが、


「まあ、温厚な武器が一杯でよかったな」

「よくありません! そもそも武器に温厚って何なんですか! もっとこう、寿命を吸い取り強化されるような暗黒兵器みたいなそんなものはないのですか!?」

「でも俺、そういうのはいらないし。それよりも旅に出るから、フィリもよさそうなものを見繕った方がいいと思うぞ」

「……旅に出るのは決めたことなのですね。……確かに実際に見た方が早いでしょう。そうすれば……魔王を呼び出した私の気持ちも分かってくれるでしょうし」


 そう小さくフィリが付け加えたのだった。

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