杖を探してみたが
こうして俺は宝物庫で、俺専用の武器を探すことにした。
だが武器と言っても、
「やっぱり杖かな。魔王というと。というわけで杖を探した方がいいか」
といいつつ、杖を探す俺。
ちなみにフィリは、俺が脱線してエロ道具を探さないかを見はる係らしい。
丁度すぐそばにあった“鞭”のようなものを持って、俺を監視している。
そちらの嗜好は俺には無く、そろそろ痛いのも嫌なので真面目に探すことにした。
だが宝物庫というだけあって、大量の金貨に埋もれるように魔法の道具が隠れているので探すのが非常に大変だった。しかも、
「フィリ、この杖なんかはどうだ?」
「……さっきこういった魔法道具の鑑定の仕方は教えましたよね?」
「でも出てこないぞ?」
「……能力探査不可の魔法がかかっていますね」
「という事は、一回使ってみた方がいいのか? そうすればすぐに効果が分かるし」
と俺はフィリに聞いてみたが、フィリは少し黙ってから、
「魔王城にある物なのに魔王様に能力を見せようとしない、そういった武器はあまりよろしくないものかもしれません。無理やりにでも鑑定スキルを発動させてみてください、魔王様」
「分かった。それと魔王様じゃなくて、ヒロだ」
「……ヒロ」
「そうそう。よし、この杖の効果を強制的に開示っと。何々“TS(性転換の杖)、男を女の子(可愛くて美少女、ここ重要な)にします。これでいくらでも百合ハーレムが作れるようになるよ! この杖に触って魔力を通すだけのお手軽仕様だから、ぜひ試してみてね”……危なかった」
俺は戦慄を覚えながら小さく呟いた。
確かに俺は女の子は好きだが、女になりたいわけではない。
何て恐ろしい武器があるんだと俺が思っているとそれを見ていたフィリが、
「この杖、基本スペックだけは高いですね。……しかも一定期間だけで女体化は解けると。なるほど……」
「な、何がなるほどなんだ」
「いえ、こんな無害に近い道具なら選択肢としてはありかと」
「いやいやいや、ないから! 俺、女の子になんかなりたくない!」
「そうですか? ……その頭の中がそう言った欲望だらけなのでこういったものを選ぶのもいいかと思いましたが、残念です」
フィリがとても残念そうだったのが気になったが、とりあえずさらに探すも次々と呪われた道具が。
こちらは俺にうさ耳が生える魔法の杖らしい。
それを秘密にしてフィリに持たせたら、うさ耳が生えた。
「ふむ、可愛い」
「か、可愛い……ではなくて、なんてものを持たせるんですか!」
「あ、杖から手を離したら、耳が消えた」
どうやらそういった杖らしい。
そんな俗っぽい呪いのある杖しか見つからず結局は武器を俺は諦めることにした。
とりあえずこれからそれは手に入れようと思う。
代わりに、面白いものを見つけた。
星型の髪飾りで、宝石などがついた綺麗なものだ。
女の子が好きそうで、見ると、防御などに優れているらしい。
そこで気疲れしてしゃがみ込んでいたフィリに俺は、
「フィリ~」
「何ですか、ヒロ。私は今人生について真剣に悩んでいます」
「そうなのか。それでこれ、どうだ?」
「今度は何ですか……髪飾り?」
「フィリに似合いそうだから。つけてみたらどうだ? 呪いはなさそうだし」
けれど信用されないのか鑑定され、安心してからフィリが髪につける。と、
「ど、どうでしょう」
「可愛いと思うよ」
「そ、そうですか」
と、頬を赤らめながらフィリは微笑んだのだった。
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