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武器を探す

 こうして辛くも勇者との戦闘に勝利した俺。だが、


「ハーレム要員が引き分けと言って逃げて行ってしまった……」

「何を言っているんですかこの駄目魔王が」

「というのは冗談で、桜、強かったな。勇者ってあんなに強い物なのか?」


 と俺が、詳しいであろうフィリに聞く。

 だがその問いかけにフィリは呻くように沈黙してから、


「能力、使っている特殊能力チートは凶悪すぎて、“勇者”の中では特に強い方だとは思います。手慣れていますからね。ご友人という事もあって、手加減されていたようですが……」

「友人というよりは逆ハーレム要員じゃないのか? 幼馴染魔王属性をコンプリートしたいと言っていたし」

「……その時、幾つか付け加えていた言葉を覚えていますか?」

「? 桜、何か言っていたか?」


 何しろ、逆ハーレム要員と言われた時点で頭が真っ白になりかけた俺である。

 その後の言葉を幾つか聞き逃していても不思議ではない。

 だから俺はフィリに聞いてみたのだが、フィリは首を振るだけで、


「覚えていないのなら構いません。それで続きですが、そういった理由もあって今回は勝利で来ました。ですがこれからも同じ方法が通用するとは限りません。いえ、はっきりいって無理です」


 きっぱりと言い切られた俺だが、そこで俺は先ほどの桜の言葉を思い出す。


「魔王の城の宝物目当てで勇者たちも来るって本当か?」

「……ええ。魔力が強ければ、そこには貴重な宝が魔王がいる間は湧いてくるはずですから」

「湧いてくる?」

「ええ、魔力によって、正確には魔王の性質にもある程度左右されますが、魔力が強かれば強力な武器が存在するのです」

「なるほど。それって俺用の武器もあるのか?」

「それは……そういえば魔王の武器をどこから調達したかは聞いた事がありませんでしたね。やってきた勇者から奪ったとも聞いた事がありませんし。勇者達の場合はあらかじめ武器を持たされている場合もあるので、もっているのは説明がつきますね」

「なるほど、魔王独自の凄い武器とかも祖の宝物庫にはあると。……よし、早速それを手に入れよう」

「今度は何を企んでいるのですかと聞きたい所ですが、装備を整えるのは良い事ですね」

「ついでにフィリ用の良さそうな武器も一緒に探そう、どうだ?」


 そう聞くとフィリは少し迷った顔にになる。


「武器は、お姉様の……慕っていた魔王様の武器をまだ持っていますから、必要ありません」

「そうなのか。だったら防具とか、身を守るアクセサリーのような物があると良いかもしれないな。そちらを探そう」


 俺はそう答えるとフィリは不思議そうな顔になり、


「呼び出した魔王様、貴方の武器を使えとは言わないのですか?」

「? なんで? 使い慣れていた方がいいだろう? 大事な思い出の品みたいだし」

「そう……ですか。ありがとうございます」


 そこでフィリが嬉しそうに微笑む。

 よく分からないがなんだかいいことをした気がした俺は、そこで気づいた。


「そろそろ、魔王様って呼ばずに、ヒロって呼んでくれないか? 皆には俺、そう呼ばれていたんだ」

「ヒロ様、ですか?」

「呼び捨てがいい。俺もフィリって言っているし、その方が楽なんだ」

「……変な魔王様ですね。でもそういった所はお姉様に似ています」


 そう小さく笑ったフィリと一緒に俺は再び魔王場を散策すること数時間。

 ようやく宝物庫に辿り着いて、品物を探していくが、


「あ、この眼鏡、フィリの服が透けて……」

「だからどうしてそんな魔法道具ばかり真っ先に見つけるのですかぁあああああ!」


 と、怒ったフィリに再びフライパンで殴られてしまったのだった。

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