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この世界の決まり事

 手加減してくれと言う俺のお願いを幼馴染は聞いてくれなかった。

 本気で逆ハーレムとして、幼馴染魔王属性が欲しいらしい。


「く、だが俺だって絶対に負けない! ……炎を宙に存在させるならば、物理の法則的に空間自体を操作でこうして気体を化合させたりして、どうだ!」


 とりあえず目の前に5つの赤い炎を生み出して、


「よし、上手くいったぞ。さっきの仕返しだ、桜の服をを全部燃やしてやるぞ!」


 という邪な気持ちから炎を投げる。

 桜の方へと飛んでいく火の塊だがそこで、


「なるほど、物理法則の操作だから、大体すべての魔法に関してはどうにか出来てしまうと。なるほどね、最強な能力だわ。でも、能力があるだけでは残念ながら、私には勝てないのよね」


 そう言って桜は何かを呟き剣をふるう。

 一瞬にして生み出した炎はかき消された。

 俺の渾身の魔法がと思っているとそこで桜が、


「ヒロ、この世界に来たばかりだから、と言うのも分かるけれど、このままだと貴方“死ぬ”わよ」

「え?」

「ここに来たばかりの頃は私も何度か死にかけたけれど、周りに良い人達がいたおかげでどうにかなったし、私も期待に応えられるようになったけれど……この世界、化け物がうじゃうじゃいるのよ」

「え、えっと、えっと……」

「そして魔王は“敵”ではあるけれどこういった城みたいなものは手に入れたい。中には伝説の道具なんかもあるしね。特に魔王が強ければその品質はもっといい」

「あー、はい」

「つまりとても狙われやすくなるのよ。人間だけでなく配下になるだろう魔族からも、ね。利用しようと近づく者もいるでしょうし、それこそ今までの常識が通用しないかもしれない。私は運が良い事に周りの人が良い人達で助かったけれど」

「でも死にかけたんだろう?」

「危険な魔物とか、魔族とか、魔王とか、悪人とか、そういったものを倒さないといけないからどうしても危険が周りに近づいてきたりするの。でも私には、すでにヒロよりも力があって経験がある。どう? 私達の方に来ない? ……幼馴染だし心配なのもあるし。それに、そちらの子も一緒に保護してあげてもいいわよ?」


 保護と言われてフィリが、なっ!、と怒ったように声を上げていたが俺としては、


「逆ハーレム要員はお断りだ」

「残念ね。だったら力づくで連れて行くわ」

「どうだろうな、俺は今、いい方法を思いついた」

「そう、だったらやってみるといいわ」

「そうするよ」

 

 気軽に答えつつ俺は機会を待つ。

 先ほどの言葉には思う所もあるし桜は強い。

 それは事実だ。


 だったならやり方を変えるだけ、少なくとも俺は逆ハーレムだけは嫌だからな、と思っていた俺の頭上に多数の細いナイフのようなものが現れた。

 まるで魔法陣のように規則正しく列を組んだそれが転送してきて、俺のすぐそばに落ちて地面に突き刺さったかと思うと光り輝く。

 そして、ナイフ同士が線を結ぶように光を発して、


「! 動けない」

「拘束用の魔法よ。フィリちゃんにもやっちゃったからどっちも動けないわね。油断を利用させてもらったわ。それとも信頼かな……ごめんね。殺さないようにはするからそれだけは信じて、ね!」


 そこで桜が走りながら剣を横に振る。

 同時に風の刃が俺達の方に向かってきて、


「ぐふっ」


 うめき声をあげて俺は倒れそうになるも更にもう一撃、桜が攻撃して来たところで俺は、文字通り、“足を引っ張った”。


「きゃああっ」


 転送する桜を地面に縫い付けるよう桜の周りの重力を強化。

 そこでフィリが疲れたように、


「戦闘の場合、30秒地面に縫いとめた場合も倒されたと判定されます」

「誰が!」

「この世界の決まりごとの一つで、守られるかどうかは……その時々の“強制力”によりますが、殺し合いをお互いが望まない場合はそうなっています」

「よし、それで行こう……ぐふ!」


 そこで桜の二発目の攻撃を受けて俺は倒れた。

 しかも拘束の魔法の関係で起き上がれない。

 やがてしばらく時間が過ぎ魔法が解ける。

 

 そこでふらふらと桜が立ち上がり俺に、


「どうやら引き分けのようね」

「え?」

「いいえ、引き分けと言ったら引き分けだからそれ以外の何物でもないわ」

「でも俺の勝利」

「引き分けよ、最後は倒れたんだし」

「いや、倒れたのは俺の方が後……」

「というわけで引き分けだから、私は帰るわ、じゃあね」


 そう言って桜がその場から姿を消したのだった。


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