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このケダモノが

 まず俺がしかけたのは風の魔法だった。

 風の魔法で吹き飛ばし、気絶させようと考えたのだが、


「スカート捲りの応用、ってところかしら。でも残念ね、“風の壁”」


 そう言って、桜が何かを手にそう叫ぶ。

 見る限りそれは石のように見えるが、それを見たフィリが、


「魔道具ですね」

「魔法を使うための道具、か?」

「ええ、あのタイプは、魔力を込めて、特定の言葉を発すると発動するタイプのようです。かなり高価なものですが勇者となればあのようなものも持っているのか? いえ、大抵は特殊能力チートで片が付いていた。では一体、どうしてあのような魔道具を使うなど……一月でこの世界の事を知りすぎているような」


 ぶつぶつとフィリが何かを呟いているが、そこで桜が、


「やっぱりまだ特殊能力チートを使いこなせていないようね、ヒロ」

「あたりまえだ! 俺はこの世界に来てまだ数時間だぞ!」

「そっか~、現実は非情だね。さてと、“炎の槍”っと。十本くらいでよろしく」


 そう桜が呟くと、桜の周辺に赤く輝く炎の槍が出現する。

 それも桜が指定した通り、10本ほどだ。

 それが俺の方を狙うかのように向いている。


 なんだアレ、どうよけようかと俺が思いつつ、その桜の魔法“自体”にさけてもらおうと考える。

 そこで桜が笑った。


「実はこの世界に来ている時点である程度肉体も強化されているみたいなのよね。どうも魔力の強さである程度、敵の攻撃を不意打ちを食らったとしても大丈夫みたいなの」

「そ、そうなのか、それで?」

「腕力といったものも強化されているみたいだから、大丈夫だと思うの」

「……何が言いたい」


 俺は警戒するように桜にそう問いかけるとそこで、


「男のヌードってどう思う?」

「やめろおおおおお、せめて女の子にしよう。そっちの方が断然いい!」


 俺は必死になって弁明した。

 桜が俺に言おうとし、いや、しようとしているものに気付いたからだ。

 だがそこで同時に、冷たい目で俺を見るフィリの視線が。


 そして一言。


「……この、ケダモノが」

「! ち、違う、俺は別に、男の裸なんてと思ったから言い返しただけで……」


 そこで桜がフィリに向かって手を振り、


「フィリちゃ~ん、そこにいるヒロ、魔王を裸にむいちゃっていい?」

「どうぞ」


 フィリが即答した。

 お前、魔王側だろうと思ったのだがそこで桜の魔法が“消失”した。

 否、突如それらは俺の頭上に転移して、すでに準備を一部していた俺は炎の魔法が飛んでくる軌道をずらした。


 周囲で炎が躍る。

 どうにかフィリの周りにも広がらずに済んだ。

 正確には飛んできたものをはじいた時に、フィリの方に飛ばないようにしたわけだが。


 フィリはあまりの事に動けずにいるようだった。

 そして俺はと言うと、


「桜、もう少し手加減してくれ」

「ずいぶん手加減しているわよ! 何せ逆ハーレム要員だからね」 

「あと、俺の服を燃やそうとするな!」

「えー、でもそうしたら、ヒロが無傷で降参しそうだし?」


 どうやら桜にも考えがあっての事だとは分かったのだがそこで桜が、


「でも、そんな簡単にヒロは倒されてくれなそうだから、次は別の手で行くわ」


 桜が、にやりと嗤ったのだった。

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