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愚かな

 桜にどういった状況なのか説明よろしく、と言われたフィリはしばらく呻いてから、


「貴方は勇者ですよね? 人間の」

「そうだよ。でも異世界人だからこの世界の人間の形に似た“何か”かもしれないけれどね」

「……ですが人間に見えるので、敵であることには変わりません。そして私達のような魔王や魔族と戦ったりしたはずなのにどうしてそんな私に聞いてくるのですか?」

「いや、事情通みたいだったし? 答えないならヒロに聞くからいいわ」


 桜がそう答えると、フィリが呻いた。

 こんな風に堂々とされると、訳が分からないらしい。

 しかも俺の知り合いというのも戸惑う原因なのかもしれない。


 だがフィリは黙ってしまったので仕方がなく俺は、


「俺もさっきこの世界に転生? したばかりだから状況が分からないんだ。道を歩いていたらものすごく好みの漫画の限定版が落ちていて、それを拾っていったら異世界に転生して魔王になっていた」

「なるほど、それで」

「それでチート能力は確認してさっき魔王上の罠を解除してきた」

「そうなんだ、どうりで罠がないわけね。でも最低限の防衛設備はつけておいた方がいいんじゃないの?」

「まだここに来たのが数時間前だからよく分からないんだ」

「え! そんな最近なんだ。でも私がヒロに前に会った時は、一か月以上前だよ」

「……いつからいるんだ? 桜は」

「そのヒロに会ってすぐ後くらいかな。呼び出されたの」

「そうなのか。そういえば桜に会ったのは今日の昼だったような。……なんだかおかしいな」


 時間の差が妙なことになっている。

 俺達の世界の時間とこの世界の時間は数十倍以上開きがあるような、そんな感じだ。

 理由は分からないがそうであるらしいと俺は、この話は置いておくことにした。


 そこで桜が、


「それで、ヒロの特殊能力はなんなの?」

「すべての物理法則を操る最強魔王らしいぞ」

「何だか強そうね。でもいいの?」

「何がだ?」

「そちらのエルフちゃんが怒りで震えているけれど」


 言われてそちら側を見ると、フィリが怒りで肩を振るわせている。

 そして俺を睨み付けて、


「なんでそんな簡単に敵に自分の能力を話すのですか!」

「いや、だって元の世界の幼馴染だし」

「でも今は敵です! しかもそっちの勇者は自分の能力に関しては一言も話していなかったじゃないですか」


 怒ったように言うフィリ。

 どうやったら大人しくなってくれるかなと思って俺は、


「桜、桜の特殊能力って何だ?」

「空間転移能力だよ。だからすぐにここまでこれたでしょ」

「だそうだ。フィリ、これでどうだ?」

「……自分の切り札を簡単に口にする勇者……頭が痛くなってきた」


 何処かげっそりとしたようなフィリ。

 これ以上何かを言うと、蛇足になりそうなので俺は空気を読んで沈黙を保つ。そこで、


「でもヒロの力は興味があるわ。ちょっと使ってみてくれない?」

「……いいぞ」


 俺はにやりと笑った。

 自分からそう言いだすとは桜も愚かだなと俺は思った。

 そして、以前フィリに使ったのと同じ魔法を使い、俺は桜のスカートをめくった! 


 しかし、以前と同じようにはいかなかった!


「愚かなヒロ、そう簡単に私のパンツが見れると思わない事ね」

「く、スパッツを履いていたなんて、なんてことだ!」

「ふふふ、さて、次はこっちの番ね。手を出して」

「こうか?」


 そう言って手の平を差し出しと、何処からともなく飴玉が現れた。

 白い紙で包まれたキャラメルのようだ。


「とこんな風に転移できるのね。あ、エルフちゃんも飴いる?」

「……そうですね、貰っておきましょう」


 疲れたようにフィリが答えたのだった。

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