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鬼と文蔵  作者: 美作為朝
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 残っていた八郎太武貞の軍勢もいつのまにか、散り散りに逃げ、その場には、文蔵とお竹、抱き合ってる二人の父親。あと八郎太武貞の馬だけが、残っていました。

「私は、往かねばなりません」

 鬼が言いました。

「どこに?」

 文蔵がたずねました。

「帰るのです」

 鬼が答えました。

「うん、そのほうが良いかも」

 文蔵が言いました。

「私の任務は概ね終わりました。この星とあなたたちのことは概ねわかりました」

「雀の歌で?」

「ハイ」

「良かったの?」

「大いに助かりました」

 もう鬼は、鬼の姿をしていませんでした。角もなくほぼ人の姿でした。鬼にとって姿、形などなんとでもなる問題でした。

 鬼は、村から見える一番大きな山に手をかざし、何かを呼ぶようにちょいと指を曲げました。これも何かを呼ぶ時の全宇宙全体での完全なる統一動作のようでした。

 すると、村から見える一番大きな山の山頂部分まるごとがごわっと言う音をたて吹っ飛び土砂をふらしながら、山頂部分が持ち上がりました。山頂部分そのものがやじりのような形をしていてゆっくりと雲のように文蔵たちのいるところまで飛んできました。

 村の衆は、殆どが、家の中に隠れていましたが、またもや、悲鳴を上げだしました。

「お助けを」

「末世じゃあ、、お助けあれ、、」

 文蔵も逃げたかったのですが、それでは鬼に悪いような気がして逃げませんでした。

 鬼が頭上にゆっくりと飛んできた山頂部分に手をもう一度かざすと、山頂部分には入り口ができました。

「あれで、帰るの?」

 文蔵が訊きました。

「ハイ、そうです」

「大きいね」お竹が言いました。

 飛ぶ山頂部分の入り口から光が降りてきて鬼を包みました。今はもう鬼の姿ではありません。

 鬼は、文蔵の姿をしていました。お竹が気付き驚いています。

「あら、、」

 光りに包まれた鬼がふわふわと浮かび、飛ぶ山頂部分に向かってゆっくりと上っていきます。

 鬼が言いました。

「親雀が二だと小雀は四で、孫雀は八になります、間違えてはいけません」

「うん、わかった」

 文蔵は答えましたが、本当はわかっていませんでした。昨晩とまったく一緒です。

 鬼が言うように他の人よりかしこいので、また嘘をつきました。

「あなたは、すこしかしこいようなので、あなたの姿形情報を記念に貰っていきます。それでは、さようなら」

 文蔵の姿をした鬼が言いました。

「うん、さよなら」

「さようなら」

 文蔵とお竹が答えるや、鬼はあっという間に巨大な山頂部分に吸い込まれると、鏃の山頂部分は、円錐形の下の部分からものすごい光を放ち、あっという間に天高く、舞い飛んでいきました。

「行っちゃったね」

 お竹が文蔵に言いました。

「うん、行った」

 文蔵が答えました。

 しばらくすると、村の衆が各々の家からのそのそと出てきました。

 文蔵の家からは、弟の太丸を抱いた文蔵の母とばあちゃんが出てきました。

 ばあちゃんは言いました。

「阿呆が、文蔵おまえはあの歌を間違っとるわ、親雀がで、のうて、じじばば雀がーっで始まるんじゃ」

「えっ」

 お竹が驚きの声を上げましたが、文蔵がとりなしました。

「大丈夫だよみんな間違えるから、それにどっから始まってもいっしょだよ」

「そうだね」お竹も納得しました。

 鬼が山頂部分を乗って帰ったため頂きがなくなった山はその後、富士山と呼ばれることになりました。

 富士山の山頂に関する史文の記述は、ほぼすべてが嘘で、この話だけが本当です。

 文蔵とお竹はその後、夫婦になり子もたくさんでき幸せに暮らしました。 

 そして他の人よりちょっとかしこい文蔵の子孫たちが星間航行能力を発明し文蔵の姿をした異星人と出会うのは、もっと未来のまた別の話です。

 めでたし、めでたし。

あとがき


 冬の童話祭り用の作品です。

 童話初挑戦、、。

 書きたいのは一応書けたけど、なんかちょっと変なティストの作品になってしまいました。

 歴史モノ+SFみたいなの書いてみたかったんですよ、、。

 自画自賛です。

 こんなんので、いいのかな、、。

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