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8話

翌日私はいつもより遅めの6時に目を覚ました。

横ではセシルが気持ちよさそうに眠っている。

メーアも昨日と変わらない体勢で眠っていた。

6時半頃になるとコンコンとノックをしリタが入ってくる。

「姫様、いつからお目覚めに?」

「30分ぐらい前かな。」

そういうと軽く驚いた顔をし、明日からはもう少し早く来ますねと言った。

「セシル、朝だよ。起きて?」

私はセシルを起こしにかかる。

セシルは唸りながらも少しずつ目を開ける。

「ん…姉様?」

「うん、おはよう。」

「セシル様、マーク様がお待ちですよ。」

私もリタも笑顔で話す。

セシルは分かったと言い、部屋を出て行った。

それからはリタによって着せ替え人形状態になり、解放されたのは約40分後だった。

今日は緑色のドレスに緑色のリボンが飾りとして付いているパンプス。

髪はハーフアップにされ、残りの髪はまかれている。

化粧からは逃げられた。本当によかった。

朝食は7時半からのようで残りの20分はずっとリタと話していた。



メーアを連れてダイニングルームに向かう。

ダイニングルームには私以外全員揃っていた。

挨拶を交わし、昨日と同じ席に着く。

すぐに食事が運ばれてきて、食べ始める。

メーアの事も言ってくれていたらしくメーア用にカットされたリンゴなどの果物類も運ばれてきていた。

メーアは私の横の床に置かれた果物を座り込み食べている。



朝食後はそれぞれで、私は部屋に戻り、紅茶を飲みながらレイスが話す今日の予定を聞いていた。

「本日はまず9時から魔力測定を行い、魔力量、適性を確認します。

その後はこの部屋で魔法世界、オレガノ王国についての勉強。

12時に昼食を挟みまして、午後は2時から3時までダンスレッスン。

3時にはアフタヌーンティーを挟みまして、4時からは魔法の実技を行います。

実技では、姫の能力である歌の力を確認し適性に合った魔法を習得していただきます。

7時からは夕食になりますので、6時半には実技を終了いたします。」

随分びっしりですね…。ダンスとか未知の世界なんですけど…。

「では、私は準備をしてきますので失礼致します。」

反論の余地もなくそそくさと出て行ってしまった…。

「レイス様は本当に容赦ありませんね…。」

リタも苦笑している。

9時まであと20分ほどだ。

私は朝同様リタと話して時間をつぶした。



9時、レイスに連れられ測定室へと向かう。

装置がどう見ても体重計にしか思えなくて拒否反応が出るんだけどこればっかりはしょうがない。

測定をするため装置に乗り手をかざす。

魔力を30秒間流す。

結果はレイスが持っている機械に出る。

なんかレイスの顔が引きつっているように見えるんだけど…気のせいだよね?

レイスに近づき機会についている画面を覗き込む。


8600M、水・風・光


Mは魔力量の単位。そのあとのは、適正属性。

というか8600M!?適正属性3つあるって何!?

魔力量の平均は約4800M。

属性は、火、水、風、土、光、闇、無の7つがあって適性があるのは普通は2つ。

無属性は誰にでも使えるが難しい術が多い。光と闇は適性が出る人は滅多にいない。

はい、私チートですねー…。

これは引きつるよ…実際私も今引きつってると思う。

「レイスって強いのよね?…魔力量ってどれぐらいなの?」

「…7500Mです。適性は風と土の2つです。」

レイスに勝っちゃったよ…。適性3つでしかも光って…。

もうどうしようか。開き直るしかないのかなあ…。

「とりあえず部屋に戻りましょう。」

そのあとは部屋に戻ってレイスに色々なことを教えられた。


この魔法世界はオレガノ、ルドベキア、ルピナス、トレニア、セージの5つの王国で成り立っている。

5代前までは戦争をしていたが4代前の国王が戦争を止め、各国同士で平和条約を結んだ。

そのため、今では戦争はなくなり他国との関係は良好。

年に1度どこかの国に集まり、会談をし、盛大なパーティを開くのだそうだ。

今年は自国で行う為、私も接待などをしなければならないらしい。

夏から秋はシーズンと呼ばれ、多くの貴族たちが夜会を開く。

私もそれに何度かはでなくてはいけないのだという。

貴族も良い貴族ばかりではなく、平民を見下したりする人や欲望に目が眩む人達もいる。

そのため、注意していかなければならない。

この国の教育は7歳から12歳までは学校に通うことが義務とさせられている。

13歳からは学校に通う者と、実家の手伝いをする者(主に平民)にわかれる。

学校に通う者は騎士科、魔術科、給仕科、研究科をそれぞれ選択し3年間通う。

この世界の成人は16歳で、私ももう成人している事になる。

成人するとお酒やたばこが解禁される。昨日の夕食にシャンパン出てきて、もう飲んでいるしね。

夜会に出ることができるのも成人してからだ。

他にも歴史や魔物についてなどたっぷりと勉強させられた。

12時から昼食なので15分ほど前に解放された。

約2時間半…さすがにつらい。

ぐったりしていたが遅れるわけにもいかないので立ち上がりダイニングルームへと向かう。



昼食を食べ終え部屋に戻るとニコニコした笑みを浮かべたリタが紅茶を準備して待っていた。

「午前中はお疲れさまでした。まだ1時間ほど時間がありますのでごゆっくりお過ごしください。」

「ありがとう、リタ。」

ソファに座るとメーアが甘えるように擦り寄ってきた。

私はメーアを膝の上に載せ撫でる。

そうしてゆっくりと1時間を過ごした。



2時部屋を移動する。それにメーアも着いてくる。

部屋の中にはレイスと兄様がいた。

「兄様、どうしてここに?」

「私が教えようと思ってね。」

「…足踏んじゃうと思いますよ?」

「大丈夫。ユウならすぐに出来るようになるよ。」

完璧未経験者なんですが私…。

しかしこれを断れば教えることになるのはレイスだろう。

おそらくの指導は受けたくないと思い今回は甘えることにした。

リタがピアノ、レイスがヴァイオリンを弾き曲を奏でる。

それに合わせ私たちは踊りだす。

メーアはリタの足元に座り込んでこっちを見ている。

最初の方は足を踏んでしまったりしたが、1時間で何とかマスターすることができた。

兄様にはお礼を言って、心底感謝した。

兄様に誘われアフタヌーンティーもこのまま一緒にいることになった。



アフタヌーンティーは兄様の部屋で頂く事にした。

兄様の部屋は白と黒と緑でまとめられていた。テーブルには白薔薇が飾られている。

私たちがソファに座るとテーブルに紅茶やスイーツが並べられていく。

今日のスイーツは苺のミルクレープにクリームやアラザンなどで綺麗に飾られたカップケーキ。

「どれになさいますか?」

リタが私に問いかけてくる。

私はクルミ入りの生地にマロンのクリームでデコレーションされているカップケーキを選んだ。

兄様も選んで食べ始める。

この世界の料理は科学世界とほとんど変わらない。

そして、城のシェフが作ったスイーツは特に美味しい。

私はカップケーキを食べ終え、ミルクレープの方も食べることにした。

リタから受け取り食べているとノックの音が響いた。

レイスが来客を確認し、兄様に確認した。

兄様は呆れた顔になり通すように指示した。

「よお、エイベル。俺も混ぜろ。」

現れたのはブラウンベージュの髪に金の瞳を持った男性。

「初めまして、姫様。

エイベルの親友のヴィンス・フェネオンと申します。」

ウインク付きの笑顔でその人は挨拶してきた。

その次の瞬間にはメーアを見て驚いたけれど…。

「初めまして。ユウ・エアハートです。この子はブルーベアのメーアです。危険はありませんよ。」

私も笑顔付きで返す。

それに安心した様子を見せ、ヴィンス様は兄様の隣に座る。

紅茶やケーキを受け取り、私たちの会話に混ざってきた。

兄様は冷たい態度をとっていたけど嫌な顔はしていなかったから本当に仲がいいんだなと思った。

私もすぐに打ち解け、楽しいティータイムを過ごした。



この後は実技のため着替えることになった。

さすがにドレスでは動きづらいからだ。

白いシャツにキャメル色のカーディガン、白いスラックスを着る。

時間になりレイスが迎えに来る。

リタとメーア、兄様とヴィンス様まで着いてきた。

まず向かったのは庭園だ。ここで歌の力を試すらしい。

庭園は季節ごとに様々な花が咲き乱れるようになっている。

私は中央に立ち、咲くよう祈りを込め歌いだす。

歌の力は魔力量だけでなく、それぞれ歌う歌詞によって効果の強弱が決まる。

雨を降らせたいときには雨を連想させる歌を。

治癒を行いたいときは癒しを連想させる歌を。

浄化を行いたいときは清らかなるものを連想させる歌を。

植物を成長、開花させるときには緑や風を連想させるものを歌う。

歌は幼いころにたくさん教わった。

1つ1つの言葉の意味を噛み締め歌う。

周りの植物達が歌に反応するように黄色い光を浮かび上がらせる。

だんだんと成長し花を咲かせていく。

1曲を歌い終わる頃には春の花と夏の花が入り混じり咲き誇っていた。

「かなり強力ですね。今のはそれほど魔力を込めていないでしょう?」

「うん。多分明日には元の状態になると思う。」

「姫様、とても綺麗でした!!」

リタが興奮しながら言ってくれた。

「ありがとう、リタ。」

「綺麗だったよ。」

「これほど強力とは思わなかったな…。」

兄様は笑顔で、ヴィンス様は感心した様子で言った。

2人にもお礼を言い、歌の力はここまででいったん終了なので小型の訓練場へと移動する。

ここは、王族のために作られた演習場だ。

魔法の練習や魔力の制御、剣技の訓練などもここで行う。

王城外にある大型の訓練場では騎士隊や魔術隊が訓練を行っている。

「さて、姫の適性は水、風、光なので今日は私が風属性の魔法をお教えいたします。

水属性の方は今後教師役を探しておきますので後日とします。

光属性は現在確認されているものがいないので、独学となりますがよろしいでしょうか。」

…いないんですか。…それはしょうがないよね。

「…大丈夫。光属性は個人で何とかする。」

「では、始めましょうか。」

それからはレイスのスパルタ訓練が始まった。

魔法は初級、中級、上級、神級とある。

神級を使えるものはかなり少ないらしい。

訓練はきつかったけれど呑み込みが早いのか2時間半でいくつかの魔法を覚えることができた。

これにはレイスも驚いていた。

今日覚えた魔法は、風属性の初級、中級魔法。

明日は中級から上級魔法を習うことになった。



部屋に戻り、お風呂に入りドレスに着替える。

髪をリタにお願いすると朝はつけていなかった緑やピンク、黄色で彩られた髪飾りが付けられた。

髪飾りについて聞くと兄様からのプレゼントらしい。

10分前に部屋を出てダイニングルームに向かう。

入口の所で兄様に出会い、似合っていると褒められた。

照れながらもお礼を言い、部屋に中へと入る。

その日の夕食は、私の実技訓練が話題となり照れ臭くなりながらも楽しい時間を過ごした。


夕食後は、学園のテストも近いため1度科学世界の家へ勉強道具を取りに戻った。

夜は勉強に費やした。魔法世界でも普通にスマホや携帯を使えるらしく凛の愚痴を聞いたりもしていた。

そうしてその日は眠りに就いた。


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