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7話

ブックマークが増えていてビックリしました!!

読んでくださった方、ありがとうございます_(._.)_

更新は不定期だと思いますが、

温かく見守っていただけると嬉しいです(^-^)

今後もよろしくお願いします♪

「ちょっと優雨、大丈夫?」

「なにかあったの?」

上から蛍夏、凛が順番に話しかけてきました。

今は教室、朝のHR前。

あれから一夜明けて、全然眠れないままとりあえず学校に来た。

あの後もずっと混乱が収まらず、ずっと落着けなかった。

一夜明けて夢だったのかな、とも思いだした。

「ああ、うん…大丈夫…大丈夫、だよ…たぶん。」

とりあえず言わないべきだよね…。頭おかしい子とか思われたくないし。

「…言いたくないなら無理には聞かないけど、無理はしないでよ?」

「そうだよ優雨!!何でも相談してね!!」

2人の温かさに今ジーンときた。

「…2人ともありがとう~。」

軽く泣き始めた私に2人もクラスメイトも戸惑っていたけど今の私にはそれを気にする余裕がなかった。


それからは、どっちにしろ帰ればわかるんだと思い、開き直ることにした。

グズグズしててもしょうがないしね。

昼休みには密と郁杜先輩にまで心配された(朝の様子をどこからか聞いたらしい)。

部活も無理しなくていいんだよ、とは言われたもののちゃんと出た。

いつも通りに解散して、4人で下校する。



家に着き、ドアの前で1度深呼吸する。

覚悟を決めて開けると、

「「おかえりなさいませ。」」

昨日と変わらず1人の執事と1人のメイドがいた。

「今からオレガノ王国へご案内いたします。必要な物だけ持ち、我々に着いて来て頂けますか?」

私は短く返事をし、スマホだけを持ち頷く。

すると、白い石のブレスレットを手首につけられた。

レイス(昨日さん付で呼んだら拒否られ、強制的に呼び捨てにさせられた。)が玄関近くの壁の鏡に向き直り、何かを唱える。

鏡が青白い光を放った。

「では、着いて来てください。」

先頭にレイス、後ろにリタという順で鏡の中へ足を踏み入れて行った。



踏み入れると、そこはどこかの部屋の中で、高価そうな絵画や装飾品があり、青や白でまとめられていた。

そして2人、見覚えのある顔が…、その時頭の中に映像が流れだした。

夢で見たお城や庭園、街並み、あれはただの夢ではなく幼少期の記憶だったのだ。

私は6歳以下の記憶がなかった。

気が付いたら小学生で以前の事は何も思い出せなかったのだ。

「ママ、パパ…。」

私がそう呟くと、2人は微笑んで寄ってくる。

あっちでの記憶のママは黒髪に黒目だったけれど、今は綺麗な金髪に碧眼。

ママに抱き締められ、私も抱きしめ返した。

「久しぶりね…。これからはいつでも会えて嬉しいわ。」

「久しぶりママ。」

最後に会ったのは中学の卒業式だった。

いつの間にかママより身長が高くなっていたみたいでちょっとびっくりした。

私とママが抱き合っていると1人の男性が近づいてきた。

ママと同じく金髪碧眼。夢で見た男の子だと一目でわかった。

「ユウ。」

その人が私の名前を呼ぶ。

私はママから離れ、男性と向き合う。

「エル兄様。」

そういうと、その人は満面の笑みを浮かべて手を広げる。

私は嬉しくなって腕の中に飛び込んだ。

「やっと会えた…。10年ぶりだね、ユウ。」

兄様は私を抱きしめ返し、肩に顔を埋める。

私たちは再会を果たした。

兄様と抱き合っていると2人の60代くらいの男女が近づいてきた。

「お爺様、お婆様。」

「大きくなったね、ユウ。」

「本当…。綺麗になったわね。

覚えていてくれて嬉しいわ。」

みんなで笑いあう。

1度兄様と離れ、ママたちの方に振りかえると、ママの影に隠れている子がいた。

「ほらセシル、あなたのお姉さまよ。」

ママがそう言ってその子の背中を押す。

人見知りなのか顔を上げようとしない。

私はしゃがんで視線を合わせるようにする。

「セシル、でいいのかな?初めまして。」

私が笑ってそう言うと、おずおずと顔を上げ、姉様、と小さな声で呟いた。

私は笑顔を向け、兄様がしてくれたように手を広げる。

セシルは恥ずかしそうにしていたけど飛び込んできてくれた。

抱きしめ、そのまま抱っこする。

だんだんと緊張がほどけてみたいで甘えてきた。

周りはその甘え用に驚いていた。

何でも極度の人見知りらしく兄様でも慣れるのに1カ月かかったそうだ。

慣れるまでは相当泣かれたらしい。

その話題で盛り上がっていたが、時間も時間なのであとは夕食を食べながら話すことになった。

私が来るのを待っていてくれたらしい。



夕食の前にとママとお婆様、リタに連れられ私の部屋に行く。

私の部屋は先ほどの部屋と同じく白と青でまとめられていて、真っ白いテーブルにロイヤルブルーのふかふかそうな2掛けと1人掛けのソファが2つずつ、水色にシルバーで縁取られた棚などが置かれており、奇麗な花瓶に青薔薇が飾られていた。

奥の部屋には天蓋付きの青ベースのキングサイズのベッドに白いクローゼットが置かれていた。


私が部屋の中を見ているうちにママとお婆様は奥の部屋へと行き、クローゼットを開け、ドレスを選んでいた。

その間に私はリタにバスルームに押し込まれ、体の隅々まで洗われた。

正直どっと疲れた…。

バスルームから出ればママがドレスを持ってニコニコと笑っていた。

ママとお婆様の選んだ普段着用のドレスをリタに着せられ、コルセットにめげそうになりながらも髪をいじられ、軽くお化粧までされた。

結果、私の今の恰好は淡い水色の長さが踝まであるドレスに白いミュール。髪はアップにされ、白薔薇が飾られた。

「私の目に狂いはなかったわね♪」

「私の若いころにそっくり。」

「姫様とてもお似合いです!!」

3人でキャーキャー言ってますが私は着せ替え人形状態から解放され、お風呂からのもろもろでぐったりしてます。本気で疲れた…。

普通の食事だったらここまで髪いじったり、化粧したりは必要ないんだけど、ママが

「久しぶりだし多少は着飾りましょ♪」

と言って、結果がこれ…。勘弁してください。



4人で部屋を出て、みんなのもとに向かう。

部屋にはパパとお爺様が向かい合わせ、1つ開けて兄様とセシルが向かい合わせで座っていた。

だが私たちが来たのに気付くと立ち上がる。

「綺麗だよ。」

「若いころのディアナにそっくりだ。」

「とても似合ってるよ。」

「姉様綺麗!!」

お爺様、パパ、兄様、セシルの順に笑顔で褒めてくれた。

私は気恥ずかしくなりながらもお礼を言った。

お婆様はお爺様の隣に、ママはパパの隣に、私は兄様の隣に行き、お爺様とパパと兄様がそれぞれ私たちの椅子を引いてくれる。

私たちは席に着き、レイスやリタが料理を並べていく。

並べ終わると、家族水入らずでどうぞ、と言い退室していった。


部屋には家族だけになり、今までの生活の話や友達についてなど、楽しく話をした。

この世界には魔法が存在する。

あちらの世界はこの魔法世界の人たちには認知されていて、あちらの世界の事を科学世界と呼んでいる。

科学世界のほとんどの人たちは魔法世界の存在を知らない。

私が科学世界にいた理由は私にとって魔法世界が危険なため。

この世界の王族には姫が生まれにくい。

実際オレガノ王国も8代前に姫が1人いたきりだった。

他の国も今は姫がいないらしい。

そして、生まれてきた姫には特殊な能力が備わっている。

能力はバラバラ。どんな力を持っているかは分からない。

私の能力は歌だそうだ。

幼少期はまだ魔力を制御出来ないため、私が歌を歌って花が咲き乱れたり、突然雨が降ったりといろんな事があったらしい。

姫は狙われやすく、ほとんど城の外には出れなかった。

もし私が浚われ、洗脳されたり操られたとしたら、私の歌の力を悪用される恐れがあるためだ。

この歌の力は、天候を変えることも人を1度に大勢操ることも可能なため実際に狙われていたのだ。

だが6歳になり、本来なら来年からは学校に通わせるのだが、どうしても危険が多いため通うことは出来なかった。それもかわいそうに思い、いっそのこと科学世界で生活させることにしたのだそうだ。

魔力の制御は出来ていたが念のため私の魔力と記憶を封じ、あの家で生活し始めたらしい。

小学校のうちは両親は夜は科学世界に来てあの家で暮らしていたが高学年になると、セシルを身ごもったためたまに来るという形になったらしい。

その説明もされ、最後に申し訳なさそうに謝られたりもしたが、全ては私のためにしてくれたことだったため、お礼を言った。



食事の後、兄様に誘われ、セシルも加わり3人で夜の庭園を散歩することにした。

夢の通りにたくさんの花が咲いていてそれがライトアップされていてとても綺麗だった。

楽しく話していたのだがふと何かを感じた。

急に足をとめた私を不思議に思った兄様は顔を覗き込んできたが、それに構わず誘われるままに歩きだす。

兄様とセシルは戸惑いながらも着いてきてくれていた。

庭園の隅に来るとキャメル色の小熊がいた。

兄様はそれにいち早く気付き、私を背に庇い剣を抜いた。

私は兄様を止め、敵意をむき出しにし威嚇している小熊に近づく。

私が手を差し出し、おいでというと、警戒しながらも私の方へと近寄ってくる。

私の手をクンクンと嗅ぎ、ペロッと舐める。

私が小熊の頭を撫でると嬉しそうにガウゥと鳴いた。

小熊を抱き上げ、兄様のもとに戻る。

「ユウ、大丈夫か!?」

「大丈夫。」

兄様はホッと息をつきよかったと呟いた。

「とりあえず戻ろうか。その子をどうするかも父上たちに相談しないと。」

「…うん。」

その間小熊はきょとんとした顔で私を見上げてきた。

私が微笑んで撫でると甘えるように擦り寄ってきた。



3人でパパたちのもとに向かう。

両親は自分たちの部屋で祖父母達とともにまったりとティータイムをしていた。

私が小熊を抱いて部屋に入ると部屋にいる全員が心底びっくりしたような顔をした。

「姫様!!危険です!!早く離れてください!!」

リタはそう言いおろおろし始める。

「大丈夫だよ、リタ。」

私がそういうと、恐る恐るという感じでリタと両親が近寄ってくる。

小熊はきょとんとした顔で見ていた。

「ブルーベアではないか!!」

パパがそう言うとみんなが再度驚いた顔をする。

私は驚いている理由が分からず、聞き返す。

「ブルーベアは滅多に見る事ができないんだ。私も今初めて見た。」

パパがそう答える。

ブルーベアは青い瞳が特徴で、自分が認めた相手を守り通すらしい。

「守ってくれるの…?」

私が顔を覗き込みそう聞くと、ガァウ!!と嬉しそうに返事をして甘えてくる。

嬉しくなってブルーベアを撫でる。

パパたちと話し合った結果、ブルーベアはこのまま飼う事になった。

私はメーアと名付けた。後から男の子ってことを知ったけど、可愛いからいいやと思いそのままにしている。

気付けば11時を回り、だんだんと睡魔が襲ってきた。

セシルもいつもは寝ている時間のようで半分寝ている状態だ。

リタに連れられ自分の部屋に行こうとするとセシルが近づいてきて、一緒に寝ても良い?と聞いてきた。

私はいいよと返し、お風呂入ったらおいで、と言って別れた。



自分の部屋に着き、またバスルームに押し込まれ隅々まで洗われそうになったもののなんとか断り、1人でゆっくり入ることができた。

用意されていたネグリジェを着て出ると、リタに髪を乾かしてもらった。

少しすると、セシルが来て、一緒にベッドに入ることにした。

メーアはリタが用意してくれた大きめの籠にクッションを詰めたベッドに丸まって寝ている。

セシルはベッドに入り少しするとすぐに眠ってしまった。

私も昨日は混乱していてあまり寝れていないためすぐに睡魔が襲ってきた。


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