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3話

「優雨、お昼どうするー?」

「あたしはお弁当あるけど…凛は?お弁当作ったんでしょ?」

明らかに目をそらす凛。

「凛…校生になったから自分でお弁当作るっておばさんにも言ったんだよね?」

「う、そうなんだけど…朝起きれないんだも~ん!!」

「凛がお弁当作ってくる日は遠くなりそうだね。」

「…カフェテリア、行こ?」

「はいはい。」

「あれ、2人もカフェテリア行くの?」

「拓斗君。そっちも?」

「うん。一緒に行かない?」

「そうだね。」



カフェテリアに着いた瞬間、私たちは目を見張った。

その人の多さに…。

「人気にも程があんだろ…。」

「凛どうする?購買行く?」

「しょうがないかぁ。」

「俺らも行くか。」

あきらめて購買に行こうとしたときだった。

「優雨こっち空いてるぞ~。」

声を掛けてきたのは密だった。

そして、密のその声に周りの女子の眼が一斉にこちらに向けられた。

「勘弁してよ。」

私のその声に凛だけが深く頷いた。


「密、そんな大声で呼ばないでくれる!?

それと、呼ぶなら要の方にしなさい!!」

「別にいいじゃねぇか。周りなんて気にすんなよ。」

…もうどうしようもない、この馬鹿。

「優雨ちゃんどんまい。」

密と向かい合わせで座っていた郁杜先輩に苦笑とともにそう言われた。

テーブルは6人掛けで私たちが来ることを予想し席を取っといてくれたらしい。

密には隣を勧められたがそれを回避して郁杜先輩の隣に座る。

私たちが言い合っているうちに3人は注文しに行ってたらしく、少し遅れて席に来た。

凛は私の隣。密の隣が要でその隣に拓斗君が座った。

話していると凛が急に質問した。

「密と郁杜先輩は部活入ってるんですか?」

「凛、なんで俺には先輩付けないんだよ?」

「敬えないし、尊敬できないから!!」

密の言葉に凛は笑顔で言い切る。

「…。部活だったな!!入ってないけど今年作るぜ!!郁杜もその部員だ!!」

密は速攻で開き直る。

「…郁杜先輩。」

本日2度目の憐れみの視線を送る。

「優雨ちゃん大丈夫だよ。部に関しては俺も趣味だから。

嫌々じゃないからね。」

「というわけで今日お前の家行くから。」

「何がというわけなの。話繋がらないんだけど…。」

「帰りは教室で待ってろよ。郁杜と迎え行くから。」

人の言葉ガン無視。…ああ、これはどんなに止めても無駄だ。

入学早々女子に睨まれる…。相手するの面倒くさい。

盛大に溜息をつくと両隣から肩に手を置かれた。

2人の心の声が聞こえる…。

こうして憂鬱な気分で昼休みは終わった。



午後は部活紹介。講堂にて各部の必死さがうかがえる紹介が始まる。

野球、サッカー、バスケ、剣道、空手、吹奏楽、美術などの一般的な部活からUMA研究会から黒魔術などのマイナーなものまで様々。

凛と要はもう決まっているらしく普通に楽しんでいた。

私はというと一通りの部活紹介が終わったにもかかわらず惹かれるものがなくまた無所属でいいかと思っていた。料理研究会などもあったがわざわざ部活に入ろうとは思えなかった。

新入生は1週間後から部活開始のようで、凛は1週間後を心待ちにしているようだ。

それでもこの1週間は仮入部ができるらしく凛は今日からテニス部に行く気満々だ。

私は密の話で不安で一杯なんだが…。おそらく新しく作る部活に巻き込まれるのだろう。

ああ、簡単に予想つきすぎて嫌。

そう考えていると周りの生徒たちは教室に帰り始めていた。

私たちも4人で教室に向かう。

教室でHRを行い、解散。



あっという間だった…。

凛と拓斗君は仮入部へ。要は私の家に来るらしく密と郁杜先輩を待っていた。

約10分後。密たちが来ると周りの女子の目線は2人に釘つけ。目がハート状態だ。

当の本人は気にせずに私と要を呼ぶ。私は反論を諦め、4人で私の家へと向かった。

校門を出るまでは女生徒の眼を釘づけにし、黄色い声が響いていた。

そんな女生徒達から向けられてくる嫉妬の視線を無視し、器用だなぁと軽く感心しながら足を進めた。


約30分、軽く雑談をしながら歩くと私の家に着いた。現在の時刻は4時を少し過ぎたころ。

3人をリビングに通しカバンを置いてキッチンに行く。

「飲み物何がいい?」

「みんな紅茶で。あと腹減ったー。」

密はそう言いながら我が物顔でソファに座りこむ。

私は溜息をこぼし紅茶の準備をする。

それから昨日の夜に作ったプレーンやイチゴ、チョコ味のプチシュークリームを皿に盛り付け、紅茶と一緒にテーブルに運んだ。

「よっしゃあー!!」

プチシューを見た瞬間に密が叫ぶ。

その様子に郁杜先輩は驚いていたけど私と要はいつもの事なので気にしない。

「兄貴は優雨のシュークリームが大好物なんですよ。」

「これ優雨ちゃんが作ったの?」

「はい。郁杜先輩もどうぞ。」

そう言いながら紅茶を配る。

郁杜先輩がプレーンのプチシューを1つ食べる。

「…へぇ、お菓子作り上手なんだね。」

「優雨のお菓子作りと料理の腕はプロ並みですよ。」

私たちが話している間密はプチシューに夢中。

「で、密。話って何?」

このままでは始まらないと私が切り出す。

「ん?」

密は手を止めやっと話を始める。

「部を作るっていっただろ。その部に入ってほしいんだ!!」

…ずいぶん簡単な説明。しかも予想通り。

「何部を作る気なの?」

呆れた声で返す。

「軽音楽部だ!!俺がドラム、要がギター、郁杜がベースだ!!」

「…なんで私?その3人でいいんじゃない?」

「設部には4人以上部員が必要なんだよ!!

というわけでボーカルとしてよろしく!!決定!!」

「何がというわけだ。決定するな。人の意見を聞け。」

「優雨歌うまいし良いじゃん♪部活だって決まってないんだろ?」

「そりゃそうだけど…。」

「優雨、お前がどんなに拒否ったって兄貴は諦めないぞー。

早々に諦めろー。」

…確かに根比べでは勝ったことがない。いつもウザさに耐えかねて私が折れることになる。

「はぁ…。分かった。入ればいいんでしょ。」

「っしゃー!!」

密が叫ぶ。私から出るのは溜息だ。

「よし!!んじゃ、細かいこと決めてくか!!

部員は俺ら4人で決定。部長は俺「却下。」即答かよ!!」

「密絶対仕事しないでしょ。」

「同感。楽しいことしかしねーからなー。」

「んじゃ、郁杜部長な。」

「はいはい。」

「バンド名どうすっかなー。なんか案ある人。」

「いきなり言われても出るわけないでしょ。」

「えーーー!!」

「うるさい。…どうゆう感じがいいのよ?」

「カッコイイ感じ!!」

「アバウト過ぎてわからない。」

「んじゃあ…自由!!」

「「「…。」」」

「バンド名は自由だ!!」

忘れていた。密のネーミングセンスの無さを…。というか、かっこいい??

「そのままにも程がある。」

「兄貴…もう少し捻ろうぜ。」

「よし、優雨頼んだ!!」

「…結局人任せなの。

分かった。じゃあ、今週中には考えておく。」

そこからも話し合いは続き気がつけば5時を過ぎていた。

「今日はこんなもんだな!!」

「密、顧問は誰になるの?」

「…伊織ちゃんに頼むか!!」

「決まってないの…。というか、誰?」

「俺達の担任だよ。高鳴伊織たかなりいおり

でもあの人かなりの面倒くさがりだぞ。やってくれないだろ。」

「その心配はない!!こっちには優雨がいるからな!!」

「はい?」

密曰く高鳴先生は甘党。結論お菓子で釣ろうということらしい。

「俺聞いたことないけど…。」

「知られてないからな!!というわけで明日交渉に行くぞ!!

優雨なんか作ってくれ‼」

「どういうものを?」

「任せる!!んじゃ今日は解散だー!!」

そのあとは郁杜先輩とメアド交換をし、お土産にとプチシューを適度に袋に詰め要と郁杜先輩に持たせた。

密に持たせると1人で食べるからおばさん達にいかないのだ。

郁杜先輩には本当にいいの?と聞かれたけど軽く返事をして持たせた。


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