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16話

朝、ノックの音を聞き目を覚ます。

「失礼いたします。

おはようございます、姫様。」

「おはよう、リタ。」

「珍しいですね。昨夜は遅かったのですか?」

リタがカーテンを開けながら聞いてくる。

「ええ、ちょっとメーアと話していたの。」

沈黙が落ちたが気にせず軽く目を擦る。

「姫様?」

そういう反応が当然よね、と思いながらメーアを起こし挨拶をさせる。

(リタさんおはよう~…。)

まだ半分寝た状態で挨拶する、メーア。

対してそれを聞いたリタはポカンと呆けている。

「…今のはメーアなのですか?」

「そうよ。私も昨日知ったの。」

少しの間呆けていたが、リタが改めて挨拶をし始めた。

…やっぱりリタって順応性高いんだなあ。

よく考えると私の周りの人たちってほとんど皆順応性高そうじゃない…?

そんなことを考えているとリタから声がかかる。

「姫様、制服こちらに置いておきますね。

着替え終えたら声をおかけください。髪をセットいたしますので。」

軽く返事を返し、制服に手をかけた。



リタに髪を整えてもらい、調理場へと向かう。

朝食の調理に取り掛かっているハロルドさん達と挨拶を交わし、頼んでおいたバケットを受け取った。

私もバケットサンド作りを始める。

使うのは昨日言っていたベーコンとレタス。

それに加えキュウリ、アボカド、トマト、卵。

ベーコンは軽く焼いて、卵はゆで卵にする。

野菜類は洗って水気をしっかりと切る。

適当な大きさ、厚さに切り、バケットに挟んでいく。

胡麻ベースのソースを適度にかけ完成。

リタに用意してもらった竹編みの大き目のランチボックスに綺麗に詰めていく。

1口サイズの唐揚げやハンバーグ、卵焼きも一緒に詰める。

カラフルな音符型ピックをいくつかつけて完成。

「やっぱ、姫さんは料理うめえな。センスもいい。」

「ありがとうございます、ハロルドさん。」

「俺はほんとのこと言ってるだけだぜ。さっ、そろそろ時間だぜ。」

そういわれて気づいた。時計を見ると6時45分。

「そうですね。じゃあ私はそろそろ行きます。」

「おう。なんかあったらいつでも言いな。力になるぜ。」

それに笑顔を返し、ダイニングルームへと向かった。


朝食の際に昨日のメーアとの事を話し、今日の夜はこちらに帰ってくることを話す。

案の定驚かれたがすぐに納得してくれた。

念の為ドラゴンの話は伏せ、不自然にならない程度に話した。

理由を聞かれたが帰ったら話すと言った。

今言っても説得に時間がかかって遅刻しそうだからだ。

いつもより朝食が長引いた事により、少し急ぎ目で4階居住区の廊下に向かう。

ガイとレオンは既に鏡の前で待っていた。

「ごめんなさい、遅れてしまって。」

「おはようございます、姫様。

大丈夫ですよ。今着いたばかりですので。」

そう言いながらレオンはリタからお弁当を、ガイはレイスからメーアが乗っている籠を受け取る。

リタとレイスの「行ってらっしゃいませ」の声を聴きながら、いつも通り科学世界への道を繋げる。

登校中にメーアの事と今日は魔法世界に戻ることを伝えた。



昇降口に近づいていくと、人だかりができていた。

「優雨ー‼」

人だかりの中から凛と蛍夏が出てきた。

「おはよう2人共。この人だかり何?」

「優雨、忘れてるんだね。今日は考査の順位が張り出される日だよ。」

「2人はもう見たの?」

「まだだよ。優雨達もそろそろ来ると思ったから待ってたの‼」

「ありがとう。じゃあ、見に行こうか。」

そう言って5人で人だかりの中へ入っていく。

1年の結果が張り出されているところで並んで見る。

「やっぱ、優雨はさすがだねー♪」

「3位じゃない‼凄いわね。」

「そんなことないよ。」

私は軽く動揺しながらもそう返す。

「レオン君も随分頭いいんだね。21位なんてさ…。」

そう、レオンがこちらの勉強をし始めたのが考査5日前。

それで、21位取っちゃうってどうなの?1学年240人もいるのに…。

レオンの理解力が恐ろしい…。

他のみんなの順位は、凛が82位、蛍夏が19位、ガイが110位、要は238位だった。

要、下から3番目ってなんなのよ…。


教室に向かって歩きながら凛と蛍夏が考査について話しだす。

「この学校って結構シビアだよね~。1位から240位全て張り出されるんだもん。

しかも平均点もかなり高めだし。」

ここら辺の学校だと普通張り出されるのは1位から50位か100位まで。

全て張り出されるところは滅多にない。まぁ、点数までは張り出されないが。

「そうね。でもしょうがないでしょ。入試の倍率だってかなり高かったし。」

「そりゃそうだけどさ~…。」

未だに凛はぶつぶつと呟いている。

「平均点が高かったのは、高校の範囲が狭かったこともあるでしょ。

凛は何をそんなに気にしてんの?」

疑問に思ったようで蛍夏がそう聞いた。

「え!?あー…気が抜けないなあって‼あはははは。」

ふふっ、要を気にしてるのね。やっぱり凛は優しいわね。

教室に着き、それぞれの席へと散らばる。

いつもより家を出るのが遅かったことと、考査結果を見ていたこともあり、すぐに北見先生が入ってきた。

それと同時に息を切らし滑り込むように要も入ってくる。

あの様子だと結果見てないでしょうね…。

呆れながらも北見先生の話へ意識を向けた。



今日の授業はほとんどテスト返しで、5教科全てが返ってきた。

そして今はもう部活も終わった放課後。

私はレオンとガイと共に学園長室に居る。

「明日諸事情で休むそうだね。あちらの事情かな?」

「…そうですが、一体それをどこで聞いたんですか?」

明日休むということは凛達や郁杜先輩達以外には言っていない。

「何、少し小耳にはさんだだけだよ。気にしないでくれ。」

「本題は何でしょうか?」

「いやー、この部屋にも花がほしいと思ってね。何か見繕ってきてくれないか?」

「…それだけですか。」

「うん、そうだよ。では、お願いするよ。

北見先生には私から話しておくから電話は大丈夫だよ。」

「…分かりました。では失礼します。」

返事をしてさっさと2人を連れて学園長室を出る。

…なんなんだ、あの人は。

言われたことが予想外すぎて呆けてしまった。

「帰りましょうか。」

「「…はい。」」


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