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Optimization -幸せにしてあげる-  作者: kouzi3
第1章 アタシの仕事
3/10

(3) 夢の仕事?

・・・

 

 「…でさぁ。オバァったら、私のこと心配するどころか『怠けるのも時と場所を選びなさい!』とか言うのよ!…酷いと思わない!?…って、ねぇ?…聴いてんの!?」


 アタシは、海の真ん中にポツンと浮かぶ丸い小島のその中央で、ベンチの上に膝を抱えて座りながら、隣に座る男性に愚痴を言ってる。

 空には雲一つなく、眩しいぐらいの陽差し。

 日焼けしちゃうなぁ…とか、思いながらも、ベンチしか無い島の上では木陰も何もありはしない。「アンタ、この炎天下で、よくそんな上着、着てられるわね?」…とか難癖をつけて剥ぎ取った男性の上着を、日よけ代わりに頭に被って、アタシはヒールを脱いだつま先の爪をいじりながら、抱えた膝の上に頬を載せている。


 『聴いていますよ。ちゃんと。えぇ。酷いですね』


 文字にしちゃうと、おざなりで適当な相槌にしか思えない台詞も、アタシ好みの超イケメンに、渋みのある優しい声で言われると…なんだか、思いやりにあふれた優しい言葉に聞こえちゃうから不思議なものよねぇ。


 「でしょ?…あ~ぁあ…何か、ドカッと契約とれて、ミンナから褒められたり、羨ましがられたり…そういう良い話って無いのかしらね…」


 自分でもわかってる。これは愚痴だ。


・・・

 

 ほとんど初対面に近い男性に、しかもその上着を日傘代わりに奪っておいて、アタシは何をやっているんだろう?


 でも、その男性は、そんなアタシに文句も言わずに寄り添い、ニコニコと笑みを見せてくれている。

 アタシには、それがとても心地よくって、もう少し甘えていたくなってしまうのだ。


 「…はぁ。何かさ。色々と文句言ってたら、お腹減っちゃったね。ねぇ?…何か、ここって食べるもの…とか、食べるトコ…とか無いの?」

 『食べ物………ですか?』


 深い意味も何もない。素直な欲求に従って口にした言葉なんだけど、男性は何だか困ったような表情でフリーズする。


 あれ?…アタシ、そんなに困るようなコト、言ったかしら?

 確かに、砂の小山…としか表現しようのないような何も無い小島だけど…。

 周りは海だし、魚ぐらいは獲れるんじゃないかしら?…って、釣り竿もないか…。


 え?…じゃぁ…この男性ひと…どうしてこんなに健康そうな状態で、ニコニコと笑ってられるのよ?


 「…アンタ…も?…ひょっとして、何日も食べてない?…とか?…え?…ってことは、私たち、ここで遭難したっていう…設定?」


・・・

 

 『設定?』


 「いや。だってさ。これって、夢…か、何かでしょ?…アタシ、自分では認めたくないけど…前回も…眠ってる間に、ここへ来ちゃったみたいだし…。えっと…。そうよ!…今回も、アタシ、直前まで電車に乗ってたんだもの!」

 『電車…に…ですか?』

 「うん。泣きながら家に帰る途…中………で…」


 『?…泣きながら…?………』


 アタシは、自分がココへ来る直前の状況を思い出して、急に恥ずかしくなった。

 いくらアタシ好みの男性だからって、出会って間もない男性に、「アタシの仕事は元気でいること!…元気なだけで、毎月、給料もらえるのよ!…いいでしょ!」…何ていう…頭が可愛そうな感じの話なんかできない。


 だからアタシは、それ以前の小原女史の仕打ちについて愚痴を聞いてもらっていたんだけど…うっかり…よけいなことを口走っちゃった。


 「な…ち、違うわよ…あの…ば、バナナ…ムキながら…?」

 『バナナ?』


 しまった。

 よけいに、頓珍漢な女子だと思われてしまった。


・・・

 

 「も、もう!…ど、どうでも良いでしょ!…それより、遭難した設定なら、それっぽく、アンタもお腹空かせた演技ぐらいしてみなさいよ。…それとも、あ、そうよ、ここ、何か、南の島っぽいから…バナナぐらい無いの?」

 『あるように…見えますか?』


 男性は、自らの背後の方へチラッと視線を送り、何もない小島の全周を見回すようにアタシに促す。


 何度も描写するのが躊躇われるぐらい…何も…無いわね。

 あるのは、周りを囲む見渡す限りの海。水平線に…青い空。

 …んで、この小島は…全体が砂浜的な感じで、島の中央まで砂だけでできている…アタシたちが座っているベンチ以外には、本当に何も無い小島。

 浅瀬の海が、偶然、ここだけちょっと盛り上がって、水面に顔を出しているって感じかしらね?


 「なさそうね…」

 『はい。見てのとおりです』


 アタシは、続ける言葉が見つからず、そのまま黙って男性の顔を見続けてしまう。


 コミカルなマンガなら、頭の上に、カラスの足跡みたいなのが…チョンチョンチョンって…ゆっくり横切るように付けられていく…そんなような、何とも言えない気まずい沈黙が続く。


・・・

 

 はぁ…。でも、しかし…この男性。

 つくづくだけど…見れば見るほど…アタシの好みに…どストライクなのよねぇ。


 見るたびに…ストライク!…って思うんだから、野球なら何アウトになってるかわかんないし、ボーリングだとしたら300点満点のパーフェクト連発で、プロトーナメントでも楽々優勝って感じよね。


 …って、やだ、アタシ。

 馬鹿なコト考えてたら、物欲しそうな顔で、男性の顔に呆然と見とれちゃってたわ。


 『…あの…。ひょっとして、私を…食べようとか…思ってはみえませんよね?』


 微笑みを維持したまま…戸惑う…という器用な表情を浮かべて、男性は警戒するように一歩後ろへと下がる。

 うそ。やだ、私…ひょっとして、ヨダレとか垂らしちゃってた?


 「うふっ(笑)美味しそうね。アナタ………って、何言ってんの?…そんなワケないじゃない。じゅるるるっ」

 『じゅるるる…?』

 「冗談よ!…じょ・う・だ・ん!…」


 まぁ…お腹が空いた…っていうのは、これが夢なら飢え死にする前には目が覚めるだろうから問題ないとしても…この直射日光は何とかしたいわよね。


・・・

 

 まぁ。夢の中なら、日焼けも、日射病も…別に問題ないのかもしれないけど…いつ、夢から覚めるかわからないっていう状況の中では、この照りつける陽差しが肌を焼く感覚は、ちょっと乙女としては何とかしたいわけよ。


 「ねぇ。このベンチって…アナタが用意してくれたんでしょ?」

 『そうですよ。本当は駄目なんですけど…アナタがあまりにお疲れのようでしたので…特別に』


 ナイショにしといて下さいね…と男性は小声で付け加える。

 いや。夢の中のことなんて、誰にも言わないわよ。心配しなくても。

 アタシは、心の中でツッコミを入れつつ、穏やかに微笑みかけてくれているその男性に、それなら…と、おねだりする。


 「ナイショにしておくからさ、このベンチの上に木陰ができるように、大きな木を出してくれないかしら?…もう、陽差しが強くって、強くって。暑すぎるのよ」

 『木…を…ここに?…ですか?』

 「うん。出来るんでしょ?」

 『…まぁ。出来ないことは…無いですが…でも、それはちょっと…ルール違反なので…あまり…お勧めしませんが…』

 「ルール違反って何よ?…アタシの夢の中のルールは、アタシが決めるの。ね。良いから早く出してよ!」

 『…夢…じゃないんですが…困ったな…。まぁ…でも、そんなに言うなら仕方がありませんね。…でも、どうなっても知りませんよ』


・・・

 

 「どうせ夢なんだから、どうにもならないって!…ね。は・や・く!」

 『ふぅーーーっ。分かりました。それで?…ひと口に木と言っても、色々な種類がありますけど…何の木をご希望ですか?』

 「へぇ。そんなリクエストも聴いてくれるんだ?…夢にしては細かい設定になってるのねぇ…。そうねぇ………あ。そうだ、さっきバナナの話したでしょ?…バナナって…木で良かったけ?」

 『バナナの木…ですか?…厳密にはバナナは木ではなく草の仲間…バナナ自体も果物では無くて野菜に分類される…らしいですが。まぁ…木と呼びたくなるほどの高さになりますので…多くの方が、バナナの木…と呼んでいたりはしますね』

 「へぇ…。アナタ、物知りなのね。でも、別に木でも草でも良いわ。日陰ができて、お腹が空いたら実を食べるの。一石二鳥でしょ!?…アタシって頭、良ぃっ!!」


 妙にハイテンションなアタシの言葉に、男性は微笑みの中に「やれやれ…困ったもんだね」とか言う時のような感じの表情を混ぜ込んで、溜め息をつく。

 それでも、すぐに表情を引き締め、何やら呪文のようなものを口ずさみ始める。


 【SET AXIS POINT +2604532-0369244 HLEVEL +1.05; BUILD ON TARGET OBJECT…】


 「…ちょ、ちょ、ちょっと待って…何、なに、何によ…いきなり!?」

 『な…何ですか?…と、途中で詠唱を止めるのは、あまり良くないんですが…』

 「あ、アタシ…外国語とか…苦手だって言ったでしょ?…私が分からない言葉で変なこと言わないでよ!」

 『………【ABORT; CANCEL THIS ORDER;】…失礼しました。それでは…日本語で』


・・・

 

 イイカンジで呪文?を唱えていた途中で水を差しちゃったので、さすがに引き攣った笑顔になっちゃったけど、それでも男性は私の希望に応えて、やり直してくれる。


 【座標を設定。水平座標は+2604532-0369244、垂直座標+1.05に。設定座標にオブ…】


 「すとぉ~~~っぷっ!」

 『わっ…な、何ですか?…今度は?…ちゃ、ちゃんと日本語でやってますよ?』

 「え~っ?…本当に?…確かにさっきとはちょっと違ってたけど、何か数字みたいなところとか、一緒だったじゃない!?」

 『い、いや。そ、それはご容赦いただかないと…』

 「難しい言葉使わないで!…何か詐欺に遭いそうで嫌なの!!」

 『む………こ、困ったな。…アナタの要求の方が、よほど難しく思えますが…』

 「どうせ呪文みたいな感じでやるなら、もっと、ソレっぽく格好良くやってよ!」

 『ふむ。…そうきますか?…では…』


 自分でも多少、無茶ブリが過ぎるかな?…と思わないことはないが、これは、きっと、アタシの夢の中の出来事なんだから、少しぐらい我が儘は聴いて欲しい。

 期待を込めて見つめていると、少し憮然としながら男性は右手で後頭部をポリポリと掻き、上目遣いに考えているような表情をする。

 わぉ。何か拗ねている少年っぽくって、可愛い!!…うふっ。何か得した気分。

 ちょっと違う意味を乗せたアタシの視線に気づくことなく、男性は再度呪文を唱える。


 【我が望みは…我が望みに非ず。我は僕。我が主の命に従い、ここにバナナの木を…】


・・・

 

 おぉ。何だか、ソレっぽいわ。イイ感じ出てきたんじゃないの?…うふふ。

 男性は、途中でちょっぴり、さっきの数字っぽいのを小声、かつ、早口で言ったり、意味不明の何かを…やはり早口で…言ったりしたけど、なんとか呪文を完成させる。


 その直後…


 まず、【そこに何かがある】…という気配だけが、強く私の背中に感じられた。


 驚いて振り返るアタシ。

 ベンチの後ろの…小島の一番高い部分の下で、何かが根を張るように蠢く。

 一瞬、世界の色彩が反転したかのように、辺りが真っ暗?…真っ黒に染まる。

 淡いブルーのような、淡いグリーンのようにも見える光の筋が、幾つも立ち上がり、螺旋を描き、格子状の編み目を造る。

 文字に記せば、長くなってしまうけれど、実際には、ほんの一瞬の出来事。

 光の線は無数に現れて、その編み目をあっと言う間に隙間無く埋めていく。


 その光の眩しさに、思わず瞬きをしたアタシ。

 でも、その瞬きの後、世界は色を普通に取り戻していて…


 アタシに照りつけていた陽差しを遮る、背の高い立派なバナナの木が、何事もなかったように…そこに立っていた。


 「あははは…。やっぱ、夢だわ。これ。ちょっと変わってるけど…便利なもんね」


・・・

 

 風が無いからあまり涼しいとは言えないけど、それでも直射日光を浴びずに済むのは女の端くれとしては嬉しい限りだ。

 アタシは、立派なバナナの木を見上げながら、男性に礼を言う。


 「サンキュっ!…魔法みたいで格好良かったよ。うふ。…ってことで、もう、これは必要ないから返すね。これだけ立派な日陰があれば、こんなの逆に暑苦しいだけだから」


 アタシは、日傘代わりに男性から剥ぎ取っていたスーツの上着を投げて返す。

 もちろん、下手投げよ?…上から投げつけるような乱暴な真似はしないわよ。さすがにアタシだってね。

 男性は、別に気にした風もなく、上手に上着を受け取って袖に手を通す。


 「…あ。着るんだ?…アンタ、コスチュームに拘るタイプ?…こんな暑いところで、そんなの着たら修行以外の何モノでも無いでしょうに…」

 『はぁ。まぁ、これもルールですから…』

 「ふぅぅうん。あ。コレ、アタシの夢だから、アタシがいけないのかな?…ゴメンね。そんな堅苦しいルールの夢見ちゃって」

 『え?…あ。はい。問題ありません。慣れてますから…』

 「そっか。夢の中だもんね。暑さが平気な登場人物だって、アリなのね!」

 『………そうですね。アリ…ですね。きっと』


 忽然と現れたバナナの木。暑さが平気な理想のルックスの男性。青く広がる海。

 やっぱりこれは夢なんだ。アタシは、改めてこれが夢だと確信した。


・・・

 

 「…これは、まだちょっと青いわね。…これも、もう少し。ねぇ。夢ならさ、変なリアリティ出さなくて良いから、ちゃんと食べ頃のバナナ付けときなさいよ!…ん、もう…あ。あった。これこれ。このぐらいなら、食べても甘いわよね?」


 アタシは、比較的熟している一本を手折り、手早く皮を剥いて口に咥えてから、もう一本の食べ頃のヤツをもいで、黙って男性の方へと差し出す。


 『え?』

 「え?…じゃないわよ。もぐもぐ…。アンタもお腹減ってるんでしょ?…アンタが出したバナナの木だもの。アタシだけ食べたら、何かアタシが意地悪みたいでしょ?」

 『…はぁ。そう…ですか…ね?…別に私は、空腹というわけではありませんが…アナタがそう仰るなら…。いただきます。…それに、この木も…そう長くは持たないでしょうから…。確かに食べてあげないと…可哀想かもしれませんね』

 「…もぐもぐ。え?…何?…何言ってるの?まだ、こんなに沢山あるのよ。心配しなくても、こんな立派なバナナの木、枯れたりなんかしないわよ」

 『………そうだと…いいですね』


 男性は、少しだけ寂しそうな口調で、そう言ったけど、その後、バナナにもぐもぐと食らいつく。

 あは。

 男性が黙々と何かを食べている姿って…萌えるわね。

 う~ん。これが夢じゃなかったら、絶対、彼氏にしちゃうんだけどなぁ…

 夢の中だけで恋愛ごっこ…ってのも、マスターベーションみたいで、なんかね…。


・・・

 

 「ふぅ。取りあえず、空腹は収まったけど…アタシって、次に眠った時も、また、ここへ来るのかしらね?」

 『………ええ。きっと』


 意味深なほどの間を空けて、アタシの何気ない質問に男性が頷く。


 その頷きを見て、アタシはちょっと苦笑してしまった。

 あは。自分の夢の中で、夢の中だけの登場人物に、アタシは何を訊いちゃってるんだろうね。意味のある答えが返ってくるわけ無いのに。


 いや。アタシの夢なんだから、また、来る可能性はゼロとは言わないけど…そうそう毎回、同じ夢なんて見るかなぁ?

 ってか、こんな夢を毎回見てたら、全然疲れが取れないじゃないのよ。

 寝ている間も、こんな風に起きてる時みたいにはしゃいでたら…そのうち疲れ果てて…衰弱死の危険性もでちゃうってば。

 ホント。

 この男性は、好みバッチリ…だけど、どうせ夢だし、夢の彼氏に会うのを楽しみにするようじゃ…アタシの人生もお終いだわ。


 「うふふ。やぁねぇ。もう、来ないわよ。もう、電車から降りて、ちゃんと家に帰ったら、何もかも忘れるために、夢なんか見ないで熟睡するんだから。悪いけど…アナタとも今夜でお別れね」

 『…はぁ。…そうだと良いんですが。そうあるように私からもお祈りします』


・・・

 

 「な、何よ!?…アンタ、アタシと逢えなくなるほうが良い…みたいな言い方してさ。アタシの夢の中の登場人物なら、それらしくご主人様と会えなくなる寂しさを噛みしめたり、嘆いたりするもんでしょうに!?」


 理不尽なアタシの言葉に、男性は困ったように溜め息を吐く。

 まぁ。いいけどね。


 「…でも。ま。確かに、そのうち、また、この夢をみることもあるかもね。…でもさ、そうだとしたら…もう少し、この殺風景を何とかしといて欲しいなぁ…。まぁ…海は綺麗だけどさ…」


 そう言いながら、アタシはベンチの前の超ミニ砂浜の水際に立って、海を覗き込む。

 どこまでも、どこまでも…透き通った海水。

 そう言えば、砂の上にも、水の中にも…全くと言って良いほど生き物や…その生き物の痕跡すら見あたらない。


 荒い砂の上には貝殻も無く、カニの一匹も歩いてはいない。

 水の中には、海草どころかプランクトンすらいないのではないかと思えるほどだ。


 「ねぇ?…魚とか…居ないの?」

 『…はい。今は…まだ』

 「今は?…そんな、もったいぶったこと言ってないで、さっきのバナナの木みたいに、格好良く魔法の呪文でも唱えて出しなさいよ」


・・・

 

 男性は、今度こそ「本当に困った」…といった顔で、アタシを見つめる。


 そんな顔したって駄目なんだからね。

 これは、アタシの夢。

 アタシが欲しいものは、ちゃんと姿を現すって、さっきのバナナで分かっちゃったんだから。そんな出し惜しみしたって、許してあげないんだから。


 『…ふぅ。植物…と違って、生物は…扱いが難しいんですけどね。本当に、本当に、これはルール違反なんですよ?…というか、こんなズルイ発生の仕方を続けていたら、このシステムの存在意義が…』

 「何を意味不明のことをブツブツと言ってるのよ!?…アタシは、意味の分からないことを言われるのが嫌いって言ったでしょ?…いいから、早く出して。魚!…はい、魚」


 基本、アタシに従順な男性だけど、急かす私に、少しだけむくれた顔をする。

 あは。そういう顔もできるんだ。けど、駄目よ。アンタがそんな顔しても、逆に、ちょっと可愛くって、愛しくなっちゃうだけだもん。

 アタシは、意地悪な微笑みを浮かべたまま、黙って男性を見返してやる。


 『分かりました。…どうせ、バナナを出した時点で…いや。この小島やベンチを用意してしまった時点で、私のルール違反は確定してしまっています。いまさら、ルールを遵守しても…仕方ないかもしれません………良いでしょう。出しますよ。で?…魚はすぐにお召し上がりになるんですか?』

 「はぁ?…そんな食いしん坊じゃないわよ。次に来る時までに育ってればいいわよ」


・・・

 

 『私としては、非生物の状態となった…刺身などの状態の方が、創出が簡単で有り難いのですが。…わかりました。睨まないでください。やります。でも、まず魚が住める環境の海にしなければ、一匹たりとも…次のご来訪まで生き延びられはしませんよ?』


 あー。また、難しいこと言い始めた。何なのよ。まったく。


 「あのね。何度も言わせないでよ。これはアタシの…」

 『夢の中だろうと、環境の整っていない水の中で、魚は生きられません!…ここに、空気が無かったら…アナタだって呼吸が出来ないでしょ?』


 う…。ゆ、夢の中だったら…ビキニで宇宙遊泳とか…ありそうだけど………確かに、アタシもそこまでハチャメチャな夢は…滅多に見ないわね。

 しかも、この男性も、こればかりは譲れない…って顔で、アタシの言葉に被せてきたし。こりゃぁ…引きそうもないかも。


 「んもう。何で、そんなにリアルな設定なのよ。まぁ。見てるのはアタシなんだけど。…あ、そうか。アタシの無意識な教養が、夢の中でもあふれ出ちゃってるのね?…ちゃんと、常識的な世界でないと駄目~って…コトかな?」

 『そういう解釈でも構いません』

 「じゃぁ、パパっと魔法で、魚が住める環境に変えちゃってよ。この海」

 『それは…できません。さすがに、他のプレイヤーから苦情が来ます』

 「何?…プレイ…?」

 『い、いや。あの…そ、そういう仕様ですから…』


・・・

 

 「…仕様?」


 『ええ。仕様です。単なるルールというより、これはもう基本の仕様ですから…』

 「そうかぁ…夢の中だと、設定…じゃなくて、仕様…って言うんだ…。何だか、仕事っぽい臭いがして嫌な言い方ね」

 『設定…でも、それほど違いは無いように思いますが?』

 「ぜ、全然違うわよ!…だって仕様って、仕様書とかのあの仕様でしょ?…でも、設定っていったら映画とかドラマの女優になったみたいで、何か良い感じじゃない?」

 『そ…う…ですかね?』

 「そうよ!」


 アタシは元気良く即答して、腰に手をやり胸を張る。

 自分でも意味不明なほどに…自信満々に。


 『まぁ、アナタがそうおっしゃるのであれば…』

 「そうよ。全然、違うんだから。今後は設定って言うこと!…仕様は使用禁止ね!」

 『………』

 「…だ、ダジャレじゃ無いわよ!?」

 『はい。別に誤解はしておりません。では、以後、アナタの前では仕様という語を用いる場合には設定と置換させていただきますので、ご了承ください』


 アタシは、何だか良くわからないけど、男性の迫力に押されて頷いた。

 ただ優しいだけかと思ったら、意外と頑固なところもあるのね。


・・・

 

 黙り込んだアタシに、へそを曲げたかと思ったのか、男性が諭すように優しく説明を始める。


 『本当は、惑星が出来たばかりの原初の海。原初の大気。そういう原初の状態から仕事をしていただくんですが、アナタは全くの初心者のようですから、特別にサービスして、ある程度、現在の地球に近い状態にまで環境が整った状態からスタートできるように配慮したんですよ。これでも…』


 アタシは、何も言えない。だって、言っていることが難しすぎるもの。

 それを、アタシがまだ拗ねているのだと勘違いしてか、男性はさらに続ける。


 『幸い、この惑星に対してオペレーションするプレイヤーは、アナタ一以外にもいらっしゃったので、その…ベテランの方が、惑星全体に効果を及ぼす様々なパラメータの調整をして下さったので…』


 まるで難しいシミュレーション・ゲーム?…の遊び方を説明する男子のように、男性は一所懸命にアタシに語りかける。

 オトコの子って…こういうところ…あるのよね。

 自分の趣味とか…そういうの、コッチの興味のあるなしもお構いなしに、一方的に説明し始めちゃったり…とかさ。

 ま。嫌いなタイプのオトコに、そんなことされたらムカつくだけだけど…好みの男性のそういう所は…なんか、少年みたいで…可愛いのよね。

 …当然、アタシは珍ぷん漢ぷん。だけど、黙って話を聞いてあげた。


・・・

 

 でも…限度ってあるわよね。

 ちょっと、長くなりそうだったので、アタシは彼の唇に人差し指を当てて…


 「はい。すと~っぷっ!…アナタの言いたいことは…要するに、難しそうだ!ってコトだけ良くわかったわ。つまり、そんなの科学とか苦手なアタシには無理!」


 とびっきりの笑顔で、アタシはそう宣言してやった。

 男性って、いつもこうなのよね。

 やってもみないうちから、あ~でもない、こ~でもない…ってさ。


 「アンタは、それを知り尽くしているかもしれないけど、アタシはそうじゃないの。それに、一つ確認するけど…アンタ、この海に、魚を放って確認したのかしら?」

 『え?…いや。そんな可哀想なこと…しませんよ』

 「ほら。ご覧なさい。やってもみないで、駄目だって最初っから決めつけてる。アタシ、この間、シムTVのドキュメンタリーで見たんだけど…確か、本物の海でだって、卵から孵った魚の稚魚の生存率って、もの凄く低いらしいわよ?」

 『卵から孵った………あぁ。仔魚しぎょ…の生存率…のことですね。まぁ、確かに稚魚まで成育できるのは…ほんの一握りと言われていますね』

 「もう。難しいコトは良いの!!何魚か知らないけど…とにかく成魚になるまでに、ほとんどが死んじゃうんだから」

 『…つまり…アナタは、このままの状態の海に…稚魚…を放てと?』

 「うん。…大丈夫よ。沢山、放流すれば、何%かはちゃんと大きくなるって」

 『め………メチャクチャな理論ですね。いや。確かに実験したコトはないですが…』


・・・

 

 男性は、必死にアドバイスを続けるが、彼の知る魚の生態を私は知らない。

 これは私の夢。

 ということは、つまりアタシの知らないルールで魚が育ったり、死んだりしない。


 「よし。試そう」

 『…た、試す?…さ、魚の命を何だと思ってるんですか!?…アナタ』

 「何、言ってるのよ。これはアタシの夢で、別に本当の魚で試すって言ってるわけじゃないのよ?…それに、魚の命のコトをどれだけ考えたって、無理でしょ?…さっき、アナタだって魚の稚魚?…仔魚?…どっちでもいいけど…その生存率が超低いって認めたじゃないの。アタシが、神様でもないかぎり、どのみち魚は死ぬのよ!」

 『かはっ………。あぅあぅ…』


 男性が、喉に何かつまらせたのか…それとも、アタシの非の打ち所の無い理論に、返す言葉が無いのか、とにかく意味不明に「あぅあぅ」と呻きを上げる。

 しばらく、ブツブツと何かを一人不気味に呟いていた男性だが、アタシの主張が変わらないと知ると、ようやく覚悟をきめたようで…


 『ど、どうなっても知りませんよ?…で?…魚の種類は?…稚魚の数は?』

 「あは。注文可能なのね。そうね。どーしよっかなぁ~。よし、鮭にしましょう。鮭ね。だって、鮭って美味しいし、確か…川から海へと旅立って、また川へ遡って卵を産むんでしょ?…ってことは、生命力も抜群よね?」

 『…変な所で頭を使うんですね。分かりました。では鮭で、ちょうど川から海へ出るぐらいの状態まで成長したものを…数は…それに合わせて…』


・・・

 

 やっと、その気になってくれた男性だけど、その口調から、何となく、今回も難しい英語の呪文を唱えそうな雰囲気が満々だったので、アタシは事前に釘を刺す。


 「ちょっと。忘れないでよ。呪文は、それっぽく、格好いいヤツでお願いね!」


 水際で、今まさに呪文を唱えようとしていた男性が、嫌そうな顔でアタシの方へと振り返る。何か言いたそうな表情でしばらく口をパクパクさせていたけど、諦めたようにまた海へ向き直ると、大げさに息を吸い込んで…


 【まだ母ならざる海へ。試みに子たる魚を今、預けん。汝母に至らんと欲すれば…どうか…この儚き命に恵みを与えたもう…誓約の下、今、顕現せよ…汝の名は鮭…】


 あははははは。

 なんか、もうヤケクソな感じで…男性が目を閉じ、顔を真っ赤にしてシャウトしてる。

 呪文の出来はイマイチだけど、その照れた姿が可愛いから、赦しちゃおう。


 次の瞬間。

 まただ。

 世界の色彩が一瞬反転し、今度は男性の手の平から、幾筋もの光の粒が海へと零れる。

 眩しさにまた瞬きすると…世界はもとの色彩へと戻り、水際から陽光を反射する小さい魚の背が、元気良く?…バシャバシャと暴れている。


 何だか綺麗だ…と思って、水際を覗き込もうとした時…急激な目眩に襲われる。


・・・

 

 誰かが…アタシを呼んでいる?

 ココでは無い、どこか別の場所に残してきたアタシの体が強く揺すられている?

 急速に霞んでいく景色の中で、消えゆくアタシに気づいたのか男性が振り返る。

 そして、やや疲れた顔でアタシに別れの言葉?をかける。


 『…次回、こちらへお越しになる時には…今度こそ、ちゃんと仕事をして下さいね』


 別れの言葉にしては、ちょっと失礼な内容だ。


 (仕事?…夢の中なのに…しかも、そんな何もない小島で何しろっていうの!?)


 アタシは、ちょっと腹が立って、叫び返す。

 でも、その声も、本当に出せているのか…もう朧気だ。

 まるで逆に今から眠りに落ちるかのように、アタシと夢の世界は切り離されていく。


 『この世界を最適化する…それがアナタのここでの仕事です。どうぞお忘れ無く…』


 何よ。アタシが、全く仕事を忘れて、ワガママだけ言ってたみたいな言い方。

 失礼だわ。失礼よ。ほんと、失礼なのよ!!!


 「…すいません。失礼を承知で…お願いします。終点です。起きてくださいよぉ」


 気が付くと…アタシは、空っぽの電車の中で、車掌に揺り起こされていた。


・・・


 自分の父親ぐらいの年配の車掌が、困ったような顔でアタシを覗き込む。

 アタシが目を開くと、車掌は、ホッとしたような顔で胸を撫で下ろし…


 「あぁ…。良かった。お目覚めですね。あの…これ、ここから回送になる車両なんですよ。申し訳ありませんけど、お忘れ物ないようにご確認いただいて…お早いお降りのほどを…お願いしますね」

 「す、すいません。あ、アタシ…ね、眠っちゃって…」


 うら若き娘が、電車内で爆睡。

 スリぐらいならまだ良いが、痴漢とかにあっていたらどうしよう…というアタシの不安は、しかし、どうやら取り越し苦労のようだ。

 忘れ物が無いコトを確認し、寝転けていたために乱れたスカートを整え、ドアの横に設えられた小さな長方形の鏡で、寝起きの顔をチェックする。

 そこには、痴漢も大爆笑で退散するであろう、涙で化粧がにじんで、とても人前に晒してはいけない…酷い顔のアタシが痛。…あいや…居た。


 幸い、会社を定時に退出して、そのまま駆け込んだ電車なので、まだあまり遅い時間帯ではない。ポーチで顔を隠すようにして、駅構内のトイレへと駆け込み、取りあえず応急処置で化粧を整える。

 今度は途中で居眠りしないように必死で眠気を堪えて、自分の家のある駅まで戻り、なんとか無事帰宅する。

 家族からは、身に危険が及ばなくてよかった。若い娘が無防備に電車で居眠りとは…云々と心配されたり、怒られたり…


・・・


 取りあえず、化粧を落とし、食事をして…友人とスマホで連絡をとり…眠る時間になる。


 何となく眠るのが怖くて、アタシはソファーでクッションを抱えて、うだうだとしていたのだが…やはり、疲れからか、やがてどうしても眠くなってくる。


 欠伸を一つして、アタシはとりあえず歯を磨く。


 しっかり口をゆすいで、アタシは洗面台の鏡に向かって、ニッコリと微笑む。


 「大丈夫。明日までは引きずらない。負けるもんか…」

 そう自分に暗示をかける。


 部屋に戻り、明かりを消す。

 小さな飾りのついた常夜灯をぼんやりと長めながら、アタシはベッドに横たわる。


 常夜灯の明かりが…だんだんと…ぼんやりしてゆき…やがて…アタシは眠りにおちる。


 (どうか。せめて今夜は…ぐっすりと眠れますように…)


 意識が途切れる寸前。アタシは切実にそう願った。


 でも

 眠ると再び…アタシは、あの小島に立っていた。


・・・

・・・

 

 某日。エムクラック。仮想会議室にて…


・・・

 

 「ふふふ…聞いたぞ。なかなか様になってたじゃないか。えっと…こんな感じだったか?…我が望みは…我が望みに非ず。我は僕。我が主の命に従い…」

 「やめてください…本意ではありませんでした」

 「いやいや。素晴らしいよ。即興とはとても思えないほどだ。あぁ…で。その続きは何だったかな?」

 「…バナナの木を…ここに召喚するもの…也」

 「はは。バナナ。そう。バナナだ。…あの砂地ばかりの小島に。バナナ」

 「言わないでくださいよ。私だって、止めた方が良いとはアドバイスしたんです」

 「彼女はいったい…どんな世界を生み出したいんだね?」

 「…さぁ。彼女は…何も知らずに…迷い込んでしまったようなんです」

 「…迷い込んだ?…何を言っている?…アレは普通に歩いていたら迷い込めるような場所ではないぞ?…いや。達人クラスの迷子にだって無理だ。何せ、この世界とは繋がっていないんだからな。…どういうことだ?」

 「…あ…の…。鎮痛剤か何かと勘違いしたそうで…その…アキラ君が…」

 「知らずに飲んだのかね?…間違えて?」

 「………はい。そうらしいです。…申し訳ありません…」

 「アキラめ…あれほど注意して扱えと言っておいたのに」

 「私からも…きつく注意をしておきましたが…」


・・・

 

 「…しかし。間違えて一度飲んだぐらいなら…それこそ、一度っきりの夢で終わるはずだぞ?…何故、彼女は何度もアクセスしてるんだ?…彼女は、どこかの大富豪の娘さんか何かで…その…アレを気に入ってリピーターになった…というワケであるまい?」

 「そうだったら…良かったんですが…あの実は…」


 ジウは正直に…アキラから聞いた話をCEOに伝える。


 「何だと?…3錠を…一度にかね?」


 シムタブは薬では無いので、一度に複数を服用しようなどと思う者は通常存在しない。

 非常に高価であるため、むしろ1錠たりとも無駄にしようとは思わず、大切に注意深く服用することが前提で開発されている。


 まぁ…初歩的なバグといえば…それまでなのだが。このプロジェクトのシムタブには、複数錠を同時に服用した場合のケースを想定したコードが組み込まれていなかった。

 ジウは、そのバグが最終的にどのような副作用をもたらすのかは現在調査中だが、今のところ彼女の表層意識の活性レベルが一定水準を下回ると、何度でも自動的にログインできてしまう…らしい…ということをCEOに説明する。


 「だから…夢だと思っているようで…その………自分が何をすべきか…分かっていらっしゃらないんです」

 「ふむ…。そのような副作用があるとは…な。つまり…通常ならログオフと同時に働くはずのアポトーシス因子による自壊が起こっていない…ということか?」


・・・

 

 「ええ。おそらく、3錠が相互に作用し合って…正常にログオフの状態を検知できていないのではないかと思われます」

 「そうか…。彼女には気の毒なことをした…というわけか。対策は?」

 「全力を挙げて…行わせています…ですので、多少のルール違反には、どうか目を瞑っていただきたいのです」

 「ふむ。…分かった。良いだろう。ジウ。お前に一任する。…それに、彼女の発想は非常に面白い。冷やかしではなく、あの呪文…我が望みは…云々…というのは魅力的な仕様となるだろう。彼女が夢だと思って、自由に発想しているというのなら…このまま、対策が整うまで、色々と自由にさせてやるのも面白そうだ」

 「そうですね。今はまだ、世界設定自体を目的としたマニアックな仕様となっていますが、この先の計画では…多くのプレイヤーに、ここで生み出された世界で実際に暮らしていただく必要があります。我々の硬い頭だけで仕様を考えたのでは…参加者が集まらないかもしれませんからね」

 「うむ。彼女の健康状態は、小まめにモニタリングしてメディカル部門に報告したまえ、最低限のケアは保証しよう」


 ジウが頷くと、CEOは満足そうに口元をほころばせる。


 「呪文のことだけでなく、彼女の考え方は面白い。あの魚の生存率の話は、確かに無茶苦茶だが、ひょっとすると常識を越えた、新しい世界の姿を、彼女は見つけてくれるかもしれない…」

 「そうですね…」

 「さあ。また、彼女がログインしたようだ。早く行ってやれ。期待しているぞ」


・・・

次回、「アタシの責任?(仮題)」へ続く

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