ソラチネが鳴ったら
ソラチネが鳴ったら
午後9時30分。
タララタッタッタ~♪
料理番組でお馴染みの「ソラチネ第1番の第4楽章」が今日もまた鳴り響く。
「あ! 私でるから!」
家族のだれよりも早く電話をとる。
「もしもし・・・?」
「今日も、出るの早かったな。菜野香」
受話器の向こうから、少し笑っている声が聞こえる。
「だって、親がでちゃったら困るもん」
「ま、たしかにな。あ、そうそう、今日坂城がさ・・」
愛しい人の声が受話器を通して聞こえる。こうして、今日もまた、私の1日で一番幸せな時間が始まる。
私と、彼・・鷹野良太は今年中学2年生になって初めて同じクラスになった。良太は白くて背が高くて、パッと目立つ方ではないけれども、人に好かれる独特のオーラのようなものを放っていた。「ああ・・いいな・・。」
今思えば一目ぼれだったのだろう。私は毎日の学校生活の中で良太の事を目で追うようになっていた。しかし、特に接点があるわけでもなく、憧れで終わると思っていた。思いがけないことが起きたのは、5月に入ったばかりの事だった。
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「ごちそうさま」夕食を終えて自分の部屋へ行く。お気に入りのマンガを本棚から取り出し、半分を読み終えたところで電話が鳴りだした。私の家では義務教育が終わるまでケータイを持たせてもらえないので、私はケータイを持っていない。友達とは家の電話を使って連絡を取り合っていた。見慣れないケータイの番号が映る。不思議に思いながら受話器をとる。
「もしもし?」
「あ、坂城君のお宅ですか?」
「いえ・・浅塚ですけど・・」
「え!? ご・・ごめん。間違えた。同じクラスの鷹野です」
驚いて息をのむ。間違いとはいえ、鷹野君から電話がかかってくるなんて・・。
「ごめんね! 坂城とみる場所間違えてたみたいで・・」
慌てて説明する彼。
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたけ。」
「ほんと? ごめんね。そういや、浅塚と話すの初めてじゃない? 前から聞きたかったんだけど、浅塚って『fairy』好きなの? よく、口ずさんでない?」
『fairy』は私の好きなバンドグループ。
「大好きなの!! ファンがあんまりいないからさびしいんだけど・・・」
「マジで!? 俺も好きなんだよ、『fairy』。仲間いたんだ!」
「ホントに!? 嬉しい!!」
驚くほど会話は弾み、気が付くと電話に出てから2時間が経過していた。
「ごめん、長電話しすぎたね」
鷹野君が申し訳なさそうに言う。
「ううん。全然大丈夫だよ。楽しかったし」
このままじゃ終わってしまう・・。もう少し話していたい・・。すると、鷹野君から思いがけない言葉がかけられた。
「じゃあさ、また明日電話させてよ。もっといろいろ話してみたいから」
「え・・ホントに!?」
「うん。じゃあ、また明日ね」
そう言って電話は切られた。あまりの急展開にしばらく立ち尽くした。そして次の日、本当に鷹野君から電話がきた。楽しい時間はあっという間に過ぎ、切り際にはいつも不安になる。しかし、鷹野君は毎日電話をくれた。「友達以上恋人未満」それがまさに私たちを表現する言葉だった。でも・・・私はずっと好き。
こうして、電話だけの関係を初めて1ヶ月。今に至る。変わったことと言えば、クラスでも話すことが多くなったこと。彼からの電話にすぐに出れるように着信音をベルからソラチネに変えたこと。そして、お互い名字から名前で呼び合うことになったことだった。
「聞いてる? 菜野香?」
良太の声で我にかえる。
「ゴメン、聞いてなかった。何?」
「ん、だからさ、もうすぐテストじゃん? だからさ、賭けしない? 負けた方は勝った方の言うことを何でも聞くっていうことで」
「え・・どう考えてもあたし不利じゃない? 良太頭いいんだもん」
「いや、互角だと思うんだけど・・・。やんない? ほら! わかんないとこは教えてあげるから! 理科得意だし!」
「・・・競争相手に手貸してどうすんのよ? もう・・・。いいよ。やろう!」
「よし、決まりな! じゃあ、じゃあ、お互い相手へのお願い考えようぜ」
何でも一つ聞いてくれるのか・・。何にしよう・・。ケーキを奢ってもらう? それとも、『fairy』の新曲のCDでも買ってもらおうかな・・・。頭の中にいくつものお願いが浮かぶ。そして、ある願いのところで思考が停止した。こんなこと・・頼んでいいのかな・・頼んだらひかれるかな・・・。でも、何だって良いって言ったのは良太の方だし・・。
「よし、決めた。前から食べたかった、ちょっと高めのプレミアムケーキセットを俺に奢れ!」
良太がえらそうにそう言う。
「で?菜野香は?」
思い悩んだ末、躊躇していた願いを思い切って言った。
「こ・・・今年の夏祭り私と一緒に行って!!」
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あっという間にテストの日。こんなに緊張するテストは初めてだ。
私が、勇気を振り絞って行ったお願いに良太は
「うん。別にいいよ」
という二つ返事であっさりと答えた。拍子抜けした私だったけど、天にも昇るような気分だった。多分今までで一番勉強しただろう。
“これで勝ったら良太と夏祭り・・。夏祭りデート・・・。夏祭り・・・。”
のちに友達から聞くとこの時の私には何か鬼気迫るものがあったと言う・・。
テストが終わった。私はドキドキしながら良太からの電話を待つ。
~~♪~~~♪
ソラチネが鳴りだす。私は深呼吸を一回すると電話をとった。
「もしもし。良太? テ・・テストどうだった??」
テスト期間中はしていなかったので、久しぶりの電話だ。緊張して声が少しうわずる。
「いつもより、低めかな・・・。一応合計は435点だけど・・・。菜野香は?」
「か・・・勝った!! 私445点だった! やった! 初めて良太に勝った!!」
「あ~あ。菜野香に負けちまったよ・・・。じゃあ、約束通り菜野香のお願い聞くとするか・・・。何だっけ? 夏祭りだっけ? 」
「あ・・。うん。そう。大丈夫かな?」
「別にいいんだけどさ・・。たださ・・・聞きたいんだけど・・・何で菜野香は俺と祭りなんか行きたいわけ?」
思いがけない質問に言葉が詰まる。
「そ・・・・それはさ・・・・」
「うん、それは?」
良太のことが好きだからよ!!・・・・それが言えたらどんなにいいことか・・・。
でも、この気持ちを言ってしまったらきっと良太は困る。電話をすることもなくなってしまうだろう。私はそんな、何もかもなくすような度胸はない。言ってしまって、気まずくなるぐらいなら、付き合えなくても友達のままでいい。だから、気持ちをグッとこらえてこう言った。
「それはね、男女で夏祭りって、なんか青春っぽいじゃない? なんか、『青春』ってことしてみたいな~って思って。でも、こんなこと頼める異性ってなかなかいないからさ。良太ならちょうどいいかな~みたいな」
「ちょうどいいって・・・なんか失礼な言い方だな・・なるほどね・・・。そういうことか。意外と可愛いこと考えてんじゃん」
良太の『可愛い』という言葉に勝手に反応して顔が真っ赤になる。ホントに電話で顔が見えていなくてよかった・・・。
「そういえばさ、今まで聞いたことなかったけど、菜野香ってさ、好きな人とかいないわけ?」
良太の突然の予想外の質問に驚き、思わず声を裏返す。
「い・・・いるけど・・・」
「へえ? 誰? 俺の知ってる人? もしそうなら協力してやるから教えてよ! あ、絶対に誰にも言わないし!」
良太が興味深々と言った感じで聞いてくる。誰って・・・今電話してるあなたなんですけど!?なんて言えるわけないだろ!!!!!!という、動揺を悟られないように落ち着いた声で言う。
「内緒よ。いくら良太でも好きな人は言えないわよ。逆に聞くけど・・・良太は好きな人いないの?」
さりげなく聞いたが、これはずっと聞いてみたかったことだった。
「え? 俺? ・・・・・いるよ。まあ、菜野香が教えてくれないみたいだから、もちろん教えないけど~」
!!!!!!!!!!!!!!
良太の言葉にショックをうける。ウソ・・・好きな人いるの・・・!?今までそんな素振り見せなかったくせに!!!心の中でそうツッコむ。あまりの衝撃でそのあと良太が何か言っても空返事で全く頭に入らなかった・・・・。
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「・・・というわけなんだけど・・良太に好きな人がいるとか、そーいう話聞いたことないかな?」
翌日、私はクラスで一番仲のいい沙莉奈に昨日の良太の発言を話し、相談をしていた。
沙莉奈は、スラッと伸びた身長にサラサラしたストレートの髪のきれいな子だ。明るく親しみやすい性格の子なので、他のクラスにも友達が多く、情報通である。
沙莉奈が、うーんと唸る。
「鷹野か・・・・。あんま聞かないけど・・・・。あ、そういえば、ちょっと前に藤村由月が好きだって噂を聞いたよ。なんか幼馴染なんだって。名前も呼び捨てらしいし・・・。ってそれは、あんたたちもか。でも、親同士の仲もいいから昔はしょっちゅう遊んでたらしいよ。」
同じクラスになったことは無いけれど、彼女は有名なので顔と名前くらいは知っている。
藤村さんは、ショートカットのサッパリした美人だ。頭も良いので男子からかなり人気がある。
「あ、藤村由月も鷹野の事好きらしいよ。」
「え!? ってことは、あの2人は両想いなわけ!? 私どうしようもないじゃん!!」
「鷹野のほうは確かかわからないよ。あくまで噂だしね。でも、由月のほうは確かだよ。最近はお互い忙しいからあんまり無いらしいけど由月はしょっちゅう鷹野の部屋に入り浸ってたみたいよ。」
キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムが鳴る。
「あんまり思いつめないでよ!!」
沙莉奈がそう言って席に着く。そうは言われたものの、沙莉奈との話の内容が頭から離れず、ついつい良太の方を見てしまう。やっぱカッコいいな・・・。思わずみとれる。すると私の視線に気が付いたのか急に良太が振り向く。
(今・・・バッチリ目あったよね・・・。見てたのバレたな・・・。)
恥ずかしさで顔が火照ってくる。照れ隠しに良太に向かって手を振る。すると良太は苦笑いしながら両手を広げて私の方に見せる。
「???」
訳が分からなくて首をかしげる私を見て良太は今度は口パクをし、何かを伝えようとしている。
(「きょ う 10 じ に で ん わ す る」・・・・・・ああ、今日10時に電話するか・・。)
良太の言葉を理解した私はコクンと頷く。そんな私をみて、良太は眩しいくらいの笑顔を見せる。良太の笑顔でさっきまで悩んでいたことはすっかり頭から消えてしまった。
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~♪♪~午後10時ジャスト予告通り良太から電話がかかってきた。一呼吸おいてから受話器をとる。
「もしもし、良太?」
「ん・・・もしもし・・・」
「・・・・なんか、今日良太眠そうじゃない・・?」
「ああ・・今日塾だったんだよ。ついさっきまで・・・。」
「週3だっけ? 何で、そんな勉強してるくせに、今回のテスト私に負けたわけ?」
「ああ・・・だって、手抜いたんだもん。」
「何で、こんな賭けしてる時に手抜くのよ・・・。」
「だってさ、菜野香とデートしてみるの面白そうじゃん?」
良太の思いがけない言葉にドキッとする。何それ・・私と夏祭りするためにわざと負けたって事・・・?
「なーんてな。ただの負け惜しみでしたー。」
良太がおどけたように言う。火照っていた私の顔から熱が引いていく。良太はズルい。時々こうやって何でもない冗談を言う。こっちがその冗談1つにどんなに期待させられてどんなに戸惑っているかも知らないで・・・。それでも良太に悟られないように私はさりげなく話題を変える。
「ねえ、良太。その・・夏祭りなんだけどさ・・・」
私がそう切り出したときだった。
「ちょっと待って。階段から足音が聞こえてくる・・。」
そう良太が言った瞬間、良太の背後でガチャッという鈍い音がした。
お母さんかな・・。そんなのんきな考えはすぐに砕かれた。
「りょーた! 久しぶりに遊びに来ちゃった! あれ? 電話中だった?」
「ちょ・・何急に・・ごめん! 掛け直すわ! ごめんな!」
良太が慌てた様子で言う。
「え~? 誰!? 彼女!? もしかして良太にも彼女ができたの? マジで!?」
ちょっと低めのよく響く女の子の声・・・。
「うるさいな・・おまえには関係な・・」
そこで良太の声はそこで途切れた。電話をきったようだ。私は呆然とした。良太の後ろから聞こえたあの声は・・・良太の幼馴染の藤村由月だった・・。
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窓から明るい光が差し込む。目がショボショボする。完全に寝不足だ。
昨晩、結局良太からは電話は来なかった。私は明け方まで眠らなかった。いや、正確には眠れなかったのだ。良太との電話を切った後の私は激しく動揺していた。ベッドにも
ぐりこんだ後も頭の中は良太と藤村由月のことでいっぱいで全く眠れそうにもない。
2人が幼馴染で仲が良く、藤村由月がよく良太の部屋に遊びに来るというのは沙莉奈から聞いたばかりだった。だから藤村由月が良太の部屋に突然遊びに来ても何もおかしくはないのだろう。でも・・・・あの時の時間は午後10時よ!?常識的に考えて遊びに来る時間じゃないでしょ!?午後10時に電話している私が言えることじゃないけど・・・。大体なんで良太も掛け直してくれないの!?っていうか、藤村由月は何時まで良太の部屋にいたのよ!?良太はなんで「帰れ」って言わないの!?ここまでイライラしながら思いそしてハッとする。良太・・ホントに藤村由月が好きなんじゃ・・。そしたら、私なんかの電話より優先するよね・・っていうか二人は両思いでもう付き合ってたりして・・・。でもだからって午後10時に遊びに来るなんて!・・・・・・・・
という無限ループを繰り返していた。
だんだん睡魔が襲ってきて思考が停止したのは3時半。恐らく今までで一番睡眠時間が短いだろう。ボーっとしながらも身支度を済ませ、学校へ向かう。良太となんとなく顔を合わせにくい。
「おー。良太おはよー。…お前何でそんな眠そうなんだよ?」
良太の友達の坂城君の声が聞こえた。良太が教室に入ってきたようだ。
「昨日の夜さ、夜中の2時まで起きててさ。睡眠不足なんだよ。だから俺は寝る! 起こすなよ!」
良太はそう言うや否や机に倒れこんだ。
「お前・・夜中の2時まで何してたんだよ・・。勉強か? そんなに頭良くなろうとしてるのか? この裏切り者め・・!」
良太は周りの男子に騒がれながらも無視をして寝ている。勉強・・?違うでしょ!?昨日の事を知っている私は心の中で叫ぶ。何よそれ・・。夜中の2時まで藤村由月は良太の家にいたの・・?それはさすがに常識から外れすぎでしょ・・!?夜中の2時って何してたわけ!?まさか・・・あんなことやこんなことを・・・っていうか、付き合ってるの確定!?
「うう・・・・」
うめきながら机に突っ伏する私を見て、
「え・・ちょ・・・菜野香までどうしたの・・? だ・・大丈夫?」
と、心配してくれる沙莉奈。そんな彼女に対して私は
「ごめん・・・。今日はそっとしておいて・・・。」
と言って突っ伏したままだった。
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結局、1日の授業を上の空で受けた私は、帰宅後良太からの電話を待った。良太は1日ずっと寝ていた。私にはそれが避けられているようで少し悲しかった。
~~♪~~~♪ソラチネの音が響く。窓の外は暗くなっている。時計を見ると午後8時を指している。どうやら気が付かないうちに眠ってしまっていたようだ。待ちに待った良太からの電話。まだ眠い目をこすりながらも電話に飛びつく。
「も・・・もしもし!!!」
「あ・・菜野香? ゴメン、寝てたかんじ? 声がちょっと眠そうなんだけど・・」
良太が優しい声で言う。
「あ・・ちょっと寝てただけだから。っていうか・・・良太こそ今日めっちゃ眠そうだったけどさ、昨日どうしたわけ・・・?」
さりげなく気になっていることを切り出してみる。
「あ・・・ああ・・・昨日はごめんな。結局電話返さなくて。その・・幼馴染の由月が、急にうちに来てさ。誰と電話してたのかうるさく聞いてきて。電話できなかったんだよ。」
良太が申し訳なさそうに言うけれど、私が聞きたいのはそんなことじゃない。私が聞きたいのは・・・何で夜中の2時まで一緒にいたのかよ!!
「良太さ・・夜中の2時まで藤村さんと一緒にいたの?」
冷静を装って聞いてみる。
「1時半くらいまでかな・・・・。あ、でもやましいことは何も無いからな。誰からの電話かしつこく聞いてくるから、由月の気をそらさせようとして、ゲーム取り出してやってたらなんか2人とも夢中になっちゃってさ。気づいたら1時半過ぎてて・・。で、結局眠りにつけたのが2時ってわけですよ。」
「ふーん・・。ずいぶん仲良いんだね。でもさ、夜中の1時半ってさ非常識じゃないの?」
陽太の話を聞いてイライラしてきた私はついキツイ口調になってしまう。
「由月の家さ、母子家庭なんだよ。で、あいつ一人っ子だからさ、誰もいなくて寂しいんだよ。俺とは兄弟みたいなもんだから・・。しょっちゅう遊びに来るんだろ。ってかさ、何で菜野香がそんなに怒るわけ?」
「別に・・怒ってないけど? ただ、良太が甘い顔しちゃってるから藤村さんが調子にのっちゃうんじゃないの? 付き合ってない男女がさ、夜中の1時半まで一緒にいるとかさ不謹慎じゃない?」
良太が藤村由月の事をかばうように話すのを聞いてるとイライラしてくる。昨日の私の寝れなかった時間を返せ!!
「何それ・・・。何で菜野香にそんなこと言われなきゃいけないわけ? 俺らただの友達じゃん? 俺がどこで何しようが勝手じゃん。何よりさ、菜野香が由月のこと悪く言うのがガッカリだわ。菜野香ならそんなこと言わないと思ってたんだけどな。」
いつのまにか良太も声に怒気が含まれている。ヒヤッとする。こんな良太の声を聴いたのは初めてだ。言い過ぎた・・・。慌てて謝る。
「ご・・ごめんね・・」
「いや・・おれもちょっとカッとなりすぎたわ。ごめんな。あのさ、俺、今週からちょっと忙しくなってきてさ。電話できる回数減ると思う。」
「ん・・・。わかった。あのさ、良太・・・」
「何?」
「いや・・なんでもない。じゃあ、今日はもう寝るから電話切るね。」
「わかった。おやすみ」
良太の声を聞いてからそっと受話器をおく。ベッドに腰掛けてため息をつく。改めて私たちはただの友達であるのだと思わされる。それに・・良太があんなに怒るとは思わなかった。それも、藤村由月のことで・・・。良太に聞こうとして思わず呑み込んでしまった言葉・・・。
“良太は藤村由月が好きなの?“
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それからしばらくは良太との電話の回数は予告通りに減った。それでも週2回程度は電話をかけてきてくれたり、クラスでも他愛無い話をするので楽しかった。
あっという間に時が過ぎて終業式。今日は・・・ずっと楽しみにしてた夏祭り!!後ろの席から沙莉奈がつついてくる。
「ちょっとちょっと~随分機嫌がいいじゃん~。あ~そっか~今日夏祭りか~菜野香は青春真っ盛りですか~。全く羨ましい・・。もう時間とか決めてるわけ?」
「うん。昨日電話してて、そのときに決めたの。8時に正門の時計の前で待ち合わせって。
良太が塾で8時ころからじゃないと無理だから、私は先に行ってくじ引きでもやってようかな~。」
「ふーん・・・。菜野香は一人で浴衣着れるの?」
「ふえ?浴衣?」
「え・・まさか、私服のつもりだったの? だめだよ浴衣じゃなきゃ!!あたしが着せてあげるから!!あたしの家の前にこのまま直行! わかった!?」
沙莉奈のものすごい気迫にうなずくしかない。そのまま沙莉奈に引きずられるようにして沙莉奈の家まで行く。もう何回も遊びに来ている部屋。沙莉奈がクローゼットを開く。
「あたしがこの間まで着てたやつでちょっと小さくなっちゃったやつがあるんだけど・・・。あったあった、これこれ!!」
沙莉奈が取り出したのは黒地に八重桜と小桜が飛び散った可愛らしい浴衣だった。
「優しくてかわいいらしい菜野香の雰囲気にぴったりの浴衣でしょ! これ着てって!」
そう言うや否や、着付けに取り掛かっている。10分もしないうちに着終わった。沙莉奈が満足そうにうなずく。
「これでよし・・と。あとは・・あ、これつけてよ!」
そう言って淡いピンクの簪を持ってきた。
「これで前髪を留めて・・・。ちょっとだけビューラーでまつ毛あげて・・・。あ、かわいいかわいい!鏡見てごらんよ!」
沙莉奈に渡された手鏡をおずおずと見る。そこにはいつもと違う自分が写っていた。
「・・なんか私じゃないみたい・・・。ありがと、沙莉奈・・。」
「いいってことよ!そんなことよりね、菜野香・・・。」
沙莉奈が真面目な顔で私をみつめる。
「あたしね、ここ最近の鷹野と菜野香見ててね、2人両思いなんじゃないかって思うよ。だからね、今日帰りにでも告白してきな! 浴衣で夏祭りの帰りなんてさ、もったいないくらいのシチュエーションでしょ?」
「いやいや!無理だよ!私なんかが・・」
「大丈夫だよ、菜野香はかわいいもん!それくらいやってくんないと何のために浴衣まで着せたのよ!ってことになっちゃうじゃない。私は菜野香の事応援してんだからさ。」
沙莉奈の言葉に胸が温かくなる。
「ありがと、沙莉奈・・・。私ちょっと頑張ってみようかな・・・。タイミングがあればだけどね。じゃあ、そろそろ行くね。ホントにありがとね。」
沙莉奈にお礼を言って会場へ向かう。後ろを振り向くと笑顔で手を振っている沙莉奈が見えた。
沙莉奈に着せてもらった浴衣を崩さないように気を付けながら待ち合わせの校門に向かって歩く。一歩を踏み出すたびに、心臓がうるさく音をたてる。正門に着くと時計の針は待ち合わせの時間の10分前を指している。少し時間に早かったが、気持ちを落ち着かせるにはちょうどいい。手鏡を出して髪型をチェックする。それから、浴衣が着くずれしていないか見て軽く直す。そして深呼吸。はやる気持ちを抑えて時計を見ると午後8時、待ち合わせちょうどの時間だった。まだ良太は来ていない。まあ、男子なんだから時間に遅れるくらいはあるだろう。そう思い直しそのまま待つ。しかし、待ち合わせから15分を過ぎても良太は来ない。来る途中で事故にでも遭ったんじゃ・・・。不安が胸に広がり、いてもたってもいられなくなる。
「あれ? 浅塚??」
ふいに背後から声を掛けられた。振り向くとそこには良太の友達でクラスメートの坂城君がいた。
「こんなとこで何して・・・ああ、良太と夏祭りの約束だっけ?」
「え・・ちょっ・・何で知ってるの!? 誰から聞いたわけ!?」
「良太しかいないだろ。夏祭り誰と行くのか聞いたら浅塚と行くって言うからさ。なんか、好きなバンド一緒で話が合うんだろ? それでものすごい仲良くなったって良太が言ってたぞ。それにしても・・・良太何でまだいないんだ? だってもう良太の塾終わってるはずだし。ちょっとケータイに電話してみるか。」
そう言って坂城君がケータイを取り出し電話をかけてくれた。しかしすぐに首を振る。
そして、俯く私に言った。
「もしかしたらさ、もうこの会場に来てるかもしれないよ。男友達とかに囲まれててここまでたどり着いてないとか・・。この会場の中ならケータイの音も聞こえないだろうし・・。あ、そうだ!よかったらさ、一緒に探しに行こうよ。この会場そんなに広くないし、2人で探せば見つかるかもしれないっしょ?」
私は驚いて顔をあげる。
「え・・でも、坂城君だって一緒にお祭り行く人いるんじゃ・・・」
「いや、俺の親父がそこで、屋台出しててさ手伝いにかりだされてただけだから大丈夫だよ。それより、このまま浅塚が良太に会えなかったら不憫でしょ。」
「じゃ・・・じゃあ、よろしくお願いします・・。」
坂城君の優しい言葉に感激して頭を下げた。そして、ゆっくりと歩き出す。門をくぐると人々のにぎやかな声と太鼓をたたく音が聞こえてくる。
「浅塚ってさ~良太のこと好きでしょ?」
坂城君がふいに聞いてくる。
「な・・・な・・何を言って・・・」
「いやいや、動揺しすぎだから。わかりやすいな・・・。」
「何でそんな風に・・・」
「いや、だってさ、好きじゃなかったら一緒に祭り行こうとか思わないでしょ、普通は。」
「う・・・何も言い返せないじゃん・・・。」
「ハハハ・・・。図星かよ。まあ、良太いいやつだからな。っていうか・・全然みつからないな、あいつ。やっぱりまだ来てなかったのかな・・・。あ!良太いた!」
良太の指差す方を見ると、水飴の屋台に良太が並んでいた。
「まったく・・あいつは何呑気に水飴なんか買ってるんだよ・・・。ほら、浅塚いっといでよ良太のとこに。」
「うん・・。ありがとね、坂城君。」
坂城君にお礼を言って良太の方へ向かう。
「りょうっ・・・・!?」
良太を呼ぼうとして次の瞬間言葉を失った。良太は1人ではなかった。良太の横には紺の浴衣を着たショートカットの女の子・・・藤村由月がいた。藤村由月が何か良太に言う。それに対して良太が何かを答え、2人が笑う。どこからどう見てもカップルだ。何で・・待ち合わせの場所に来ないで藤村由月といっしょにいるの・・?目が離せず、足が震えその場から動けなくなる。
「どうした、浅塚、何で良太のとこに行かないわけ?」
まだ藤村由月に気づいていない坂城君が怪訝そうに問う。そして私の視線の先を見て、絶句する。坂城君も気づいたようだ。
「何で・・あいつ藤村といるんだよ・・・。何で浅塚との約束すっぽかして・・・。俺、ちょっとあいつのとこ行ってくる。ここにいて。」
怒りをあらわにしながら良太の方へ向かおうとした坂城君の袖を慌ててつかみ止める。
「やめて・・・大丈夫だから行かないで・・。」
「でも!」
「本当に大丈夫だから!良太は藤村さんが好きなのよ。それだけのことだから。本当にいいから・・・。ごめんね、今日は付き合わせて。ありがとう。じゃあ、私帰るから。」
そう言って私は坂城君に背を向ける。そして、走って家に向かう。家に着いて自分の部屋に入った瞬間、目から熱いものがこぼれてきた。せっかく沙莉奈に着せてもらった浴衣もきれいにとかしてもらった髪も走ったのでグチャグチャに崩れてしまった。
どうして・・・藤村由月と一緒にいたの・・?やっぱり、好きな人って藤村由月なの?藤村由月と行く約束をしてたなら何で私からの頼みを承諾したの?あんなにやさしくしてくれたのに・・・何で・・・?その問いに誰かが答えてくれるわけでもない。ただ・・・はっきりとわかっているのは・・・・
「私は失恋したんだ・・・・。」
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それから夏休みがおわるまで一度も良太から電話はかかってこず、新学期が始まっても私と良太はクラスで全く口をきかなかった。お互い気まずく何も言えず視線もかすりさえしなかった。沙莉奈も坂城君も心配そうだったが、私に気を遣ってか何も聞いてこなかった。良太から電話がきたのは新学期が始まってから3日後だった。私の部屋に鳴り響くソラチネの音。夏祭りの前まではあんなにワクワクしていたはずなのに今はただただ気が重い。こんなに電話に出たくないと思ったのは初めてだ。それでもなんとか受話器をとる。そして重い口をひらく。
「もしもし・・・。」
「おれだけど・・・あのさ、話があるんだ。」
「うん・・・。」
待ち合わせ場所に来れなかった言い訳でもしだすのだろうか。私は全て知っているんだから意味ないのに・・・。しかし良太は思いがけないことを言い出した。
「あのさ・・・夏祭りの日どーいうこと? なんで待ち合わせの場所にいないわけ? 俺さずっと待ってたんだけど。」
「何を言ってるの・・・? あたしもずっと待ってたんだけど。」
「は・・・? 嘘つくなよ。っていうか俺見たんだよ。菜野香が坂城と歩いてたの。菜野香、好きな奴いるって言ってたもんな。坂城だろ? 坂城も菜野香のこと気に入ってたみたいだからちょうどいいんじゃないの?それで話まとまって俺との約束すっぽかして坂城と一緒にいたんだろ? 自分から祭り行こうって言い出したくせに、自分勝手すぎだろ。」
「全然違うわよ! だいたい良太だって藤村さんといっしょにいたじゃん!水飴仲良く買ってたじゃん!よくそれで人の事をいけしゃあしゃあと・・・。それに、坂城君は良太が来ないから、一緒に探しに行ってくれたんだよ! なのに、何でそんなこと言うわけ!? だいたい、良太が待ち合わせの場所にいないから・・」
「は!? 菜野香が待ち合わせ場所変更って言ったんだろ!? 正門人多いから水飴の屋台の前にしようって。」
予想外すぎる良太の言葉に私は何が何だかわからなくなる。
「は・・・? そんなこと誰から聞いたわけ? 」
「菜野香が由月に頼んだんだろ? 俺に伝えてくれって。」
「わ・・わたしそんなこと頼んでな・・・」
「由月が嘘ついたとでも? 自分がバツが悪いからって由月のせいにしてんじゃないの? 菜野香の事見損なったわ。もういいや・・。」
「・・・・・そんなにあたしの事信じられないんだ。毎日のように色々話してたのにね。もう良太なんか知らない!!」
そう言い捨ててガチャンッ!受話器を乱暴に置く。悔し涙がこぼれ落ちる。そうか・・良太とすれちがったのは藤村由月の陰謀があったのか・・・。でも・・・少しは私のこと信じてくれたっていいのに・・・。改めて良太の気持ちがどこへ向かっているのがわかった。
良太が私の方を向くことは無い・・・。わかってはいたけどそのことがこんなに辛いなんて・・・。そして私は唇をかみしめ一晩ただただ泣いた・・・・。
翌日。今まで何も聞いてこなかった沙莉奈が私の赤く腫れた瞼を見てギョッとし、今までに何が起こったのかを聞いてきた。私も沙莉奈に隠しておくつもりは無かったので、夏祭りの日から昨日のことを洗いざらい話した。すべてを聞き終えた後、沙莉奈は何かを考えるように口をつぐんだ後ゆっくりと話しだした。
「夏休みの間にそんなことがあったとはね・・・。藤村由月もやってくれたわね・・・。鷹野も藤村由月のことに関しては全く疑わないんだから・・。でもね、菜野香、あたしさ菜野香にも納得してないの。菜野香は鷹野に好きだってこと伝えたわけじゃないんでしょ? それなのに何でフラれたとか言ってるの?当たって砕けてみないとわかんないじゃないの。」
「だって・・・良太はさ藤村さんのことが好きなんだよ? 話聞いててわかったでしょ?」
「鷹野が好きだって言ってたわけ?」
「いや・・そーいうわけじゃないけど・・・。でも、どう考えてもあれは・・・・」
「ほら! そーやって勝手に話を進める! 本人に確かめてないのに何で勝手に決めつけちゃうの? 結局は菜野香は理由をつけて鷹野に気持ちを告げることから逃げてるのよ!」
「な・・・・そんなことな・・・」
「そんなことある! 菜野香はいつも受け身すぎるの。どうしてもう一回自分から電話し
て誤解を解こうとか思わないの? お互いの勘違いでそのまますれちがってていいの? 」
沙莉奈の言葉にハッとする。私は逃げていたの・・・?良太に気持ちを告げることが怖いから・・・。沙莉奈の言うとおり自分から電話しようなんて・・考えたことなかった・・・。
黙ってしまった私に沙莉奈が優しく語りかける。
「今日・・帰ったら鷹野に電話して誤解解きな。それで、ちゃんと自分の気持ち伝えなさい。それでも・・・それでもだめだったら好きなだけここで泣いていいから。」
沙莉奈の言葉に静かに頷く。頷いた私を見て沙莉奈は安心したように微笑んだ。
帰宅後。頭の中で良太に伝えたいことを整理する。そして、19時になった瞬間深呼吸をして、良太のケ-タイの電話番号をゆっくりと押す。
「もしもし・・・。」
三回目のコールで良太の声が聞こえた。
「もしもし、良太。昨日はごめんね。言い過ぎたと思う。でもね、本当に私待ち合わせ場所変えてなんて頼んでな・・」
「ごめん、それは俺が悪かった。」
私の言葉を遮って良太が言った。
「昨日冷静になって思ったんだ、今まで菜野香は俺に嘘をついたことなんか無いって。だから、今日由月に聞いたんだよ。そしたら、自分が嘘ついたって。・・・俺と菜野香が2人で夏祭り行くところなんか見たくなかったからって。それで・・・ずっと好きだったって言われた。」
足元が冷たくなった気がした。目の前が真っ暗になる。何でこんなにタイミングが悪いの・・・・。せっかく気持ちを伝えようと思ったのに・・・。
「だから俺はちゃんと由月に言ったんだ。」
結果なんてわかってる・・。これ以上言わないで・・
「俺は・・・・」
聞きたくない・・・やめて・・・
「好きな人がいるからゴメンって。」
!!!???一瞬何を言っているのかわからなかった。どういうこと・・?藤村由月が好きなんじゃ・・・・?
「俺が好きなのは菜野香だよ。ずっと菜野香が好きだよ。」
良太の言葉が信じられなかった。思わず自分の頬をつねる。・・・痛い。じゃあ、これは現実・・・?目から涙がこぼれ落ちる。でも、昨日とは違う幸せな涙だ。
「良太・・あのね、私も今日言いたかったことがあるの。私も・・・私も良太が好きだよ。電話をし始めたころからずっと・・。」
「え・・・!?」
受話器の向こう側から良太の息を飲む声が聞こえる。
「だって・・この間菜野香好きな人いるって言ってたじゃん!」
「だから、それが良太なんだよ。良太こそ好きな人いるって言ってたじゃん!」
「俺も、それが菜野香だったの! なんだよ・・不安になって損したじゃねーか・・。じゃあ、何? 俺らはお互い両想いだったのに、勝手に勘違いして勝手に遠回りしてたってこと?」
「うん、残念ながらそーいうことになるみたい・・」
「アホらしい・・・。」
呆れたような良太の声。しかしすぐにやさしい声になって言った。
「じゃあ、改めてこれからよろしくな。」
「うん・・・。」
幸せいっぱいの私たちはその日、夜更けまで話し続けた。
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「結局うまくいったのね。よかった・・。」
翌日、沙莉奈に電話で良太とのことを伝えた。沙莉奈は自分のことのように喜んでくれた。
「うん。沙莉奈に一喝入れてもらわなかったらこうなってなかったと思う。ありがとう。」
「お役にたててなにより。今度はあたしの相談のってね。」
「え!? 沙莉奈好きな人できたの?」
「ふふ・・それはまた後日。そろそろ鷹野から電話くるんでしょ?」
「あ、そうだった。じゃあ、また明日ね。」
そういって受話器を置く。
~♪~~♪直後、ソラチネが鳴り響く。緊張しながら受話器を取り上げる。
「もしもし・・・」
受話器の向こうから聞こえる声。
それは友達でもクラスメートでもない・・・愛しい人の声。
ソラチネが鳴ったら私たちの甘い甘い時間が始まる・・・。
END
こんにちは!初投稿の紅です!
友達が「小説家になろう!」に投稿していて誘われ、投稿しました。
至らない点もあると思いますが気持ちよく読んでいただけると嬉しいです。
ご読了ありがとうございましたm(__)m