その4 夜空の許 作者:蛙
0.
1人の人が帰路に着いている。時計はとっくに12時を回っていた。
「暑い…。」
連日続く猛暑で涼しくない夜が続く中、駅へと向けて走り続けている。
「あっ。」
時間は12時20分ごろ、すでに駅は閉まっていた。
消えかけの公園の外灯のそばのベンチの上に人が1人仰向になっている。
公園の前の道をある少年が歩き過ぎてゆく、そのことに気付き体を起こしその男性を眺めていた。
やがて少年は公園の前を通り過ぎて見えなくなった。
そして、再び体を横にして夜空を眺める。
「どこにあるんだろう…。」
空を眺めながらその少女はそう呟く。
1. A Vacation changE the Girl's inevitable.
「しかし参ったなぁー。」
今日から夏休み、なので地元の友達とゲーセンに遊びに来たのだが、、
なんで工事中だっんだ?
「お前、わざとだろ。」
「んなわけあるか、こっちが聞きたいわ。」
というわけで今、○○の店内で順番待ちである。
「しかしまさか工事中だとは…。」
「お前の番だぞ。」
「あ、おう。」
しかし寒いなおい、冷房ききすぎじゃねえか?
「んで、どうするよ今日?」
「お前から言ってきたんだろうが。」
「そうだっけ?」
「…。」
「そういえば、最近ここの近くにできたあの――――
まあこの頃この街で少しずつ開発が進んでいるらしい。
街にとってはいいことなのかもしれんが
あまり此処にいる時間がないため実感が湧かない。
「今日はもう帰る。」
さっさと帰って寝よ。
「まぁ待てよトシよー。今日の朝面白い話聞いたんだよー。」
ちなみに僕の名前は七川明彦(第一人称はごろごろ変わります)
目の前でなにごとかほざいてるやつが西浦一也だったかな~?
「どうせ嘘だろそれ。」
「嘘じゃないぞ、安川が言ってたし。」
「あいつなら余計に信用出来ない。」
「まあ聞けよ。さっき言ってた場所の近くの公園で幽霊見たらしいぜ。」
「幽霊?」
なんだ、夏にしては早すぎない冗談じゃないか?
「おうよ、なんかベンチに居たらしいけどあいつビビってすぐ逃げたらしい。」
「いつ?」
なんか見たことあるような、、
「昨日の夜の3時ごろ…今日の深夜か、夜に徘徊してる途中で見たらしい。
なんで夜中の3時に外に居たかは知らんがw。」
「…。」
3時?確かあの時は2時ころだったはずだが…
「どした?」
「いや、、別に。」
「それじゃ今日の夜見に行こうぜ。」
「は?」
「だから今日の夜。」
「おい待て、昨日まったく寝てないのに今日も寝るなというのか!」
「ん?何やってたんだ?」
「昨日学校のほうで打ち上げみたいなのやってて終電に遅れたんだよ。
んでそのまま歩いて帰ったわけ。」
「それだったらお前も公園の前通ってたんじゃないのか?」
「まあそうだけど。」
少なくとも幽霊ではなかったなたぶん。
「なんで言わなかったんだよ、で、どんなんだったん?」
「どんなんって、普通の女の子だったけど。」
「女の幽霊か、なになんかモヤモヤしてたの?」
「いや幽霊じゃなかったよあれは、パジャマ姿だったけど」
「幽霊じゃないのかそれ、パジャマってw、徘徊してたんじゃね徘徊女か!」
徘徊って・・絶対こいつろくなことねぇな。
呆れ気味の顔で、
「はぁー、んで今日の夜行くのか?」
「お、行く気になったのか!」
「まあ、気になるし・・・。」
なんで夜の公園にパジャマ姿なんだろうな。
「ンじゃ今日の夜11時ってことで。」
「早すぎだろ!!」
「ということでよろしく!!」
強引だなこいつは、、
てなことで、一昨日からの寝不足の中例の公園に来たのだが…
「なんであいつ来ないんだ?」
今は夜12時を過ぎたころ、遅刻と言って間違い程の時間である。
これなら寝てる可能性があるな…
帰ろうかと思いふと後ろを振り向く
「あれ?」
気のせいだろうかな、人の気配がしたような…
確認しに行こうとしたところ
「おーい!!」
例の遅刻者が現れた。時間帯を考えろ!何時だと思ってんだ。
「遅いし近所迷惑だ。」
「いやーすまんすまん寝てたw」
「やはりそうか。」
後ろを見てみたが人の気配はもうなかった。
「ここにいたんだよな、このベンチに。」
と言いつつベンチに近づいていく。
「ああ、そこのベンチで座ってた。というか体を起こしてたのかなあれは。
こっち見てたし。」
そういえば、なんか遠目を見てたような
「そうか、ふーん。」
しばらくベンチの周りを見ていたがやがて、
「よし、帰るか。」
「はやっ!もう飽きたのかよ。」
来て10分も経ってないぞ。
「いやもうなんか眠いし。」
そう言いながら欠伸をしている。殴っていいかな?
「んじゃなー」
そのまま一也は帰ってしまった。
結局その後、少しベンチに座っていたが幽霊もあの少女も現れなかったので
すぐに家に帰って寝た。
それから2日後、せみがいっそうにうるさくなり始めたころ
僕は、一也の部屋に遊びにきていた。
「しかし暇だな。」
もともと外にあまり遊びに行かないうえこの暑さである、
クーラーのついた部屋に閉じこもりっぱなしになればそりゃ暇である。
「そういえばさあ、昨日またあの公園に行ったんだけど。」
また行ったのか、相変わらず暇だな人のこと言えないけど…
「2時ころに、そしたらベンチに女の子がいたんだよ。」
「え?いたの?」
「ああ、実体はちゃんとあったぞ、んで声掛けてみたら逃げられた、、」
たぶん、徘徊女と呼んだバチがあたったんだな。
しかし、またいたのかあの子…
「というわけで今日は飲むぞー」
「勝手にやっとけ」
うるさいやつだな…
その日は帰るまでゲームなどをして暇をつぶした。
-----昨日はどこいってんですか」
「すいません、ちょっと出てたもので」
「あまり出歩かないようにね」
「はい…」
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その夜、僕はまた寝付けずにいた。
「はぁー。」
扇風機は現在フル活動中なのだがそれでも暑い。
「外に出ようかな…」
ふとそんなことを思って気づくと外に出ていた
もちろん私服である。パジャマではない。
そしてフラフラ歩いているうちにあの公園についた。
これでは徘徊ではないか。
「…。」
今日はそこのベンチには誰も座っていなかった。
というけで、そこのベンチへ即座に寝転んだ。
それにしても星がきれいなもんだ。
開発は進んでるがそれでもまだそんなに周りは明るくないらしい。
「あれがいて座かな?あとさそり座と…」
「一番明るいのがベガでこと座にはいってて
二番目に明るいのがアルタイル、これはわし座にはいってて
あとあれが、はくちょう座のデネブ、
夏の大三角と呼ばれているのがその3つの星ね。」
ああ、なるほどそうなのかさすが…って、えっ!?
あわてて起き上がると、一人の少女がそこに立っていた。
自分と同年代な感じで、とても綺麗なひとだった。そしてパジャマ姿であった。
「え、えっと…」
「こんばんわ。」
「こ、こんばんわ…」
あきらかに動揺してるし俺ww落ちつけ。
「突然で申し訳ありません、驚きましたか?」
「あ、いえ、えぇ…」
僕とは対照的にその女の子は落ち付いていた。
「あ、ど、どうぞ。」
わけもわからず、とりあえず普通に座って席を分けようとした。
「ありがとうございます。」
そう言って僕の横に座った、横と言っても僕と70cmくらいあいてるけど。
それにしても本当に綺麗だ、同年代じゃないかもしれないなと思う。
「今日は星を見に来られたんですか?」
その声はとても透き通っていた。
「いえ、なんとなくです。」
ようやく落ち着いたので普通に喋れた。
「私は星を見に来たんですよここに」
「そうなんですか。」
「あ、申し遅れました私蓬来沙織と言います。」
「えっと、七川明彦です。」
蓬来か、変わった名前だな。
「変わってますでしょ、私の名前。」
「えぇ、確かに。」
「名字を見て、織姫星からとったらしいんですけど
蓬莱は竹取物語ですなんですよね、漢字も違いますし。」
「確かにそうですねw。」
「あなたの名前も七夕を連想させますね。」
「親は偶然だと言ってるですけどね。」
たしかに七夕を思いだす、もう8月だけど。
「それから、この服装は今入院中ですからそうなっているんです。」
「え?大丈夫なんですか?」
ていうか、病院抜けだしたの!?
「ええ、まぁ、軽い病気ですから…」
「そうですか。それはよかったです。」
「…。」
ん?どうしたんだろう。
それからしばらくして彼女は空を見上げた。僕もそれに続いた。
「綺麗ですね。」
「はい…」
「私、この場所で星を見るのが好きなんです。このベンチに寝転んで。」
「病院で見ないんですか?」
「夜、屋上はしまってますし。中庭だとすぐに気づかれますから。」
それでここにいるわけか、この公園病院から近いし。
「そういえばこの前もここにきてませんでした?」
「えっ?いつですか?」
「あ、いえ4日前ほどに」
「え!いたんですか!!」
「?ええ、その日ちょうど公園の前を通ったので」
「そうですか、あなただったんですね」
そう言って少し下向きになった。なんだろう少し顔が赤いような。
「どうかしたんですか?」
「あ、いえ!目が少し悪いんであなたと気付かなかったんです!」
「そ、そうですか」
どうしてそんなに、慌ててるんだろう。
「あ、失礼しました…、一応眼鏡をしてるんですけどね。」
「え、めが…あ、いえなんでもないです。」
とてもかけてるように思えないけどなぁ。
そして二人してまた空を見上げる。
「少し…変な質問しますけどよろしいですか?」
「?ええ、いいですよ」
「もし…例えばですよ例えば、あなたがもし危険なところにいて
そこにいるとすぐに死ぬ可能性があって、それで道があって
その向こう側は今よりは安全だけどいずれ死ぬことがあるの、
それでその道がもしとても危険で今いる場所よりも、
危険で、しかも取り返しのつかない可能性があるの、
その時、あなたはその道を通る?」
とても変な質問だ、まるでもうすぐ死ぬような言い方…
僕は少しの間考えた。
「変ですよね…私。」
「そんなことないですよ。」
「えっ?」
「とにかく僕はその道を進むよ。」
「どうして?とても危険な道なんですよ?」
「たとえその道が危険でも今より安全になるならそこに行くよ
今居る場所で死ぬ前に、死んでからじゃもう遅い。
一生懸命進んで限りある時間を生きる、
たとえその道で死んでも悔いはないでしょ?今いる場所で死ぬよりも。
だからその道を進んだほうがいい、悔いがないように。」
「…。」
彼女は考えるように下を向いた。まるで自分に問いかけるように。
その間僕は、ずっと空を見ていた。
今は会うことを許されない二人を、だけど再び許されるであろう二人を。
それから何分経っただろう、しばらくして彼女が、
「七川さん、ありがとうございました。」
「え?あ、いえ、こちらこそ」
「あなたのおかげです」
「えっ?」
「あなたのおかげでわかりました。そして見つけました。」
彼女はとても穏やかな顔をしていた。それはまるで、星のように。
「答えを…」
そして彼女は空を見上げた。そして
「ようやくみつけた…」
そう呟いた。
それからしばらく時間がたった。
「そろそろ、戻ります。」
彼女がそう言い立ち上がった。
「今日はこんな遅くにすみませんでした。」
そう言って楽しそうに笑った。
「いえ、とんでもないですよ。」
僕も笑った。そして
「今度、お見舞いに行ってもよろしいですか?」
そう聞いた。すると彼女は
「そうですねぇ。」
…ダメなのかな…、そう思った矢先。
「いいですよ。ですけど夏が終わる前…8月の28日にお願いできますか」
「?いいですよ」
ずいぶん先だな一ヶ月くらいある。
「少し都合がありましてそれまでお会いできないんです。」
「そうですか。」
彼女は終始笑顔であった。とても楽しそうに笑っていた。
「それではまた、さようなら」
「ええ、また、さようなら」
そう言い彼女は病院への道を歩いて行った。
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どうも、蛙です。
今回このSummer企画に参加させていただくことになりました。この企画によんで下さった輪音さんありがとうございました。
さて、初めて物語みたいなものを書いたものですから、まったく自信はございません。
もともと、文章を書くのは苦手でしたのですが、この文章「夜空の許」はなぜが4000文字超えてしまいました。
しかし、文章に無駄が多いと思いますのでもっと短くできたかと思います。
この「夜空の許」ですが、もともともう少し文章が続いていたのですがあまりの文字数で考えていた4分の1くらいしか書けませんでした。まあ、これ以上書いてたら大変なことになるとおもいますから。それにこの物語自体自分でもあまり理解していないので不明な点が多いと思います。
この物語の最後のほうで、蓬来沙織さんが七川明彦くんに問いかけるとこですが、初対面の人に決断決めるとかよくできるもんだと自分は思いますね。(ここで、病気にかかっている蓬莱さんが七川くんに手術受けるか決めさせる設定だったんです)まあ物語を短くした結果なんですけど。
では最後に、この本文と「夜空の許」を呼んでくださってありがとうございました。




