その3 小さな姫君・中後 作者:輪音
普段と変わらず、いつものように目覚める朝。
いつもどおり蒸し暑く、いつもどおり日差しの強い朝。
しかしそこにはいつもどおり日常ではないものがあった。まず視界に入るのはふさふさとした緑色。
時折鼻をかすめ、くすぐる。
もちろん野菜のへたとかそういうわけではない。
例の女の子のたぶん髪の毛だ。
もしかしたら彼女のヘタという可能性もあるが一応髪の毛ということにしておこう。
第一、人間と同じ見た目をしているうえに本来髪の毛のある位置に生えているならそれは髪の毛なのだろう。
とりあえず、僕の一日は彼女への水遣りからはじまる。
所詮水遣りと侮ってはいけない。
彼女は水をかけられるのが嫌いなのだ。
周囲の土に身長に注ぎ、その薄緑の肌にはかけないように注意する。
しかも水は水道水ではだめらしい。僕は基本近所の小川の水を使うことにしている。
まったく、これができなくて何度噛み付かれたことか。
まぁ、痛くないからいいのだが。
そしてそのイベントは昼、夜と再び行われる。
しかもことあるごとに動き回り部屋中が砂だらけになってしまう。それらを片付けるのも僕の仕事なのだ。
彼女が誕生して3日。
どれほど急速に彼女が僕の生活になじんできているかわかる。
声こそ出さないものの、彼女がどれほど僕に歩み寄ろうとしてきていることか。
噛み付いてきたりはもちろんのこと、手でつかもうとしてきたり植木鉢ごと無理やり移動してついてこようとしたり僕の発した言葉の口真似をしてきたりするようになっている。
僕が言っていることも少しずつ理解できるようになっているらしい。
水をあげるときに「み・ず」と口パクで言われたときにはびっくりした。
家族とは違う。ペットとも違う。
不思議な彼女が部屋にやってきて、僕の夏は変わった。
もちろん良い方向にだ。
今の夏は、幸せだった。
そんな生活を送る中、転機は突如として訪れた。
彼女が、体調を崩したのだ。
なんだか細かく区切ってしまって申し訳ありません。輪音です。
企画の数少ない他の参加者が作品を完成させられなく、こんなことになってしまってげふんげふん
いえ、私の器の小ささが原因ですね、わかります。
文章が稚拙なのは一応演出として、ということにしております。
「僕」とシンクロしやすいように、ですかね。
というわけで、一応次でこのお話は完結です。
まぁ、企画は続くのでよろしくお願いします。
では、また。




