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国の危機だと助けを求めに来たので冤罪で追放しておいて虫がよすぎるのでは?と指摘してあげたら青ざめた

作者: リーシャ
掲載日:2026/09/26

「やめてください!わたしはそんなこと!」


 目の前で若い女が涙を流し、王子が眉をひそめている視線の先、ショコラエヌ・グランツは心の中で深くため息をついた。


(またこれか……見るの飽きた)


 悪役令嬢の役割の転生者であるからゲームのストーリーを熟知している。

 この後、階段から突き落とされた〜、うわーん。などと濡れ衣を着せられ、断罪される流れだし、外追放、修道院行き。


 場合によっては処刑、なんて物騒なルートもある。展開に飽き飽きしていた。

 前世で何百回とこのゲームをプレイし、あらゆるルートを攻略してきた断罪イベントは、とっくに日常茶飯事。


 最初は「まさか悪役令嬢に転生するとは!」と震え上がったものだが今となっては「はいはい、お決まりですね」くらいの感覚。スナックかな?


 今日に至っては、転びそうになったのを咄嗟に手を差し伸べて支えたのになぜか派手に転び、なぜか突き飛ばしたことになっている。物理法則とは?やってもないことを認識させる。


「ショコラエヌ!一体どういうつもりだ!」


 王子の声が響く。ああ、もう面倒くさい。開き直るしかない。ゆっくり扇子で口元を隠す。ニヤリといかにも悪役令嬢らしい冷笑を浮かべる。


「あら?わたしが突き飛ばしたと?おもしろい冗談ですわね、殿下」


 王子の顔が、ますます険しくなる。これ見よがしに震えている。完璧な悪役令嬢っぷり。


「わたしはただ、ご自分の足でまともに歩くこともできないようなお転婆娘に、少しばかり躾をつけて差し上げようとしただけですのに。それが、こんなにも大層な騒ぎになるとは」


 わざとらしく肩をすくめる。これでいい。これでこそ、悪役。どうせ断罪されるのなら、堂々と悪名を轟かせていく。


(早く断罪して。そうしたら、美味しいお菓子でも食べに行こうかな。この街のパティスリー、新作のタルトが出たんだっけ)


 心の中で、今日の夕食のメニューと、追放後の自由気ままな生活を夢見ていた。


「ショコラエヌ!一体どういうつもりだ!開き直るとは!」


 王子の声が、謁見の間に響き渡る。背後には、涙を浮かべたヒロインと、眉間にしわを寄せた宰相、取り巻きの貴族たちは、ここぞとばかりに非難の目で見ていた。


(ああ、始まった始まった。いつもの断罪タイム)


 心の中で欠伸を噛み殺した。

 ヒロインが転んだのを支えようとしたら、なぜか突き飛ばしたことになりその上、純粋な恋心を弄んだとか、裏で権謀術数を巡らせていたとか。


 身に覚えもないらあらぬ罪状が次々と読み上げられる。


「以上の罪により、ショコラエヌ・グランツ。貴様を王宮からの追放処分とする!今後、一切の爵位と財産は没収、貴様は修道院にて残りの生を悔い改めるがよい」


 高らかに告げられた断罪の言葉に、謁見の間はざわめきに包まれる。王子の顔は、正義感に燃えて輝いているしヒロインは不安げに王子の服の裾を掴む。


(やった!修道院行き!)


 心は、歓喜で舞い上がる。てっきり国外追放か、最悪処刑ルートかと思っていたが、修道院行きなんて。これは、予想外の好ルート。

 修道院といえば、外界との接触は限られるものの、静かで規律正しい生活が送れる。


 余計な貴族のしがらみもなく、気兼ねなく読書に耽ったり、庭の手入れをしたり、美味しいお茶を淹れたりできるのではないか。爵位と財産没収。これで、実家からの重圧から解放される。なんて素晴らしいのだろう。


「お聞き入れください、殿下!わたしはただ!」


 とっさに膝をつき必死に訴える演技を始める。もちろん、断罪を撤回させようとしているのではない。あくまで悪役令嬢らしく足掻いている演技。これで、周囲の見る目が「最後まで見苦しい」となる。完璧。


「殿下、どうか、もう一度お考え直しくださいまし!このショコラエヌ、殿下への忠誠心は誰よりも深く、決してそのような不埒な真似は……!」


 目に涙を浮かべ、喉を震わせ、いかにも悲劇のヒロイン然とした表情で訴える。内心では、早く修道院での読書計画を練っていた。

 王子は、必死の訴えに少しだけ迷いの表情を見せたが、すぐにヒロインの小さな咳払いで我に返る。意思が弱い王族って必要?


「黙れ。貴様の戯言は聞き飽きた。衛兵!この女を連れて行け」


 王家が、貴族の意見を弾いた実績を積み上げてしまうなんて、やれやれだ。


「はっ!」


 屈強な衛兵たちが両腕を掴む。

 ふふふ、これで本当に終わりだ。


「うう……殿下、このお仕打ち、決して忘れませんわ……絶対にいいい!」


 最後に悪役令嬢らしい捨て台詞を吐き、謁見の間を後にした。引きずられる脳裏には、修道院に持っていく本のリストが浮かぶ。


(ああ、最高の断罪日和)


 ショコラエヌは今日も平和な未来に胸を膨らませていた。



 修道院の門をくぐった瞬間、ショコラエヌは深呼吸した。石造りのひんやりとした空気とかすかに香る古い紙と焚き木の匂い。


(なんって清々しいのか)


 王宮の喧騒も貴族たちの陰湿な視線も、腹立たしい王子の顔もここにはない。修道院長が厳しい顔で生活の規律を説くが、ショコラエヌの耳には心地よい子守唄のように響く。


「ショコラエヌ様……以上が、あなたに課せられた務めです。俗世の垢を落とし、心を清めなさい」


「はい。修道院長様!」


 ショコラエヌは満面の笑みで答えた。素直すぎる返答に修道院長はわずかに眉をひそめたが、ショコラエヌの心はすでに自由を謳歌。

 与えられた部屋は簡素だが窓からは小さな庭が見える。持ち込むことを許された私物は、文庫本数冊と愛用のティーセットだけ。必要最低限、これぞスローライフの極み。翌日から修道院の生活に溶け込んだ。


 早朝の祈り、庭の手入れ、厨房での手伝い、読書。特に読書はショコラエヌにとって至福の時間。

 王宮では社交界の義務や貴族としての振る舞いが邪魔をして、なかなかゆっくりと本を読む時間が取れなかったのだ。ここでは、誰に気兼ねすることなく日がな一日、活字の世界に没頭できる。


「ショコラエヌ様、庭のハーブがよく育ちましたね」


 ある日、修道女の一人が声をかけてきた。ショコラエヌが手入れしたハーブ畑は、青々と茂っている。前世の知識と、少しばかりの園芸経験が役立つ。


「ええ。このミントは、フレッシュハーブティーにしたら美味しいでしょうね」


 ショコラエヌは微笑んだ。修道院の食事は質素だが、自分で育てたハーブで淹れるお茶は格別。

 王宮では、最高級の茶葉を飲んでいたけれど、不思議と今の方が心が満たされる。時折、貴族の娘が慰問と称してやってくることもあった。


 彼女たちは、ショコラエヌが修道院でやつれているだろうと予想していたようだが顔色が良く、以前より生き生きとしているのを見て、驚きを隠せない。

 ツヤツヤなのだから。ふふ、ふふと笑う。


「あら、ショコラエヌ様。ずいぶんお痩せになられたようですが、お元気そうでなによりですわ」


 わざとらしい同情の言葉にもショコラエヌは、優雅な笑みを返す。


「ええ、おかげさまで。俗世の煩わしさから解放され心ゆくまで自分と向き合う時間が取れておりますのよ。あなた様も、いかがかしら?」


 嫌味と皮肉を込めて言い放てば貴族令嬢は顔を引きつらせて、立ち去っていく。ふふ、ざまあみろ。

 修道院でのショコラエヌの生活は、穏やかで満たされていた。断罪は、ショコラエヌにとって罰ではなく、最高の自由への切符。

 今日もショコラエヌは、手入れした庭の片隅で、お気に入りの物語を読み進める。風が吹き抜け、鳥のさえずりが聞こえる。


 ああ、なんて素晴らしい世界だろう。

 生活は、ショコラエヌにとって最高の場所。質素ながらも穏やかな日々。

 誰にも邪魔されず、ひたすら読書に耽り、手入れしたハーブを慈しむ。

 王宮の煩わしさとは無縁の、まさに理想郷。そんなある日のこと。


「ショコラエヌ様、よろしければこの資料に目を通していただいても?」


 修道院長が、一冊の分厚い古文書を差し出してきた。何でも、修道院に代々伝わる歴史書だが、筆記体が崩れていて読むのが難しいという。

 王宮では貴族の教養として古語や筆記体の読み書きは必須。元王子の婚約者となれば教養もあると、頼りたいと思うのは当然。なので、喜んでそれを受け取った。


 資料を読み解き、まとめる作業は、知的好奇心を大いに刺激する。王宮では無駄とされた知識が、まさかこんな形で役立つとは。修道院長もショコラエヌの知性と仕事ぶりに驚き、次第に他の難しい文書の解読も任せるようになった。


 こちらも難しくはないので片手間でできるし。知識と実用的な能力でひっそりと修道院に貢献。培った人を動かす力や状況を分析する力が、ここでは純粋な手腕として発揮されるわけだ。笑みがほころぶ。


「おかげさまで、教会の資料整理がずいぶん進みました。ショコラエヌ様には感謝しかありません」


 修道女たちが感謝の言葉を口にするたび、満ち足りた気持ちになった。

 自己肯定感が上がっていく。

 王宮では罵詈雑言しか浴びせられなかったのに、ここでは感謝される。何という違いだろう。最高だ。


 穏やかな日々が数年続いた、ある日。修道院に一台の馬車が停まった。質素な修道院には似つかわしくない、豪華な装飾が施された馬車。

 門が開き、一人の男性が降りてくる。黒いローブを纏い、フードを目深に被っているため顔は見えないがその威圧的な佇まいは、並の人物ではないことを示していた。


「この修道院にショコラエヌ・グランツ、という女性がいると聞いている」


 低くよく通る声が響く。修道院長が慌てて対応に出る。


「はい、確かに。ですが俗世から離れ静かに暮らしております」


「そうか。では、連れてきてもらおうか」


 男の言葉に修道院長は困惑した表情を浮かべた。修道院に匿われている元貴族を無理に引き渡すことはできない、という規約がある。

 男から発せられる尋常ではない圧力に、修道院長は口ごもった。客人の様子を窓から見ていたショコラエヌは、静かに目を細める。


(まさか、今さら連れ戻しに来た?それとも、何か別の用件なの?余計なことを)


 男の纏う雰囲気にどこか覚えがある。フードで顔が見えず、確信が持てない。修道女の服をそっと整え深呼吸した。


「私がショコラエヌでございます。何か御用でしょうか?」


 ショコラエヌは自ら名乗り出た。男はフードをゆっくりと持ち上げる。そこに現れたのは見覚えのある、見慣れない顔。

 凛とした切れ長の瞳、通った鼻筋。冷徹な雰囲気を纏いながらもどこか憂いを帯びたその顔は――。


「ごきげんよう、ショコラエヌ様」


 男は一礼した。知っている人物で、最も関わることのないと思っていた男。目の前の男が深々と頭を下げる声、仕草。


「え……オスカー様?」


 信じられない名前が漏れた。オスカー。物語の、裏主人公ともいえる存在。物語では王子とヒロインの影に隠れて、物語の進行に深く関わる、謎多き宰相の右腕。ショコラエヌとはほぼ接点がなく、まさかこんな場所で対面するとは予想だにしていなかった。


 顔を上げ、冷徹なまでに端正な顔でショコラエヌを見つめる。瞳には想像もつかない、深い疲労の色が浮かんでいるように見えた。内政に苦労もあるのかな。


「このような場所にいらっしゃるとは。王宮は今、混乱の極みにあります」


 眉をひそめた。


(混乱?あの王子とヒロインが順調に結ばれて、めでたしめでたし、じゃないの?仕事してないとか?)


 オスカーは修道院長に一瞥をくれ、修道院長は「では、中でどうぞ」と慌てて二人を応接室へと案内した。簡素な応接室に通されオスカーは深々と息を吐く。


「事態は深刻です。王子は政務を顧みず、民の支持を得られておりません。加えて、周辺国との関係悪化、貴族たちの不満も頂点に達しています」


 口から語られるのは、こちらが知るハッピーエンドとはかけ離れた現実。

 ゲームでは描かれなかったその後の世界の状況。王子がヒロインとの恋愛に夢中になり、政務を疎かにした結果、国が傾きかけているというのだ。さぞ、ハッピーエンドも笑っている。


「私をここへ向かわせたのは陛下ご自身です」


 ショコラエヌは驚きに目を見開いた。国王が?なぜ?


「陛下は、ショコラエヌ様のことを覚えていらっしゃいました。社交界で発揮していた情報収集能力と分析力。明晰な頭脳を」


 視線が顔を真っ直ぐに捉える。


「陛下は、追放を後悔されています。国の窮状を救うための力を必要としていらっしゃると」


 言葉を失う。


「おっそいわね。なにそれ?」


 断罪された元悪役令嬢が、国の危機を救うために呼び戻される?

 そんな展開、ゲームにはなかった何よりも、穏やかな修道院での生活を捨てるなど考えられない。ノーだ。全くもってこちらにメリットがない。


「はあ。つまり、わたしを王宮に連れ戻すと、そういうことでしょうか?」


 ショコラエヌが冷ややかに問い返したら、オスカーは静かに頷く。いや、頷くだけなんて。話にならない。


「はい。貴女の才覚が、国には必要です」


 窓の外では庭のハーブが風に揺れている。読書に耽り、静かに過ごす日々。それこそがショコラエヌが望んだ平和。

 目の前の男は平和を打ち破る嵐を運んできたわけで。意味がわからないし、わかりたくない。心の奥底でわずかなざわめきを感じる。


(本当に国の役に立てようというの?あの、断罪した国に?というか)


 相手の表情は真剣そのもの。令嬢に、国の命運を託そうとしているなんて、バカなのかな。心に響くのは、怒りと、面倒くさいという感情ばかり。


(はっ。バカバカしい。一体何を言っているの、この男は)


 端正な顔をじっと見つめた。数年前、自分を断罪し平和な修道院に追いやった張本人である王子のために、なぜ自分が尽力しなければならないのか?


 しかも、断罪されるまでのショコラエヌは決して国の政治に積極的に関わっていたわけではない。社交界で情報を集め、分析するのはあくまで自分の身を守るため、ゲームのシナリオを先読みするために過ぎない行為。


「オスカー様」


 声は先ほどよりも一層冷たかった。


「王家から、つまり陛下から断罪され、修道院に追いやられた身。爵位も財産も没収され俗世との縁を切ったはずです」


 椅子に深く腰掛け、腕を組んだ。


「今さら、国が傾いたからといって、呼び戻すなど虫が良すぎるとは思いませんか?一体、あの愚かな王子と媚びへつらっていた貴族たちは、何をしていたのでしょうか?恩赦とでも言うつもりなのですか?なんのでしょうか?冤罪なのに……恩赦というのも、変な話ですがね」


 言葉の端々に皮肉を込める。オスカーは何も言い返せないように押し黙った。全て、紛れもない事実だから黙るのだ。


「それに今、大変平和に暮らしています。朝は庭でハーブの手入れをし、午後は図書館で好きな本を読み。夜は静かに祈りを捧げる。俗世の煩わしさとは無縁のこの上なく、穏やかな日々を過ごしておりますのよ」


 立ち上がり、窓の外の庭を指を差した。そこには丹精込めて育てた色とりどりの花々が咲き誇っている。つやつやしていた。


「平和を、今さら壊されてたまるものですか。貴方方が勝手に傾かせた国などどうでもいいですし、関係ございませんので」


 きっぱりと感情的に拒絶の言葉を紡ぐ。オスカーの顔にわずかな動揺が走った。ここまで明確に拒否するとは思っていなかったのだろう。


「で、ですが、ショコラエヌ様。このままでは、国は……国は」


「知りません。自業自得でしょう。断罪した者たちが苦しむのは当然のことです。冤罪を容易く作る国なんて」


 扇子を取り出し、ゆっくりと広げた。冷たく見下すような表情を浮かべる。


「お引き取りください、オスカー様。貴方方のような面倒な人間とは、二度と関わりたくないのです」


 言葉は氷のように冷たかった。オスカーは、悔しげに唇を噛み締め、それ以上、何も言うことができない。背中を見送った。


 その日から、少しずつ治安が悪化していると耳伝いに聞こえるようになる。遠くの遠くで聞こえる人々の嘆き声。幻聴ではなかった。

 修道院に身を寄せるようになった、商人や旅人たちの口から語られる王都の惨状は、日を追うごとに悪化の一途を辿っている。物資の枯渇。治安の悪化、国境での不穏な動き。

 庭でハーブを摘む手を止め、空を見上げた。


 青く澄み渡る空が、どこか遠い世界の出来事のように思える。


(本当に、このままでいいのかな)


 自問自答を繰り返す日々。確かに、王子もヒロインも、断罪した貴族たちも、身から出た錆。

 苦しむのは当然だと思っていたけど、罪のない民が、飢えや不安に怯えている。修道院もまた、影響から逃れられないので。このままではショコラエヌがようやく手に入れた平和すらも、泡のように消えてしまう。


「ショコラエヌ様、そろそろ祈りの時間です」


 修道女の声に、はっと顔を上げた。

 夕暮れの光が、修道院の石壁を赤く染めている。

 祈りの間に入り、祭壇の前に膝をつく。目を閉じると、心の中に、オスカーの真剣な表情と、口から語られた国の窮状が鮮明に浮かび上がった。


(ただの、傍観者ではいられない)


 悪役令嬢とは物語をかき乱し、主人公たちを翻弄する存在。役目だったはずだ。平和を望んだ結果、自分自身が受動的になりすぎていた。いや、違う。


 平和は、己の手で守らなければならない。そのためには一度、穏やかな場所を出て、愚かな者たちに元令嬢の真の力を見せつけてやる必要がある。


「やり返してやる」


 心の中で、静かに呟いた。


 翌朝、ショコラエヌは修道院長に謁見を求めた。修道院長は顔つきが、いつもより一層凛としていることに気づく。


「修道院長様。王宮へ戻る決意をいたしました」


 修道院長は驚きに目を見開いた。


「ショコラエヌ様、オスカー様の誘いを拒否されたのでは……なかったのですか」


「ええ。ですがこのままでは修道院にも迷惑がかかります」


 窓の外、遠くに見える王都の方角を眺めた。


「国の状況を座視できません。追放した者たちに、どれほど価値のある存在であったか今一度思い知らせてやる必要があるのです」


 瞳には穏やかだったはずの修道女の面影はもうない。研ぎ澄まされた令嬢の顔だった。修道院長は覚悟を感じ取り、頷く。


「承知いたしました。道中は危険です。王宮へ戻る手立ては?」

「ご心配には及びません。策はあります」


 ショコラエヌは微笑んだ。笑みは、どこか恐ろしいほどに美しい。当てはたくさんある。修道院に滞在している商人たちに接触した。

 王都と地方を結ぶ情報網を彼らは持っている。王宮のオスカー宰相の右腕に、連絡を取るよう依頼。自分を迎えに来た際、彼は「陛下がショコラエヌを求めている」と口にしていた。


 それが真実ならば、オスカーは必ず動くはず。商人たちに、ある情報を王都中に流すよう指示した。それは、王宮の耳に入れば、無視できないような、巧妙に仕組まれたもの。


 数週間後、ショコラエヌの予想通り、修道院の門前に一台の馬車が到着。降りてきたのは、やはりオスカーだ。以前にも増して疲労の色が濃く浮かんでいたが、目には希望が宿っているように見えた。他力本願すぎるのではないか?


「ショコラエヌ様……まさか、お気持ちを変えていただけるとは」


「ええ。ただし、いくつか条件がございます」


 貫禄を纏い、オスカーを見据えた。


「まず第一に、与えられた権限は全てにおいて最高位であること。発した命令は、陛下であっても覆せないものとすること。第二に、行動へのいかなる口出しもさせないこと。第三に、敵対する者、あるいは妨害する者が現れた場合、排除する権限を与えること。いかなる身分の者であっても例外はございません」


 オスカーは息を呑んだ。ショコラエヌが要求しているのは事実上の全権掌握だ。


「それは……陛下にご確認を」


「いいえ。確認は不要です。あなたがここに来た時点で国の状況はそれほど逼迫しているのでしょう?ならば、要求を飲まざるを得ないはず」


 ショコラエヌの言葉は完璧に心理を突いていた。国の状況に躊躇している余裕などなく、オスカーは苦渋の表情で頷く。


「しょ、承知いたしました。私、オスカー・ハインリヒが責任を持って陛下にお伝えし、承認を取り付けましょう」


「よろしい。では、王宮へ参りましょうか」


 修道院の門を振り返ったそこには、彼女が手入れしたハーブ畑が、青々と茂っていた。

 穏やかな日々よ、しばしのお別れ。今から、あの愚かな王宮を、根底からひっくり返してくる。


 馬が馬車を引く。カタカタと鳴る道。

 王宮に戻ったショコラエヌは、すぐに変貌ぶりを目の当たりにした。


 華やかさは失われ人は疲弊し、諦めのような空気が漂っている。謁見の間は、大雨以前にも増して重苦しい雰囲気。


「ショコラエヌ・グランツ。よく戻ってくれた」


 老いた国王は憔悴しきった顔でショコラエヌを迎えた。王子の姿はない。国王の話では王子は政務を放棄し、女と城の一室に引きこもっているという。


 確認した条件通り、自身の権限を正式に国王から承認させた。国王は、もはやショコラエヌに逆らう気力すら残っていないようだ。

 オスカーを、自身の補佐として指名した。彼は有能であり何よりもこの国の現状を憂いているので、使い勝手がいいだろう。


「さて、まずは現状把握から参りましょうか」


 宰相室に通じる執務室に足を踏み入れたそこは、書類の山で溢れかえり、国の機能が麻痺していることを示していた。


「オスカー様。まず全ての財務状況、国内の生産高、人口、兵力、周辺国の情報を集めてください。三日以内に全て。いかなる理由があろうと遅延は許しません」


 ショコラエヌの命令にオスカーは目を見張った。彼はすでに寝る間も惜しんで働いていたが、要求は想像を絶する。


「ですが、ショコラエヌ様、それでは」


「言い訳は無用です。国の現状を打破するには、生ぬるいやり方では通用しません。結果を出します。そのためには、貴方にも相応の覚悟が必要です」


 冷徹な眼差しに、オスカーは「はっ」と頭を下げた。


 数日後、オスカーはクマを濃くしながらも、膨大な量の資料を執務室に運び込んだ。それらを一瞥すると、驚くべき速度で読み解き始めた。彼女の脳内では、情報が瞬時に整理され、分析されていく。


「ふむ……国内の生産力は低迷し、食料自給率は壊滅的。貿易赤字は膨らむ一方。兵力が脆弱すぎる。これでは、近隣諸国に攻め込まれても抵抗すらできないでしょう」


 まるでパズルを解くかのように国の問題点を次々と炙り出していった。導き出される解決策を、淀みなく口にする。


「オスカー様。まず、緊急で食料の輸入ルートを確保してください。ただし、交渉は強気で。支払いには我が国が持つ鉱山資源を担保に出すことを示唆しなさい。決して弱みを見せてはなりません」


「鉱山資源を……ですか?国の根幹に関わる重要な資源ですが」


「ええ。ですが、このまま飢えて滅びるよりはマシでしょう?危機的状況だからこそ、大胆な策が必要です」


 判断は常識破りとも言えるものだったが、現状を打開するためには他に道がないことをオスカーは理解していた。


「次に、国内の無駄な貴族の屋敷を接収し、一時的に避難民の受け入れ施設とする。反発する貴族は即刻、爵位を剥奪し追放。異論は認めません」


 オスカーは再び息を呑んだ。自身が受けた断罪を今度は彼女が下すということ。女の瞳には一切の迷いがない。


「義務なので当然ですが……王子殿下とヒロイン殿下には、公務に復帰していただきます」

「それは無理でしょう。あのお二人は……その」

「無理ではありません。無理にさせるのです」


 ショコラエヌは冷ややかに微笑んだ。笑みは、令嬢として王子を苛め抜いていた頃を彷彿とさせる。


 指示は、即座に実行に移された。食料輸入の交渉はショコラエヌが裏で指示した通り、強気の姿勢で臨むことで相手国から有利な条件を引き出すことに成功を納める。長年停滞していた貿易関係が、介入によって動き出したのだ。


 貴族の屋敷接収。これには当然、猛烈な反発が起きた。特に、王子派の貴族たちは非難し、国王に直訴しようとしたがショコラエヌは彼らを一瞥すると、一言も反論させずに爵位を剥奪し国外追放を命じる。


「国王陛下から、わたしにはあらゆる口出しを排除する権限が与えられております。逆らうことは、陛下への反逆と見なしますので」


 言葉と、迷いのない行動力に、反発しようとした貴族たちは凍り付いた。

  まさか、ショコラエヌがここまで徹底的に令嬢として振る舞うとは、予想だにしていなかったのだろう。甘い、甘々だ。次々と追放されていく貴族たちを見て、他の者たちは震え上がり、命令に渋々従うようになった。


 王宮に緊張が走る中、ショコラエヌは最も厄介な問題に取りかかる。真っ先に王子とヒロインについて、テコ入れをする。お花畑たちが引きこもっている、部屋の前に立てば、衛兵たちが困惑した表情で立っていた。


「邪魔です。開けなさい」


 ショコラエヌの言葉に、衛兵は戸惑う。


「ですが、ショコラエヌ様。殿下は」

「殿下であろうと、国の危機に目を向けぬ者は最早、殿下ではありません。私にはいかなる身分の者をも排除する権限がございます」


 ショコラエヌは、冷たい目で衛兵たちを一瞥。衛兵たちは震え上がり、慌てて扉を開けた。

 部屋の中は別世界。豪華な調度品に囲まれ、二人は気ままにティータイムを楽しんでいる。窓の外で飢えに苦しむ民がいることなど、微塵も感じさせない光景。バカにも程がある。


「あら、ショコラエヌ様?どうしてここに?」


 浮気をした女はこちらに気付くも、悪びれる様子もなく首を傾げた。王子もまた、不機嫌そうな顔でショコラエヌを見ている。


「ごきげんよう、殿下、コバンザメっぽいあなたも」


 ショコラエヌは優雅に一礼。瞳には、一切の感情が宿っていないが。なんせ、敬っていないから。


「陛下のご命令により、本日よりお二方には公務に復帰していただきます」


「公務?急になんてこと言うんだ!私にはまだやりたいことが」


 王子が反論しようとした瞬間、言葉を遮った。


「結構です。貴方がたのやりたいことで国は滅びかけているのですよ」


 冷徹に言い放ち、手元の書類を王子に突きつけた。王子の放漫な支出とそれによって、疲弊した国の財務状況を示すグラフ。


「これを見てください。貴方がたの浪費によって民は飢え、国庫は底を尽きかけ。周辺国からは侵攻の危機が迫っているのです」


 王子の顔から血の気が引き、ヒロインもまた青ざめた表情で書類を覗き込んでいる。


「まさか、そんな」

「現実です。国の状況を立て直すために戻ってまいりました。陛下から許しで、全権を掌握し、いかなる邪魔も許しません」


 静かに、有無を言わせぬ声で続けた。


「お二方にはこれから毎日、王都の食料配給所で民の現状を見ていただきます。外交文書の翻訳、緊急議会の準備、全てにおいて参加していただきます。怠れば陛下への反逆とみなし、相応の処分を下します」


 王子とヒロインは、恐怖に顔を歪めた。

 彼らは、ここまで徹底してこちらが再度、悪役に徹するとは、夢にも思っていなかっただろうし。


「断罪された身。失うものなど何もございません。ですから、貴方がたが何をしようとも、容赦なく国を救うため、平和を守るために手段を選ぶつもりはないです」


 冷たい鋼のようだった。目が王子とヒロインの瞳を射抜けば、視線に二人は身震いする。

 この程度で怯むとは。

 コバンザメ女は兎も角、王子は高度な教育を受けているので、威圧感に負けてはいけないはずなのに。教育係はサボっていたのかな?


 こうして、ショコラエヌは 自分を追いやった者たちに、立場を完全に逆転させて見せた。


 王宮の空気は一変し、こちらの采配に注目するようになる。王宮に戻って数週間で、状況は目覚ましい回復を見せ始めた。

 まず、食料配給のシステムを改善し、流通経路を最適化することで、飢餓に苦しむ民への食料供給が安定。これには、修道院で培った地道な知識と、商人たちとの繋がりが役立った。


 次に、ショコラエヌは国の兵力を再編。形骸化していた訓練を厳格化し、貴族の子息たちにも容赦なく厳しい訓練を課す。

 反発する者にはすぐに爵位剥奪と追放の処分が下され、貴族たちは震え上がりながらも従うしかなく。王都の治安維持にも力を入れ私兵組織を解体し、国家の統制下に置いた。


 外交面では、ショコラエヌ自身が交渉の場に立ち、相手国の歴史、文化、権力者の性格までを徹底的に分析し、情報を元に交渉に臨む。

 令嬢としての情報収集能力が、ここで最大限に発揮されたのだ。強気でありながらも隙のない交渉術は、近隣諸国を驚かせ劣勢だった外交状況を好転させていく。


「軍神のようです!」


 オスカーはショコラエヌの働きぶりに驚きを隠せない。顔には以前の疲労の色はなく、活気が戻っていた。


「まだまだです。病巣が深すぎる」


 冷徹な表情を崩さない。内心では、確かな手応えを感じていたけれど。王子とヒロイン。彼らはショコラエヌの徹底した管理下に置かれ毎日、民の苦しむ姿を目の当たりにし膨大な書類に目を通させられた。


 最初は反発していた二人も、次第に目の前の現実から目を背けられなくなっていく。特に王子は、自分の無知と怠慢が招いた結果に、深く後悔の念を抱き始めているらしい。


「ショコラエヌ様……私が、間違っていました」


 ある日、王子はショコラエヌの執務室を訪れ、頭を下げた。息を吐く。

 顔には、以前のような傲慢さはなく、真摯な反省の色が見て取れる。


「殿下も、自らの過ちを悔い、今では積極的に配給の手伝いをされています」


 オスカーが補足したのを聞き、ショコラエヌは、静かに王子を見つめた。深く、解析する。


(ようやく、愚か者が現実を見た)


 ショコラエヌは感情を表に出さなかった。内心では、遅すぎると厳しく低評価を下していたけれど。


「お分かりいただけたのなら、結構です。ですが、貴方がたの罪は、そう簡単に消えるものではありません。これからは、言葉ではなく、行動で示してください」


 ショコラエヌの厳しい言葉に、王子は再び頭を下げる。

 謝られてもなと、今更ながらの気持ち。自身は今や王子の心を支配する存在となっていた。いや、勝手に敗北感を感じてお腹を相手が見せているだけなのだが。


 数ヶ月後、国の状況は劇的に改善され、物価は安定し、治安も回復。

 人も戻ってきて。国境での小競り合いも収束し、周辺国との間に和平交渉の道筋が見えてきた。

 改革は、貴族社会にも大きな変革をもたらす。能力主義を徹底し、無能な貴族は容赦なく排除された。

 これにより、貴族たちの意識も変わり、国のために尽力する者が増える。一段、また上向きになった。


「ショコラエヌ様。国の立て直しは、貴女なくしてはありえませんでした」


 国王は、心から感謝の言葉を述べ、オスカーもまた、ショコラエヌに深々と頭を下げた。おべっかもやはり、王となればうまいのだなと冷たく目をやる。


「国の真の救世主です」


 ショコラエヌは言葉に何の感慨も抱かなかった。なんせ、この人こそが婚約破棄、冤罪、追放の書類にハンコを押した最終決定者。王さえ、しっかり背後を洗えばなにも起こらなかったのだ。


「まだです。目標は、まだ達成されておりません」


 最終目標、それは二度と平和を邪魔させないこと。誰にも邪魔されたくない。そのためには国が完全に安定し、誰が統治しようとも揺るがない強固な基盤を、築く必要がある。

 憂いは残しておくべきではい。ショコラエヌは国王に摂政制度の導入を提案。国王が高齢であり、王子もまだ経験不足なため権限を分散し有能な人材が、国の運営に携わる仕組みを構築するべきだと主張していく。


 なんでもかんでも、とにかく取り入れねば。これは、将来的に王子の資質に左右されない、安定した国家運営を目指すため。ではないと、国がなくなることになる。

 摂政の一人にショコラエヌはオスカーを指名した。十分な能力と忠誠心がある。もう一人、意外な人物を指名した。ショコラエヌを断罪した、元ヒロイン。


「え?まさか!なぜ?彼女は」


 オスカーが驚きに声を上げた。


「ええ。彼女は、民と直接触れ合う中で、今はもう真の優しさと国の問題を肌で感じています。 以前のような愚かものではありません。感情に流されやすいという欠点はあるものの、民からの支持を得やすいという利点もあるのです」


 冷静に分析すると、伝えてショコラエヌ自身は、摂政の座を辞退した。


「裏方に回ります。国の基礎を盤石にするまで、貴方がたを指導し監視し続けます」


「ショコラエヌ様こそ、摂政にふさわしいお方では……」


 呆れ果てることを言い出す。国王が訴えたが首を横に振る。ありえない。


「目的は、権力を掌握することではございません。国の機能が完全に回復し、もう二度と外部の者が介入する必要がなくなるまで力を貸すだけです。その暁には」


 ショコラエヌは遠く修道院の方角に目をやる。


「再び静かな場所へと戻ります。今度こそ、誰にも邪魔されない本当の平和を手に入れるために」


 王宮を救った今や、英雄として讃えられているが、最初から心にはただ一つの目標しかない。いい加減に他力本願もやめてほしいと口元を引き結ぶ。


 それから数年後。ショコラエヌの指導のもと、国は完全に復興を遂げた。経済は安定し、国防は盤石。王子は真の国王として成長し、ヒロインもまた、摂政として民に寄り添う、立派な王妃となっていた。


 長かったと、深く回想する。オスカーも、国王と王妃を支える重鎮として、国の未来を担う一人。全ての基盤が整ったことを確認すると、国王とオスカー、王妃に自身の引退を告げた。潮時だ。


「陛下。もう、力は必要ございませんよね。これからは、貴方がた自身の力で国を導いてください」


 国王は目に涙を浮かべて手を取った。


「ショコラエヌ様……貴女には、感謝してもしきれません。どうか、この国の宮廷魔術師として、あるいは」

「あっ、結構です」


 国王の言葉を遮った。瞳は昔と変わらず冷徹で。たった一国に縛られて、働くタチではない。


「国の状況が乱れることが平和を脅かすことに繋がるため、一時的に介入したに過ぎません。二度とそのようなことが起きないよう、貴方達が責任を持って国を治めてください」


 つとつとと伝えて修道院へと戻った。修道院の門をくぐり、庭に出る。手入れしていたハーブ畑は、以前にも増して豊かに育っていた。ミントの香りが優しくショコラエヌを包み込む。


「ただいま」


 誰に聞かれるともなく呟いた。修道院の図書館には新しい書物がたくさん届いていたので、王宮からの援助は途絶えることはないだろう。読みたかった本を手に取り、窓辺の席に座る。外にはどこまでも広がる青い空。

 目を開けて見やった。鳥のさえずりが聞こえる。望んだ、真の平和がそこにあった。


「ふふ……」


 満足げに微笑んだ。心ゆくまで自分だけの時間を満喫できることへの純粋な喜びの笑み。


「え!ショコラエヌ様!?」


「え?か、帰ってきたの?」


「まあ!ショコラエヌさん。よく無事でお帰りに」


「皆さん、長い間留守にしてしまい申し訳ありませんでした」


 きゃあきゃあと、帰還を喜ぶシスターたちの声が堪らなく頬を緩ませる。

 元令嬢ショコラエヌ・グランツは、国を救った英雄として、歴史の表舞台から姿を消した。


「ハーブティー、今年もうまくできた」


 静かな修道院で、今日も平和な日々を送っている自身にとってのハッピーエンドは、決して王子との恋物語などではなかったのだ。


 真のハッピーエンドとは誰にも邪魔されない自分だけの平穏な時間。今日も、最高の平和を噛み締めるのみ。

最後まで読んでくださり感謝です⭐︎の評価をしていただければ幸いです。助けたくはないんですがね

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― 新着の感想 ―
面白かった。 どれだけスパダリでも身分的には応じより下だし、男とのハッピーエンドは微妙に思ってたところ、 「帰るべきところが修道院」ってのがすっきり。 >「無理ではありません。無理にさせるのです」 …
ショコラエヌ嬢の隠居先が国外だったら国が滅んでいたかもしれませんね。民草の生活さえ保障するなら、他国の侵略もスルーしたのでは。
宮廷魔術師として って、魔法(魔術)使う描写あったっけ?
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