第四十二話
アルとフランは喫茶店を後にして街の探索を再開した。
相変わらずフランは色々な物に興味を持ちアルは丁寧に説明する。
アルとしてもここまでじっくり街を探索したことはないので新たな発見があったりと楽しんでいた。
フランが1つの露店で足を止める。
「これは・・・」
それはマルコシアス王国ではありふれた商品である桜貝を用いたアクセサリーのお店だった。
「お嬢さんお1ついかがですか?」
店主はよく日に焼けた10代と思われる少女だった。
「どれもとても綺麗ですね」
「気に入ったのがあれば言ってください。お金は僕が出しますので」
アルはそう気軽に申し出る。
「そうですね・・・。では、これを・・・」
フランが選んだの綺麗な1枚の桜貝を使ったネックレスだった。
「毎度。銅貨5枚だよ」
アルは少女にお金を渡す。
「せっかくなら着けてあげなよ」
少女はそう言ってウィンクを飛ばしてくる。
フランは期待するような眼差しで少ししゃがんでくる。
アルは恥ずかしさを覚えつつフランにネックレスを着けてあげた。
「ありがとうございます」
フランはそう言ってお礼を言ってくる。
だが、それで終わりではなかった。
「店主。こちらのもくださいな」
「毎度あり」
フランは素早く代金を払ってしまう。
「アルフレッド様。私からのプレゼントを受け取ってもらえますか?」
アルは学生だった頃に聞いた話を思い出す。
桜貝のアクセサリーをペアで身に付けると結ばれる。
そんな話を小耳に挟んだことがあった。
これではまるでフランと恋人のようだ。
だが、断ってはフランが悲しむだろう。
「はい。喜んで」
「着けて差し上げますね」
フランは嬉々としてアルにペンダントをかけてくる。
「ありがとうございます」
「ふふ。どういたしまして」
フランは嬉しそうにしているが自分のことをどう思っているのだろうか?
フランの方が歳上だ。
ここ数日で距離は縮んだようにみえる。
齢差を考えれば弟のように思われているのだろう。
だが、それはそれで複雑だ。
アルはなんだかうまく言葉にできないがもやもやとした気持ちになる。
ヒンメルン王国の国王であるジェイクが婚約の話を持ち出してきたが強国であるヒンメルン王国の第一王女であるフランと結婚したいと思う人は大勢いるだろう。
幼い自分がその候補者達と争い結婚を勝ち取るのは難しいだろう。
他にもっと相応しい人がいるはずだ。
自分にできるのは少しでもフランに今この時を
楽しんでもらえるようにすることだけだ。




