表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

とんでもファーストキス

作者: 雲乃琳雨

柳瀬三洋(やなせみひろ)は、中学2年の美術部員。髪は後ろの下でお団子結び。制服が汚れないようにエプロンをしている。放課後美術室で部活中だが、絵はそっちのけで、窓を開けてグラウンドにいるサッカー部員を眺めたいた。


「あ~、田中先輩カッコいい」


スラリとした体形の田中先輩は、長めの髪を一結びしている。汗がきらりと光る。卒業間近で、たまたま参加したようだ。ラッキー♡。


ガラ!


突然、ドアが開いた。振り返ると、壁に張り付いている男子がいる。ドアの窓から、女子の先輩達が走っていくのが見えた。男子は同じクラスの優木君だ。


優木(ゆうき)君どうしたの?」(3年生が引退して、美術部は私しかいない)

「先輩に追われてて、逃げてるところ。卒業記念に、キスさせろとか、」

ゾッ、「とんでも先輩だね。汗」(セクハラでは。優木君は学年一の美形だもんね)


田中先輩は、軽めのイケメンで、優木君は、正統派で硬派なイケメンといった感じ。


「お前は何してんの?」

「サッカー部の田中先輩を鑑賞してたのよ」


二人で窓の外を眺める。


「お前も、田中先輩のこと好きなの?。あの人、各学年に彼女いるとか聞いた」

「性格はね。あの顔とスタイルが好みなのよ。美が芸術を掻き立てるのよ!」力説する。


(自分が、イケメンに縁がないのは分かってるし、見てるだけだから害は無し。同じ学年の女子マネも彼女だけど、体つき見てればまあ…)


先輩にタオルを差し出している彼女は、中学生なのにナイスバディだった。


「優木君も彼女作ればいいじゃん」

「今は彼女作る気全くない!」


優木は、我関せずで外を見る三洋を見て、その手があったかと考えた。


「お前、俺に全く興味ないから、俺の彼女のフリをしてくれ」

突然の申し出!「いやいや、あの先輩に睨まれて何のメリットがあるのよ」

「お前、イケメン好きなんだろ」

「全然好みじゃないし」

「だからだよ」


(おかしなことになってきた!汗)


「もう帰るから」

「俺も帰る」


廊下を歩く二人。

「ちょっと、ついてこないでよ」



「あ!いた。優木く~ん」


追いかけていた女子先輩が、前から手を振って現れた!。その友達も。こっそり逃げようとする三洋の後ろ襟を、優木は捕まえる。


「こら、待て」

「ぐえ」


三洋の首がしまる。優木は、三洋の肩に手を置き引き戻す。


「先輩すいません。僕彼女いるので」出来立てほやほやの「僕がベタ惚れなんですよ」


そう言うと、優木は三洋の頭にチュっとキスをした。周りは凍り付く。


こいつ!(私の平穏な日々を)



(私はこの日から、全校女子から殺意を感じるようになった。)

「どうしてくれるのよ!」

「僕が守るよ」


歯をキラリと光らせ、優木は嘘くさい笑顔を浮かべる。



優木は、女子先輩に聞いてみた。


「田中先輩はどうですか?」

「あいつは、人としてダメよ!」


意外とまともな答えが返ってきた。


(自分は?)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ