005-襲撃と喪失
「生命...サイクル...」
夜。
私は、寝室でベッドに寝転がって考えていた。
生命がサイクルなら、ノーザン・ライツはサイクルを果たしたんだろうか? と。
考えても答えは出ない。
きっとこういう事は、もっと私が大人にならないと分からない事なのかもしれない。
「...」
お父さんは私をたっぷり叱った。
でも、嫌じゃなかった。
厳しい態度だったけど、その言葉の節々で私を心配してくれてたから。
「あの人にもう一度会わないと」
そう呟いた直後。
何か大きな音が響いて私は飛び起きる。
この音...まさか!
「サイレン...?」
すぐ後に、耳朶を打つ轟音。
窓の外が、まるで雷が落ちた時みたいに光った。
また爆発するみたいな、どーんという音。
「なっ...!?」
窓を開けてベランダに出ると、恐ろしい光景が目に入った。
ビルが燃えている。
ただのビルじゃ無い、都庁舎が、真ん中に穴が空いて燃えている。
爆弾じゃない、だって、断面が融けているから。
「アザミ! どこ行くの!?」
「ちょっとそこまで!」
私は急いで制服に着替えて、靴を履いて家を飛び出す。
飛び出した先で、見た。
空に何か浮かんでいて、それが街を撃っている。
「だ....駄目っ!」
だって、街の方には。
皆がまだいるのに!
その時、轟音とともに私は吹き飛ばされそうになる。
空を何かが横切った。
都市の灯りに照らされて、全部で八つの中型船が見えた。
それらも、街を攻撃している。
「これが......戦争.....?」
「何やってる!」
その時。
私は後ろから掴まれて家に戻された。
振り向くと、お父さんだった。
「もし見つかったら撃たれるかもしれない、今は隠れているんだ」
「.....う、うん」
そうだ、死んだら何にもならない。
サイクルが大事だから....
「落ち着いたら俺の車で中央のシェルターに行こう」
「はい、あなた」
何が起きてるんだろう?
まさか、反乱とか....?
いや、起こすメリットがない。
詳しいことは分からない、でも.....
「(私はただの小娘...難しく考えることは出来ても、私じゃ何もできない)」
私の憧れた人が、またも脳裏を過ぎる。
あの人のように人を救えたらいいのに....
『こちらセレステラⅡ首都防衛無線です。一般市民は都市中央にある地下シェルターへ避難してください。郊外にお住みの方は、車両での避難を許可します。』
「行くぞ」
お父さんに従って、私達は車に乗って逃げる。
だけど、その時。
向こうから走ってきた車が、空から降ってきた光に刺し貫かれた。
炎上する車。
「.....あなた、車は危ないわ」
「ああ、そうだな......アザミ、走れるか?」
お父さんのその声に、私は頷く。
運動靴だから、長く走れるはずだ。
私達は街を目指して走る。
「あなた、あれはどこの船なのかしら...?」
「分からん。連邦の軍じゃない、連邦の軍なら市街地上を航行する際に航空灯を点灯するはずだ」
あれは連邦軍じゃないの?
私の頭の中が「?」で埋め尽くされる。
連邦は宇宙を征服したはずじゃなかったの?
その時、背後から声がかかった。
「おーい!」
「シラーか!」
背後から声がかかった私たちは、そちらを振り向く。
そこには輸送船が止まっていて、おじさんが手を振っていた。
「安全に送ってやる! 来い!」
「助かる!」
「ありがとうございます!」
私たちはおじさんの船に乗って中央に向かう。
暗い場所を狙って、航空灯をつけないで飛ぶことで敵の目から逃れているらしい。
違法だけど、こんな時に何か言ってられるはずも無い。
おじさんの船は、都市と郊外を挟む川を越える。
その時。
衝撃と光が走る。
「ぐわっ!!」
「おじさん!?」
「喰らっちまった! エンジンがやられた....適当な場所に降ろすぞ!」
おじさんがこんなに焦った様子を、私は見たことがなかった。
輸送船は、街中に軟着陸する。
そこは、見覚えのある――――というか、一昨日みんなで行った歴史博物館の正面広場だった。
「おじさん! 怪我してる....!?」
「逃げろ! 早く!」
私はおじさんによってコックピットから放り出された。
直後、光の槍がおじさんごとコックピットを貫いた。
「おじさん!!」
駆け寄ろうとしたけど、もう助からない。そんな予感がした。
私は急いで、貨物室のお父さんとお母さんのもとに向かう。
そこでは、お母さんが倒れていて、お父さんがそれを抱えていた。
「お父さん!」
「いい、行け! 後で合流する!」
どうしよう。
このまま私がお父さんを置いて行ったら。
死んじゃったら........
「.....出来ない、一緒に...」
「馬鹿野郎、行け!」
「う、うん」
私は逆らえなかった。
無力だから。
振り向かないで立ち上がって、博物館を見て。
「........そうだ」
私の脳裏に、ある事が浮かんだ。
出来るか分からない、でも....このままじゃ、おじさんもお父さんも、お母さんも死んでしまう。
だったら最後くらい。
私の英雄のように、誰かを守ってから死にたい。
私は急いで、博物館の中に駆け込んだ(ガラスを割って入った)。
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