表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/30

021-英雄の正妻

時に無知とは、大きな傷を招く。

無邪気にノーザンライツを生ける英雄だと思っていた私は、ある日その全てに裏切られた。

ノーザンライツは決して無敵などではなかったし、知らずに使っていた年代を現す歴――――A.N.が、After Nothern Lightsだと知った時の衝撃。

国教である獣神教の他にもう一つ、ノーザン・ライツを崇める者たちがいた事。

そして、彼の機体...

英雄に映ったそれは、その目で見て...何より恐ろしかった。

それでも、私の脳裏に焼き付いた彼は、どこまでも英雄だった。

恐ろしいのに、ヒロイックに映る。

不思議な感傷だ。


『Q6:ノーザン・ライツの死後、王国の戦争犯罪人に選ばれた者を以下の中から答えよ』

「あ、これは簡単だ....」


私は今日も課題を進める。

歴史の課題において、私に答えられないものは少ないと言っていい。

だから私はいつも、これを最初にやる事にしている。

一番難しいのは数学.......流石にむずかしい.....


『Shin:お暇かな?』


その時、外して置いていた携帯端末が、ホログラムのポップアップを表示する。

ほら来た。

忙しいようで忙しくない時に、あの男は連絡を寄こす。

来るも来ないも自由だとシンは言うけれど、行かなかったらどうなるかちょっと怖くなる。

慌てて着替えて、寝癖を無理やり整える。

耳出し帽を被り、いつものジャケットを着込む。

荷物が入ったポーチと携帯端末を持ち、


「お母さーん、ちょっと遊びに行ってくる!」

「気を付けてね」


家を飛び出した。

既に迎えは来ている。


『ハッチを閉めますよ』

「はい!」


あのちょっとおかしい人....フィーアさんではなく、今日はルルシアさんだった。

シャトルに乗り込むと同時に、シャトルは浮上して加速を開始した。


「.....こんにちは」

「はい、こんにちは。どうですか、隊の居心地は?」

「...悪くない、です」


無難に答えてみる。

なんて返されるか、戦々恐々としていると、ルルシアさんは操縦桿から手を離して、


「なら良かった、可愛い後輩さん」


と言った。

ルルシアさんは、建国の偉人だと聞いているけれど、どうしてシンさんの妻なんだろう?

正直、不釣り合いなカップルに見える。

あの軽率に映るシンという男は、ルルシアさんに合っているとは思えなかった。

勿論言えるわけがないので、私は別の質問をする。


「......ルルシアさんは、この国をどうしたかったんですか?」

「...ストレートな質問ですね、まるで記者みたい...けれど、あなたのその問いには、中身がある。....薄っぺらい質問じゃないって、分かります」


ルルシアさんは困ったようにしながらも、答えてくれた。

私も、何でこの質問をしたかは分からない。

でも、ルルシアさんはバカにしたり、怒ったりせずに続きを口にした。


「....あなたは、最愛の人っているかしら?」

「....」


考える。

大事な人はいる、でも最愛の人は...まだ、いない。


「私にとってその人は世界の全てで、皆を導いてくれるリーダーだった。でもその人には、その人の戦いがあったんです、結果彼は死んだ」

「もしかして....ノーザン・ライツの事ですか?」

「あはははは!」


唐突に、ルルシアさんは笑い声を上げた。

どうしたんだろう、そう私が思った時、ルルシアさんは目じりに浮かんだ涙を拭いて、言った。


「シンの事ですよ、ノーザン・ライツは、シン・クロカワという人の偽名の一つに過ぎません」

「冗談がうまいんですね」


シンがノーザン・ライツな訳がない。

あんな軽率で、人生をノリで生きてそうな人が。


「.....あれでも結構変わったほうなのですよ? 前はといえば、口を開けば資源、次に戦争、そんな人でした。女っけもなくて、私は困ったものです――――もしかして、言い寄られてはいませんね?」

「....はい」


流石に気色悪いので、私は彼に誘われても断るだろう。

....多分?

だいいち、あんなのにときめかないし。


「....とにかく。私はあの人を失って....いえ、失いかけて、あの人は眠りについたのです。10年も眠ったあの人をアテにする事は出来なかった、だから――――長老たちを頼ったんです、頼ってしまったんです」


その結果元老院が出来て、民意のコントロールはルルシアさんの手を離れたらしい。


「ですから、今の国の現状は、私の弱さの帰結です。......私が、嫌いになりましたか?」

「いえ、別に....」


突然こんな質問をした私の方が悪いのだし。

私は頭を下げる。


「ごめんなさい、あなたに会えたと思ったら、突然こういう質問をしたくなって....」

「それはあなたが、現状に不満があるからでしょう? 変えたいと思っていると思っているから、そういう話をした」

「......そう、かもしれないです」


その時、アラートがコックピットから響く。

外を見ると、シャトルがゆっくりとアバターへと入っていくのが見えた。

オートパイロットだったんだ.....


「シンはそんな現状を変えたいと思っているのですよ、さあ、あなたも自分の役目を果たすのです」

「....はい」


最後の言葉に妙な引っ掛かりを感じつつ、私はシャトルから降りるのだった。


面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ