018-小惑星帯の中で
アステロイドに飛び出した私たちは、まず散開する事を選んだ。
とにかく散らばれば、索敵も、まとめて狙われる危険性も無いからだと思う。
「.......来ない、どうして?」
通信が封鎖されているらしく、シンとは話せない。
私だけでやるしかない。
「デルフィニウム、コール」
『スキャン内に反応なし.......各機とのリンクにも異常ありません』
「.....!」
じゃあ安心か、そう思ったその時。
視界の端で射撃光がチラついた。
「ッ!」
『回避機動、パターンD』
プリセットの回避機動を使って、すぐ傍の岩塊から撃たれた弾を回避する。
アステロイドの間を駆け抜けながら、アラートが鳴り響くのを目と耳で感じる。
『連鎖的に反応増大、敵の警戒ラインの帯域に頻繁に暗号化通信が確認されています』
「見つかったのかな....」
『ワープアウト反応なし、92%の確率で敵は潜伏状態です』
私はすぐに、近くの砲台をロックし、デルフィニウム任せの緻密な操縦で岩塊の表側に回り込む。
「プラズマキャノンを使う」
『精密ロック完了、旋回完了まで3.3秒』
私は無言で、トリガーを引く。
着弾まで1秒も掛からず、岩塊ごとプラズマの高熱弾によって吹き飛ばす。
続けて、センサーに映っていた反応が少しずつ消失していく。
「.......」
『心拍数が危険域に上昇しています、リラックスしてください』
「....出来たらね、ふぅ~....」
シールドという、たった一枚の壁。
それは、死への恐怖というものを和らげるにはあまりに心許ないものだ。
だけど....
「綺麗......」
戦いの中にも、人は美しさを見出す。
きっと、10年前....こんな安全な場所じゃない、危険な場所で戦っていたおじいさんやひいおじいさんは、こうやって、戦いの中に美しさを見出して、恐怖を忘れていたんだ。
『射撃感知』
「っ!」
計器の立てる連続した電子音が耳朶を打つ。
速度を上げて射撃を振り切り、機体を回転させて旋回、相変わらずこっちに向けて撃ってくる砲台をロックする。
「他に武器はないかな.....」
プラズマキャノンのほかに武器はないかな。
そう思った時、ラジアルメニューが画面に出た。
「誘導ミサイル....?」
『機体下部に係留されています、残弾四発』
「発射したいけど....どこから?」
『操縦桿裏の下から二番目のスイッチです』
「発射!」
アストランティアを狙ってばっかりで、ミサイルは撃たれていない。
だから私は、機体を斜め上に飛ばして、飛翔するミサイルを着弾させた。
「次!」
『索敵開始』
爆発を確認した私は、機首を奥の基地に向けるのだった。
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