表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/30

017-ひとりの戦い

パイロットスーツに着替えた私は、アバターの格納庫でシンと話をしていた。


「今回の作戦を説明する......サイズは合ってるか」

「合ってます」


いつ測ったのか知らないけれど、今回はしっかりパイロットスーツが用意されていた。

オーロラの話によると、『継続して180時間動作する生命維持装置と、発信機によって救助も見込めます! ただしシールドはないので、脱出装置についているスラスターパックを背負って避けてください!』との事だった。

ムチャ言うなぁ.....


「そいつは白兵戦も出来る。武術の心得は無いだろうが......物理的な衝撃には強い。戦いたければ、それを着たまま敵艦に飛び込むんだな」

「.....やりませんよね?」

「ああ、普通ならな」


何故か私は、「お前ならやりそう」と思われているらしい。

不名誉極まりないけど....仕方ないのかな?


「今回お前は、フルークリッター(突撃騎士)......20機を連れて、アステロイドベルトに潜む敵を攻略する」


フルークリッター、急いで端末で調べると、いくつか型式番号が並ぶ上に説明が出てくる。

『フルークリッターは、第二次キロマイア攻略戦における戦線の拡大により、ドローンによる独立行動のために開発された自律機体である』

…..これ、もしかして。


「....私、必要ないのでは?」

「訓練の側面があるのは確かだ、だが、フルークリッター全機が何らかの妨害でロストした場合、君がいるだけで敵は反撃に出れなくなる」

「.....そうなんですか?」

「敵がまだ残っているのに出撃すると、背面から奇襲されるぞ」

「....そう、ですよね」


シンは私の端末に、何か動画を送ってきた。

再生すると、岩塊の立体モデルと、中央に何か構造物のある動画が出た。


「それがアステロイドベルトの様子だ。中央の基地は囮だと思っていい、敵は岩塊に潜んでいる」

「.......!」


という事は、有利は最初からあちらにあるって事だ。

私は息を飲む。

訓練がわりとはいえ、油断できない戦いだ。


「敵に悟られないように、こちらは艦載機用のワープフィールドジェネレーターで君たちを送り込む。帰り道は送り狼に注意しろ」

「はい」


送り狼.....追撃の事だ。

向こうもエスクワイアがいるだろうし、それに気を付けろって事かも。


「作戦開始まであと15分、トイレは済ませたか?」

「勿論です!」


デリカシーのない奴! そう思いつつ、私はヘルメットを被る。

ノイズキャンセリング機能が、シンの軽口を打ち消した。


『......これでもフレンドリーに話しているつもりだが、君がそれを望むなら仕方ないか』


直後、シンはインカムを取り出して話しかけてきた。

それは、さっきの口調とは打って変わって冷たかった。

怒らせたかな、私は不安になった。

しかし、


『.....冗談だ』


そう言うと、シンは去っていく。


「オーロラ、俺はやっぱり.....」

『警戒されているだけでは?』


そんな会話が、ヘルメット越しにわずかに聞こえた。

どういう人物なのか、全く想像できない。

考える事を諦め、私は梯子を伝ってアストランティアに乗り込む。

スーツに直接ベルトを装着して固定し、キャノピーを下げた。


「......翼よ」


呟くと、メインシステムが起動する。

開いていた翼が畳まれるのが見える。

発進してから開くのだ。


「こちら、えーと......」

『君のコールサインはまだ設定されていない、決めてくれ』

「.......」


コールサインなんて考えたこともないし....


「そのままでいいです、アストランティアで」

「長いな......ウルフでいいか?」

「ウルフ...? 意味は分からないですけど、それでお願いします!」


ウルフ....何だかいい響きに思えた。


「コールサイン、ウルフ! 発進します!」

『滑走路R-11を割り当てます、衝撃に備えてください』

「えっ?」


直後。

足元ごと、アストランティアが高速で動き出した。

準備していなかったので、舌を噛んでしまった。


「台座ごと.....!?」

『この船は大きいんでな、台座ごと機体を移動させて、距離に縛られない艦載機の高速展開が出来るんだ』


迷路みたいな通路を、高速で色々な場所に上がったり下がったり、行ったり来たりしながら、アストランティアは一つの場所に辿り着く。


「ここは....?」

『アバター下部に繋がる滑走路だ、準備は出来てるな?』

「は、はい。コール、デルフィニウム!」

『機体チェック、オールグリーン、トランスファーフレームオンライン』

「スラスター出力上げます」


スロットルを中くらいにまで引き上げる。

それと同時に、機体は一瞬で加速する。

原理はよくわからないけど、機体と滑走路は、電磁石で固定されていて、それで加速を稼ぐらしい。

随分旧式な仕組みだとは思う。

反重力システムで機体を浮かせればいいような....


「どうして反重力で加速させないんですかー?」

『その機体が旧式だからに決まってるだろう、R-11のエアロックを開けろ!』


旧式の機体?

これで....?

宇宙空間に飛び出したアストランティアは、そのまま私の意思に従って、アバターの艦首に向けて旋回する。

スラスターの出力を下げて、旋回性を上げる。

背後を振り向くと、画面に数十の表示が映っている。

あれがフルークリッターらしい。


『Fluke Ritter FRT-061 ”Buzzard”です』

「いいです、性能は分かりませんから....」


何か知りたいなと思った思考を拾って、デルフィニウムが説明を表示してくれる。

用語は分からないので、慌てて表示を消す。


「両翼展開!」


翼を広げて、アストランティアは艦首に回り込む。


『指定位置に整列する、オートマチック操作に切り替えろ』

「はい」


細かい操作はデルフィニウムが代わりにやってくれる。

周囲に、まるで翼のようにフルークリッターが布陣した。


『空間変曲軸線安定、ワープフィールドを生成します』


一瞬、空間が歪んだような気がした。

直後、スロットルレバーが勝手に動き、フルークリッターと共にそこに飛び込んだ。


「わぁああああああああッ!?!?」


とんでもない速度で、訳の分からない空間を飛んだアストランティアは、直後に宇宙空間へと放り出された。

視界の端で、操縦が手動に切り替わる。


『心の準備はいいな?』

「.....はい!」


私は操縦桿を握り締め、フルークリッターと共にアステロイドベルトへと侵入した。

面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ