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014-恐るべき英雄

『敵不明艦隊より、エスクワイア一機出撃』

「何?」


その頃。

「ファンタズム」艦隊の旗艦では、指揮官が眉を顰めていた。

それは疑問である。

それまで艦隊を襲っていたエスクワイアが帰投した今、代わりに出てくる筈のエスクワイアは複数機になるはずだ。

しかし、実際は一機だけ。


「破壊しろ」

「はっ!!!」


音速を超えて飛行するアストランティアとは異なり、ケテルは一瞬でターゲットされ、敵艦隊からの集中砲撃を受けるものの、ケテルにそれは通用しない。

ケテルが展開しているシールドが、攻撃を通すことは無いからだ。


「....ところで、何で俺が出撃し()てるんだ?」

『出るといったのは司令官では?』

「そうだったか.....歳かな」

『10年も寝ていたのに、加齢を気にするのですか?』

「.....悪かったって」


ケテルはシンの脳波操作で、無造作に右腕を突き出した。

直後、そこから放たれた白い閃光が、その先にあった戦艦を突き抜けた。

光が消えると、そこには戦艦の残骸が残るのみであった。


「そんな....」


それを呟いたのは誰か。

….アザミであった。

ケテルは両手を構え、作業をするように艦隊を消し飛ばして回る。


「.....怖い」

『怖いか?』

「ひっ!?」

『戦いはこういうものだ』


急に話しかけられたアザミは吃驚して叫ぶが、シンは冷淡に言い放つ。

ケテルに向けて、四機のエスクワイアが襲い掛かる。


『ンの野郎!!』

『ぶっ殺してやる!』


アザミは恐怖を振り切り、機体を動かそうとするが、


『動かなくていい、見ているんだ』


ケテルの背面から、四機のビットが分離する。

ビットは向かってくるエスクワイアを正確な射撃の連発で難なく撃ち落とし、ケテルの背面へ戻っていく。


「(う、動きもしないなんて......)」


アザミは眼を見開いて、それを見ていた。

同時に、心の中には確信があった。

その姿はノーザン・ライツと重なると。

この人は、自分の憧れの英雄と同じ資格を持っていると。

あの映像の中のような英雄っぽさはなかったものの、アザミは彼を格好いいと思ったのだった。




「あ、あの......」

「どうした?」


数時間後。

私はアストランティアから降りて、シンのもとを訪れていた。

理由は単純。


「やっぱり、雇ってくれませんか?」

「その答えを待っていた....が、親御さんの許可は取ったか?」

「....え?」

「未成年の雇用は保護者の許可が要るんだ」

「......その」


お母さんに、パイロットになって稼ぐなんて言えるわけがない。


「ああ、安心しろ、パイロットとして雇う訳じゃない、俺の持っているフロント企業の一つのアルバイトとして雇う予定だ......給与はそっちで誤魔化してくれ」

「ええ.....」


割としっかりとしていた。


「それから、これは返しておこう」


シンは私に、見慣れたあるものを手渡して来た。

それは、お財布だった。


「え、なんで!?」


あの時スられた筈.....

まさか、あれも全部仕込みだったの!?


「いやぁ、オーロラはこの国の全てのシステムを管理してるからな、後は地上に降りてスリを捕まえればそれでいいって事だ」

「....よかった、学生証....ってあれ?」


お財布の中に入っている紙幣が、前より何か多い気がする。

いや、明らかに多い。


「....あの、これって」

「ん? どうした」

「...ナンデモナイデス....」


しらを切られた以上、突っ返すわけにもいかずに私は財布を鞄にしまった。


「次は盗られるなよ」

「....はい、ところで....帰りはどうすれば?」

「ああ、問題ない」


シンは訳の分からない事を言う。

だけど、言葉には続きがあった。


「この船はこれから、セレステラⅡの国際宇宙港に降下するからな、そこからなら軌道エレベーターで帰れるだろ?」

「そういう事ですか.....あ、親に連絡しないと」


携帯端末を取り出して、お母さんに「今日は遅くなる」とメッセージを送る。

すぐに、「暗くならないうちに帰りなさい」と返ってきた。

ごめん、ちょっと無理かも。

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