第六十話 使命
俺たちは重い大きな扉を押して入った。そして扉は重さのせいかすぐに閉じた。
音が響き渡る。どこまでも続いているような感覚になる。
奴は絶対罠を仕掛けているはずだ。常に警戒しなければ。
すると、どこからともなく脳内に聞いたことのある声が響いた。
〈君たち四人で仲良くここまで来たようだね〉
この声にみんなが反応した。どうやら全員の脳内に話しかけているらしい。
俺が魔王に言う。
「次は何をする気だ!?」
〈何って…お前、腕どうしたんだよ〉
と言って俺の義手を笑った。もちろんムカつかないわけがなかった。
「お前どこにいる!!今すぐ出てこい!ぶちのめしてやる!!」
RPG-7を出して上に構えて引き金に指をかけた。
〈やだなぁ、君と私の仲じゃないか、その物騒なものをしまってくれ、城が崩壊してしまうよ〉
「そうかこのくそみたいな城をぶっ壊せるってわけか」
〈分かった、分かった…私が悪かった、せめてちゃんと攻略してから私を倒してくれ。それまでは頼むからやめてくれ〉
無言で構えていたRPG-7を降ろす。
「攻略したら倒させてくれるのか?」
〈そうだ、そうとも、どうだ?いいだろう?〉
「攻略したら倒させてくれるのか、変わった奴だな」
〈そろそろだ、私の部下が来るぞ気を付けてくるんだぞ〉
そうして魔王の声は聞こえなくなった。変わった奴だ。自分から倒されたいなんて。必ず倒してやるさ。
するとガタガタ地震のような揺れを感じた。恐らく奴の部下だ。
俺と怜奈はすぐに戦闘態勢になった。
「来るぞ、シース、トウヤ、どこから来るか分からない、警戒しろ」
「日向、前から来る、構えて」
怜奈が感づいて俺に知らせる。暗い廊下から松明のような光が見えた。目を凝らすと鎧の魔物がこっちに向かって来るのが見えた。
もの凄い数だ…これは炸裂弾を撃ち込むしかなさそうだ。
俺はKar98kを構えた。
「耐えてくれ魔王城…!!」
俺は引き金を引いて目の前にいる魔物を炸裂弾で吹き飛ばした。だが魔物はそんなに少なくないようだ。
「マズいな…」
「あの壁に穴があるぞ」
トウヤが壁にあった穴に気が付いた。
「少し奥だな。攻撃しながら行こう」
炸裂弾やシースの魔法などを使って穴まで行った。
「みんな入れ!!」
シースからトウヤ、怜奈の順番に穴に入る。最後に手榴弾を投げて俺も穴に入った。
穴は鉄板で塞いだ。
シースが安堵の声を漏らす。
「ふー助かった」
持っていたKar98k落とす。そして体の力を抜いて床に寝転がった。
そこで怜奈が言う。
「まだ戦いは終わってない。常に警戒してないと」
その言葉にシースが反応する。
「その通りだよ日向、確かに安心だけど警戒は忘れないで」
トウヤは警戒を続けていた。
俺は立ち上がり、Kar98kを拾った。
「よし、行こう」
一時間後。
魔物が数体来た程度で、ただ松明で照らされた廊下を歩いていた。シースが痺れをきらしたように言った。
「いつになったら魔王は来るの?」
そんなことは魔王にしか分からないことだ。
俺は言った。
「分からないが、必ず罠がある」
その時、話していたため、床にあった感圧版に気づかず踏んでしまった。
「なんだ?」
踏んだ瞬間に地響きがした。そして来た道の方から床に穴が空いていった。
「走れ!」
俺がそう叫ぶと全員が迫りくる穴から逃げた。
すると前に扉が見えた。あそこに行けば穴は来ないと思いそこまで走る。三人は扉まで着けたが一人だけ間に合わなかった。そう、俺だ。一番前に居た俺がなぜ間に合わないのか、それは体力不足だ。
ここから落ちたら何が待っているんだろう。死か?それとも永遠に捕らえられるのか?いや、俺は魔王に殺されるだろうな。ここで死んでたまるか。だがこの残されたコンマ一秒で何が出来る?何か生み出すにしても生成には三秒は掛かる。もしこの穴が十メートルなら生成してる間に死んでいるだろう。死ぬかも分からないのにそういうのはやめよう。潔く落ちよう。落ちた先が地獄でもなんとかやるさ。
落ちる瞬間、義手である右腕が引っ張られる感覚があった。肩からはがれそうな感じ。
そして俺は何かに引っかかっていた。いや、引っ張られていた?
「日向、あんたが死ぬのは勘弁だよ」
怜奈の声がした。上を見上げると怜奈が腕を伸ばして俺の義手を掴んでいた。
「ほら、早く上がって」
穴の壁に足を掛けて上がろうとすると少し崩れた。まずい、今の動きで義手が取れそうだ。
「もうダメだ、俺はいいから魔王の所へ」
「諦めるな!日向、あんたには使命がある、ほら!」
怜奈が最後の力を振り絞って俺を持ち上げた。
登ることが出来たが床が崩れてまた落ちそうになった。怜奈は俺を引っ張ってその勢いで怜奈が落ちてしまった。
「怜奈!!!!」
崩れたと思った床は崩れたほうから閉じていった。これじゃ下に行けない。くそッ!!
「日向、あなたが無事で良かった」
シースが俺を抱いた。
「シース、ありがとう、だが、怜奈は?助けられるのか?」
「無理じゃないけどかなり下の方まで穴は続いてるよ、しかもその穴はさっき見たと思うけど埋まったの、だから穴がどこに繋がっているかも分からないし、どれくらいの距離かも分からないから救出は困難だよ」
シースの言葉に続いてトウヤが言った。
「確かに怜奈は、、だが、俺達には使命があるだろ、魔王を倒そう。怜奈は元自衛隊だ、しかも精鋭のな。ついでに日向と同じ能力もある。大丈夫だ、きっと生きてる。行こう」
そうだな。その通りだ。俺はなんの心配をしていたんだ、怜奈は強いじゃないか、俺が落ちてたら本当に死んでいただろう。きっと大丈夫だ。俺は使命を全うしよう。
「分かった…俺達で終わらせよう」
俺達三人はまた長い廊下を歩き始めた。




