第五十四話 慣れない腕
あれから一時間にも及ぶ取り付け作業が行われた。
「よし、私の役目は終わりだ、どうだ?動かせるか?」
そう言われ、動かそうとしてみるが、少し動く程度で止まってしまった。
「まぁ慣れさ、最初から一発で扱えるモノじゃない、ゆっくり慣れなさい」
「ありがとう、感謝してる」
技術者にお礼をする。
「いいさ、それと、トウヤと言ったか、楽しかったよ」
そして用が済んだ技術者を俺は消さなくてはならない、人間を出すのは時に心が痛む。いずれ消さなくてはならないからだ。
俺は感謝を思いながら技術者を消した。
ひと段落したところでここからが本題だ。
義手を上手く動かせないのもそうだが、それは一旦おいといて、魔王は俺の知らないうちに消えてたからどうでも良いが魔王はあっちの世界からまた誰かを召還したみたいだ。それが日本人なのかも分からないから怖いんだ。
「ところで、トウヤ、魔王はどうした?」
「あぁ、魔王か、魔王はお前の右腕を吹っ飛ばしたらボソッと何かを言って消えてったぞ」
「何を言っていたかは?」
「さぁ、分からない」
まだ痛むが、右手は戻った。絶対に魔王を仕留めてやる。
─翌日─
暦一九〇一年、七月六日、アクーラ連邦東部。
あれから少し長距離を移動した。ヘリの操縦はトウヤに任せ、俺はシースと義手に慣れる為の訓練をした。
この義手はかなり自由な動きが出来る、だが、メリットの有るものにはデメリットも付き物だ。これはほぼ全てのパーツが金属製なため重い、そしてメンテナンスをしないとすぐ錆びてしまう。
それを除けばまだ許容範囲だ。デメリットよりメリットが勝つ。
少し右肩が重い。金属製で数キログラム有る義手をつけたらそりゃ重い。こんなモノをつけながら銃なんて構えられるかが心配だがそれを難なくクリアしてる人なんて沢山いる。要は慣れだ。慣れるまではこの苦痛に耐えなければならない。
その間に魔王を倒してそうだが……。




