第五十三話 義手
右肩に強い痛みを感じる、右腕の感覚が無い、目の前が真っ白だ。
俺はどうなったんだ?何か声が聞こえるが、耳鳴りがそれを邪魔をする。
俺は倒れているのか?頭の下に何かある。頬に水滴が落ちる。葉っぱに付いた雨水だろうか。
そうだ、魔王は?あいつらは?シー(シース)、トウヤたちは無事なのだろうか。
──
「くそッ!目を開けてくれ!」
そう叫びながら倒れた日向の身体を左右に揺らす。
日向の能力を使えば包帯ぐらい容易いものだが、生憎、意識がないのは日向自身だ。
シースは涙を流しながらも、冷静に治癒魔法で止血をしている。
だが実はあまり心配しなくても息はある。なんてったって右腕が吹っ飛んだだけだからな。
──
俺は、生きている。そう感じる。まぁ死んだわけではないのは分かるが、死ぬほどの痛みを感じる。
とても身体を動かせるとは思えない。
目を開けろ!!目を!!──
「あぁ、帰った、のか?」
「よお、目を覚ましたか」
「日向ぁ~」
どこかで見たことがある立ち位置でシースがこちらを覗いている。
頬に涙が落ちる。頬に落ちた水滴は涙だったのだ。残された体力を使って右肩を見てみるが、肘から下は残っていなかった。
あまりの衝撃に言葉すら出なかった。
血は止まっているが、この世界に鎮痛剤などはないので痛みが治ることはない。
「おい、日向、頭が回ってないことは分かるが、お前の能力を使えば応急処置は簡単だろう?」
そうだった。俺には最強の能力がある。
失った右腕は元に戻らないが義手をつけることは出来る。
そうと決まったらやるしかない。
「トウヤ、俺に考えがある。聞いてくれ」
「あぁ聞いてるどうするんだ?」
「義手をつける」
「義手!?それまた考えたな。…分かった手伝うよ」
シースにアイコンタクトをとったらシースも覚悟を決めたみたいだ。
深呼吸をして、義手を創造する。不幸中の幸い、右腕と言っても失ったのは肘から下なため最新の義手を取りつけられる。
この義手の名前は、筋電義手。この義手はかなり高価で、これを取り付けられる人々はかなり限られた者だけが付けている義手だが、自分で生み出せば無料だ。
「これだ、、筋電義手。これをつける」
「これか、どこかで見たことがある。つけ方は?」
喋ると痛むので無言で説明書を手渡す。
そして無言でトウヤが説明書を読む。そのスキマ時間に鎮痛剤を創造してシースに飲ませてもらう。
「よし日向、なんとなくわかったぞ、でも俺一人では無理だ技術者が居ないと」
技術者ね、分かった。
そして俺は筋電義手の技術者を出した。
「ここはどこじゃ!?」
混乱する技術者をトウヤがなだめる。
「大丈夫です、落ち着いてください。あなたに手伝って欲しいことがあるんです」
「なんだ?なにをすればいい!?」
「これをこの人に装着してほしいんです」
トウヤが技術者に義手を見せながら言う。
「分かった、私の役目はそれだな。手伝おう、任せてくれ」
そして技術者とトウヤが短時間の打ち合わせをして、作業に取り掛かる。




