第五十二話 右腕
「ここも……ハズレか……」
そして、ハズレの場所に火炎瓶を投げる。
これは、俺がハズレを引き始めて四つ目辺りの頃だった。少しばかり焦げ臭い匂いが風に流れて鼻に行き着く。
「なんだ?この匂い」
「??、確かにするな、なんと言うか、燃えてる?」
トウヤがそう言い、俺は後ろを振り返って見た。
トウヤの御名答、それはもうもの凄い速さで森の木に燃え移っていた。
駄目だ、この状態では今更水を掛けまくっても、消火は出来ない。自然鎮火を待たないとだが、何か手は無いのか?このままではこの森の木全てが焼き尽くされてしまう。雨を降らせることは出来ないか?
そして俺は一つの方法を思い付いた。
神様が居るだろう、あいつに雨を降らせてもらおう、自然が失くなってしまうよりは良いだろう。
…で、どうすれば気付いてくれるんだ?
「大丈夫だ、聞こえておるぞ」
神が突然目の前に現れた。
そうか、神はずっと俺達を見ているのか。
「そうだな、私が直接火を消すと不自然だ、ここら辺に数時間大雨を降らせる、その間おぬしたちはどこかで雨宿りしておいておくれ」
雨宿りか、よし、車にでも乗っておくか。
─数時間後─
森の火事はすっかりと消え、大雨を降らせたことにより火もそこまで進行する前に食い止められた。
「よかった、大事にならなくて。ありがとう、神様」
その一言に神が反応するように少し強い風が吹いた。
ひと安心した所だが、まだアジトを制圧しきれてはいない。なんでもいいから情報をくれ。
「私のアジトを制圧してくれてるようだけどここで私は君たちにとっての”邪魔者”を召喚した」
「邪魔者?」
ひと段落ついたと思ったら神の次は魔王のお出ましだ。どうせ俺たちの行動は監視されているから攻撃するならして欲しい。
「そう、邪魔者。邪魔者と言っても魔物じゃない」
魔物ではない?なら、人である可能性が高いが、この世界の人間なんて瞬殺も余裕だ。
いや、まさか!?
「私は新たにこの世界にあっちの世界の住人を召喚した」
なんて奴だ、またあっちの世界の人を!!誰かは分からないがそいつが俺を殺しに来ても俺は殺したくない、くそっ!卑怯な奴め!!
「お前!!……どれだけやれば気が済むんだよ!」
「どれだけって……まぁこんぐらい?」
「フッ…前から殺意は湧いてたが、より強い殺意が湧いてきたぜ……!!」
俺は肩に掛けたKar98Kを構えて薬室に炸裂弾を込めた。
そのまま魔王に向けて引き金を引いた。
爆発音と共に魔王が少し声を上げたが、それほどのダメージはないようだ。
「いっ…痛てぇじゃねえか、やるなぁ…その能力をマスターしたようだな」
この能力の利点を理解するのは簡単ではなかった。だが、そのおかげで良いものを作れた。
魔王はそのまま話を続けた。
「お前なら俺を倒せると思っていたよ。でも、それはまだできないみたいだね」
「ハッ!!お前…!!何を──」
魔王は俺の使ったやつと全く同じのKar98Kを出して俺の右腕に撃った。




