第四十六話 魔の遺跡
率直に言おう。そう、この遺跡は見たことがある。でも見ただけだ。中がどうなのかとか、裏とか、そんなのは知らない。ただ、そんなことがあったという一つの記憶しかない。
「日向、これって、、」
シースが思い出したように問いかける。
「やっぱりか、お前にはわかるよな、シース」
「うん、見たことある。ほんの一瞬」
やはりシースにもこれは分かるみたいだ。アレを見たのは俺だけじゃなかったのだ。
この会話に疑問に思ったトウヤは聞いてくる。
「なんだそれ、お前らだけの秘密?」
「間違ってはないけどたまたまだよ」
と、トウヤの問いに答える。
シースには魔力があるからか、さっきからこの遺跡に対して強い警戒心があるように見える。
実際、ここは奴らのアジトだから何かがあるのは確かだ。だが今のシースはさっきとは完全に面構えが違う。
「シース、なにかあるか?」
「いや、今のところは。でも、嫌な予感がする」
嫌な予感ね、それがどんなのかは知らないけど何故か俺も分かる。ここには何かある。それだけは分かる。でもそれは行ってみないと分からない。ひとまず、行ってみよう。
「シース、行こう」
「うん」
過去との繋がりがあるとは思えないが、昔見たんだ。記憶に狂いはない、少なくとも、シースにもあの時の事は覚えてるらしい。
俺はKar98Kに弾を装填し、ホルスターに入ったM1911も装填しておいた。
すると、トウヤが自分のバックパックを眺めてから───
「日向、弾倉くれないか?」
「何ミリだ?」
「5.56だ。NATOの」
と、言われた通り、NATO共通の5.56ミリ三十連装マガジンを渡した。
装備は整った。行こう。
あの時見たあの遺跡に三人で入った。
ーー
この遺跡はさっきのような暗闇の洞窟ではなかった。感覚的にはカカス城みたいな感じだ。
あの外見とは裏腹に意外と中は綺麗に保たれていた。だがそこだ。それがヤバいんだ。
なぜこんなにも年季の入った建物がこんなにも綺麗なのか、今でも魔王軍が出入りしているというわけだ。それも少数ではない、何十、何百もいる筈だ。ここは中継地点か何かなのか?きっと大事なものがあるのだろう。
「日向、これ、なんだ?」
歩いていると、突然道端に封筒のようなものが落ちているのにトウヤが気付いた。
静かに拾うと、すぐに封を剥がして中を見た。すると文字が書いてあった。日本語で。その文字を続けて読んだ。
「拝啓、日向様へ、この文書は特別なものであり、三人がいるところで読んでください」
「なんだそれ、三人ってこの三人で良いのか?」
「多分な、読むから黙っててくれ。いくぞ、、久しぶりだな、私だ、そう、神だよ。まさか、忘れてはないよな?この手紙を拾ったって事はお前らはこのアジトに着いたわけだ、この手紙を拾ったら仕掛けてあるセンサーに反応して、ウチの部下たちがお前らを襲うだろうなじゃあな、また会おう」
「おいおい日向そりゃマズくねーか!?」
「日向、逃げよう」
「だめだ、全員倒すぞ俺達はなんのためにここに来た、やるぞ」
「いいね、やろうじゃねぇか!」
すると同時に魔王軍の奴らが走ってやってきた──




