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第三十七話 血の繋がらない家族

 レイスは言った。『地獄を見たい』と、でも彼女は地獄を超えた『死』と直面してしまった。俺が彼女を助けることは出来なかった。俺は助けられたのだ。無傷で帰ることが出来た。彼女のお陰だ。

 ここは俺の作ったアパートだ。生成した建物はなぜか電気も水も出る。ネットは当然繋がらないが。

 そんなことより、俺はどうすればいい?彼女を亡くした俺のダメージは大きい。妹が死んだように立ち直れないかもしれない。


 ーー


 数時間後。


 ドアをノックする音が聞こえた。どうせいつものように、あの時のように、妹が慰めに来たのだろう。


 「入るよ」

 「………。」


 俺は無言で返した。妹に俺の気持ちなんて分からない。大切な人を亡くしたことなんてないんだから。


 「お兄ちゃん…私、あなたの気持ち、分かるよ。大切な人だったんでしょ?」


 みろ、典型的ななんの励ましにもならない。あの時、亡くなったのが妹じゃなくて、親友だったらこんな事を言ってたんだろう。俺はそんな妹に怒りが沸いた。


 「分かってない! お前、大切な人が亡くなったことなんてないだろ?」


 妹はそう言われると分かっていた様な顔で俺に言葉を返した。


 「私、あるよ、この世界に生まれてから、お父さんに剣術を学んだって言ったけど、教わった一年後、お父さんは賊に遭って殺されちゃったんだ。 だから、お兄ちゃんの気持ちは分かるの。でも、それじゃダメなんだと私は分かったんだ。お兄ちゃんの悲しみを私にも分けてよ。」


 そう言って妹は服を脱ぎだした。分かったんだ、その通りだ。後ろを見るのではなく、前を見ろ。それだけで俺の気持ちは軽くなってきた。でも、大事なことに気が付いた。


 「柚愛、近親相姦(きんしんそうかん)になるんじゃないのか?」

 「お兄ちゃん、ならないよ、だって、私生まれ変わってるんだもん。」


 妹だと分かっていても、何故か興奮するのはそういう事だったのか、確かに見た目は昔と変わらないが、いや、少し違うか、柚愛は転生したんだ。別人なのだ。

 俺と柚愛はお互いを認め合った様に熱い夜を過ごした。


 ――


 目を覚ます。柚愛は言った。『私はお兄ちゃんに尽くしたい』あれが本心なのかは分からないが目は本気だった。

 俺も柚愛を愛している。でもこの気持ちは妹として、なのか恋人としてなのか分からない。複雑な気持ちなのだ。

 隣で寝ていた柚愛が目を覚ました。


 「お兄ちゃん、気分は少しは晴れた?」

 「まぁ、良くはなったかな」

 「良かったぁ……」


 柚愛はホントに心配してくれていたのだ。こんな駄目な兄貴を本当に心配してくれていたのだ。

 柚愛は血の繋がらない家族なのだ。


 「お兄ちゃん、日向って呼んでいい?」

 「なにを今更、前から呼んでたじゃないか、今まで通り呼べよ」

 「わかった、日向お兄ちゃん!」


 良い妹を持った。それだけは言える。

 俺達は準備をしてシーシャに帰ることにした。


 ――


 一週間後。

 シーシャ王国。


 戻ってきた。人の居る場所に。今宿に泊まらせてもらっているところだ。


 「私は会いたかった。お兄ちゃんに」

 「そうか、俺もだこの傷は癒してもらわないとな」

 「うん!だから、結婚しよ?」

 「は?」

 「結婚…しよ?」

 「はあぁぁぁあ??」


 柚愛は俺の手を握り締めて言った。


 「私はあなたを必ず幸せにします」


 妹に告白された。俺と柚愛は結婚することになった。


 ーー


 一週間後。


 柚愛は転生したばっかりに名前も変わったらしい。だから実は柚愛じゃなくて、シースウェットというらしい。フルネームはシースウェット・シュナイダー、昔の可愛い名前とは真逆にかっこいいみたいな名前になってしまった。


 「日向、くそっ、お前が彼女の兄だったのかよ。くそっ」

 「お前がその七沢だったのか」

 「まあ、よかったじゃないか。そうだろ?」

 「まぁな」


 確かにそうだ。死んだ妹と再会できるとは思ってもなかった。

 結婚もしたことだし、少し、トリガルトに行くの控えよう。


 ーー


 俺達は家を買った。夢のマイホームだ。かなりの豪邸で部屋は九部屋ある。二階建てで、横長。見ただけで分かる。豪邸だ。こうして、俺達は一回トリガルトに行くのをやめ、新婚生活を楽しむことにした。


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