第三十五話 城攻略と再会
俺達は転移魔法陣に乗った。
すると、俺達は次の場所に転移した。恐らく第二階層だとは思うが。後ろを振り向くと、さっきの転移魔法陣の光がなくなり、そしてまた光った。多分もう一回そこに乗れば戻れるのか。
俺達は歩みをはじめた。
──
少し進んでみると魔物がいた。まだ第二階層ということもあるためか、魔物は弱いものが多い。第一階層のときはゴブリンしかいなかったが、第二階層に入ってから、ゴブリンの他にミノタウロスがいた。当然弱いが、さらに八段階あると思うと、恐ろしいな。
意外にも中は城そのもので、まさに、城だった。でも窓は無かった。
第二階層も終わりに近づいてきた頃、不思議な隠しドアを発見した。壁に掛けてあった絵画を押すと、ガチャ、と音がして、絵画が開き、一つのドアがあった。少し狭そうだが、匍匐でなら通れそうな通路があった。
ある意味俺達は冒険に来たんだ。俺はレイスとトウヤに弾倉と一緒にソーコムを渡した。H&K MARK 23、別名ソーコムは、ヘッケラー&コッホ社(H&K)が開発した自動式拳銃である。MARK 23は民生市場向けの製品名で、軍用市場向けにはMk.23などの製品名で販売されており、
アメリカ合衆国ではMk.23 Mod.0の制式名称で採用している。単にさっきと同様、ソーコム(SOCOM)やソーコムピストル(SOCOM PISTOL)などの通称でも知られる。
Mk.23の特徴の一つはその大きさである。Mk.23の全長は245mm、重量は1,210g(マガジンを装備した場合は1,576g)で、H&K USPと比較しても大幅に上回っている。
重さと大きさは兵士からは不評を買ったものの、強装弾の反動を軽減し、射撃精度を高めることに繋がっていた。
射撃精度は非常に高く、射撃テストを通してもグルーピングが約二十五mの射程で半径約三cmの円内に収まる等、アメリカ政府が戦闘拳銃に求める最も厳格な基準を満たした性能とされている。また、二重のリコイルスプリングによる特殊な反動軽減装置を搭載しており、射手および銃本体に掛かる反動は四十%軽減される。
ソーコムは減音器とAN/PEQ-6という可視レーザー、赤外線レーザー、フラッシュライトの機能を兼ね備え、それぞれを単独または組み合わせて点灯させることができるその二つのアタッチメントを標準装備している。
重量はあるが、信頼度は高い。
俺はKar98KとM1911A1を持っているから問題ナシ。
俺を先頭にレイスが続く、一番後ろをトウヤにして後衛してもらう。少し進むと出口が見えた。
俺はゆっくりと慎重に足を床に降ろした。
床は木製だ。トラップなどは無い、と思う。明かりはついてない。俺はフラッシュライトを出して周りを照らした。この部屋には実験器具や書類が置いてあった。研究室のようににみえる。
トウヤ達も慎重に床に足を降ろす。
「ここは?」
「分からない、何かの研究室にみえるが」
一つの図面書を見つけた。どうやらこの城の間取りのようだ。八ページまである。
これが正確な情報なら攻略が簡単になる。
俺達は隠し通路に戻り、もといた場所に戻った。
ひとまず、検証として、図面通りに進んでみる。
――
あの図面書は本物だった。あの図面書には魔物との戦闘を回避できるルートが書かれており、第二階層は難なく進む事が出来た。そして、俺達は第三階層の入口となる転移魔法陣を見つけた──
第三階層。
魔物が強い。ルートは分かるが、魔物がどこに居るなんて書かれてない。奇襲されるのだ。警戒心をより一層強くしていく。だが、第三階層も難なくクリア。第四階層への転移魔法陣を見つけた。
俺達は転移魔法陣の上に乗った。
第四階層。
魔物の強さも上がって数も増えてきているが、それより、魔王軍がいるのだ。魔王軍が警備しているのだ。この城は確かに魔物しか居なかったことは疑問に思っていたが、第四階層目から魔王軍も居た。
魔王軍と言えど、そこまで強い奴ではなく、頭を二回撃てば簡単に倒せる。
魔物と魔王軍は何故か協力関係にあり、魔物が魔王軍を襲うことはなかった。ここにいる魔物は魔王軍のペット、というべきだろうか。
とりあえず、俺達は次の転移魔法陣まで辿り着けた。少し、休憩を取ることにした。歩き、動き、戦った。正直、一回戻りたいところだが、寝ようと思えば寝れるし、別にまだアドレナリンのせいか、眠気は来ない、疲れはしたけど。
俺達は休憩してから第五階層への転移魔法陣に乗った。
――
第五階層。
居ない。何も。何も居ないのだ。魔物も、魔王軍も、何もかも。ここは、一体なんだ?
そして、奥に人影を見つけた。魔王軍の奴か?何かは分からないが、進んでみよう。
俺達は足を震わせながら慎重に人影のあった場所に進む──
そこには──若く、だが隙がなく、背丈はだいたい百七十センチで、七十センチ位の長い髪を一つ縛りで黒髪の女戦士が居た。魔王軍には見えなかった。冒険者の"戦士"が着ている鎧を着ていたからだ。
人の気配に気づいてこっちを見てくる。
綺麗な顔立ちだった。細い眉毛。黒色の綺麗な瞳。薄く綺麗な唇。少し丸く、可愛らしい頬。
日本人に見える感じもなくはない、黒髪だからだろうか。そして、彼女は俺をみた途端、右手に持っていた刀を地面に落とし、膝を崩し、その目は涙が溢れていた。
「お、…お兄ちゃん?」
その一言が何故か懐かしく思えた。この人とは一度も会ったことが無いのに、しかもお兄ちゃんと呼ばれた。疑問に思った。だけど、不快には思わなかった。不思議に何故か、俺はこの人にそう呼ばれるべきだと感じた。そして、そう呼ばれていた気がした。
「日向、お兄ちゃん、…だよね?」
この人の声は震えていた。さっきの殺気立つオーラとは真逆に、今この人から感じられるのは感動だった。
「なぜ俺の名を?」
「だって、忘れないよ、日向お兄ちゃんの顔なんて、」
俺はもしかしてとも思ったが、この人は俺の妹だった。
――
俺もその事に気付いて膝から崩れ落ちた。妹を強く抱き締めた。会いたかったと。見た目はほとんどあの時から変わってないように見える。妹も転移したのか、とそうではなく、"転生"だそうだ。
裕福な家庭に生まれ、記憶は残ったまま、赤ん坊の時の姿は元の世界のときの赤ん坊の自分と変わらなかったらしい。死んだ時の年齢になった時にはもう、そのまんまだったらしい。
肉体の成長と記憶だけ転移した。みたいな?生まれ変わったのは事実、少し謎だな。
でもまずは死んだ妹との再会に喜ぼう。
――
妹の名前は柚愛、名字は兄妹なので如月。
俺の自慢の妹だ。柚愛はなんの能力無しで第四階層まで剣一本で来たらしい。強すぎないか?お兄ちゃんの威厳無くなっちゃうよ?
でもこれは喜ばしい事だ。人生の殆どを一緒に過ごした心の通った強い妹と戦えるんだ。
ここでお兄ちゃんの凄さ見せつけちゃうぞ!!
──の、筈だった。
妹ちゃんは次々と魔物&魔王軍を排除していき、第七階層まで辿り着いてしまった。俺は息を切らしながら妹に言った。
「柚愛、お前、そんな剣術どこで?」
「お父さんから。この世界の」
そうか、この世界はそういえばそういう世界だったな。剣と魔法の厨二の世界だったな。
そんな会話をして、俺達は遂に、第八階層への転移魔法陣の上に乗った───




