第三十一話 日向の過去
ふと、目が覚める。俺の部屋だ。
〈やぁ、どうやら死ななかったみたいだね。〉
あぁ、めでたいことにな。
〈良かったとも、君が死んだら世界が平和にならないだろう?〉
本当にそう思うか?もっと良い奴居るだろ。
〈でもその能力を持ってるのは君だけだよ?〉
………………なぁ、ここって現実か?
〈いきなりどうしたんだい?現実ではないよ、仮想世界、バーチャルさ。〉
じゃあつまり、ここに有るもので遊べはしないのか?
〈その通り、触れる事は出来ないよ。〉
ふーん、現実なら喜んでゲームをやってたのに。
〈ゲームくらいなら、自分で出来るんじゃないの?〉
自分でやってたら大変だろ、技術も無いのに。
〈それも学べるじゃないか。〉
イチイチ学ぶのが面倒なんだよ、だからゲームをやりたい。
〈どうかなぁ、まぁこの世界には電気とネット?というのも無いからね。〉
その通り、だから意外にも何も無い時は退屈なんだ。
〈そうなのかい?あまり人間の事は分からない事が多いな。もっと色んな事を教えてくれよ、君の過去とか。〉
過去。ねぇ、そんなに知れたければ教えてやる。
俺には妹が居た。スポーツ万能、勉強も出来る。いつもクラスの中心で爽やかで誰にも同じように接していた。
〈君の妹は凄いね、君はどうだったんだい?〉
話を遮るなよ、話の続きだが、俺はそんな妹とは真逆で、スポーツも出来なければ勉強も出来なかった。同じ中学校に入った時には散々、『妹と比べて何も出来ないね。』とか言われてた。『凄いな』とも言われず、現実はあまりにも非情だった。
でも、そんな俺に妹は励ましの言葉をくれていた。『お兄ちゃんには私と違った良いとこがある。』って、でも俺からしたらそんな言葉、ただの同情してるつもり。だった──
ある日の事だった。親からこんなことを聞いた。
『妹が亡くなった。』
俺がその言葉を聞いた瞬間、強烈に吐き気がした。トラックに轢かれたらしい。家族、兄妹である妹が死んだ?そんな、あり得ない。俺はこの現実を何度も否定した。
いつも笑顔で、爽やかで元気だった。俺の事も気遣ってくれた。そんな妹がたった数秒の事で亡くなってしまうなんて。
〈………………。〉
俺はその日から、部屋に籠ってしまった。
話を終えた後、長い沈黙が空気を悪くした。
そして、神が口を開いた。
〈いろいろ、大変だったんだね、君も。〉
恐らく重い話すぎて何を言えばいいか分からないのだろう。少し話しすぎた。
〈まぁ、君の苦労は知れた。じゃあボクの番だね。〉
なんだ?お前の事を話してくれるのか?
〈そんなまさか、違うよ助言さ。〉
そうか。なら早く言ってくれ。
〈では、、いつかあなたには機会が訪れるでしょう。逃してはいけません、あなたの心身を癒すためには、それでは幸運を祈ります。〉
そう言って、目の前が白い光に包まれ、
俺はこのまま目が覚めた。
すると、トウヤが居た。
「日向、おつかれさん、すまないな、いきなり俺が指揮を執るなんて言って。」
「いいんだ。思ってた以上によく出来てたぞ?」
「そうか?魔王との戦いも指揮してやろうか?」
「それは手伝ってくれ」
俺とトウヤは笑いあった。笑っていたら、ライトが来た。
「なぁ、日向、俺、そろそろ旅に出るよ」
「どこに行くんだ?」
「世界だ。まだ行ったことの無い場所に行くんだ。」
「なら、これを持って行け、」
俺はライトに地図と大金を渡した。
「そんな、貰って良いのか?」
「あぁ、死なれちゃ困るし、俺の伝説を語り伝えて欲しいしな。」
「そうか。分かった、世話かけたな、そんじゃ」
ライトは手を振り、南へ歩いて行った。
そうだ。レイスはどこだ?俺はトウヤにレイスの場所を聞き、レイスの場所まで行った。
「レイス?」
「あっ、ヒナタ、あ……その、ありがとう、助けてくれて。」
レイスから笑みが溢れた。あんなに絶望しきった顔をしていたとは思えない。
なんやかんやで今日を終えた。
――
目が覚める。着替える。食べる。
いろいろな物を消す。移動の準備をする。
どこかの話で聞いたが、この世界には恐れられる者が居るらしい。ある意味、神話の様な物だ。実在するかは分からないが、とある昔、デスブリンガーという者が居た。彼は世界を創造したとも言われている。場所によって内容が食い違うのだ。彼の居た時代はまさに平和であり、戦争も国々の分裂も無かったらしい。
そして、その彼が居なくなったために、世界は現在、このような状態になってしまった。という話。
あまり細かい事は分からない。でも、こういう話は沢山ある。
もしかしたら俺も魔王を倒したらこうなるかも知れないな。
――
今日は第二の城と言われているカカス城に行こうと思う。ここはダンジョン形式で、入り口が地下にある。最大第八階層まであるらしい。その広さは城と言うより、東京駅、よりは広い。町が少なくとも五個はないと足りないぐらいだ。
カカス城の近くには街があるらしい。多分魔王軍しか居ないが、まぁ、バレなければ問題ないだろう。
俺達はカカス城へと進み始めた。




