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転生者と転生者

前回のあらすじ

フリーランスで稼ぐ主人公は夢の中で中世騎士のような兵士に監禁されてしまう

英検3級すら落ちた頭脳で英語ですらない言語を話され大混乱



ガチャンッ


強く締められた牢獄の扉は、まるで俺の状況を表すように冷たく聳え立っている


ガシャ!ガシャ!ガシャ!


「俺が何したってんだよ!おいコスプレ野郎!」


監視役の騎士に対し怒鳴りつけるも、ジッと睨みつけられるのみだ


(夢が覚めず、、ってことは明晰夢とやらか!?)


混乱の最中、コツコツと足音が近づいてくる


(いやまてよ、、この体験は新たな記事で儲けられるんじゃねーか?)


そんな下心をこの緊急時に発揮した俺はとことんこの“夢“を鮮明に記憶するよう努めた

気づいたら目の前に青年と騎士数名が立っている

彼が口を開く


「ー、〜。。?」


「いや、だからわからんて」

(本当にわからないんだよな、、)


言語の壁がここまで高いのかと冷静に考えていると

青年が騎士に口を開く

「#'..!,,」

騎士はその場で一礼の様な所作をし、どこかへ立ち去る


「大丈夫かい?」


「へ?」


誰が言ったのかわからなかった

目の前の青年の一言だと気づくまで約23秒ほどかかった


「日本語話せるの?」


俺は日本語に出会えたことに感動してしまった


(気を乱しちゃダメだな、聞きたいことは聞かねば)


俺は長らく続いたような数分間の非日常の説明を求めた

まだ記事にしてバズらせる野望があったのだ

どうしようもないなと自分でも思うが


「ここはどこで、あいつらは何者で、君は何者だい?」


青年は爽やかな笑顔で


「異世界だよ!」


と言い返してきたから俺の頭は再び思考停止区域に突入してしまった


(SF映画を観ない俺にこんな想像力があったとは)


自分を評価する時間さへ感じられる数秒後に青年の透き通るような声で話が続いてゆく


「彼らは王立騎士、僕は王都直属の冒険家だよ!」


思考停止期間は三日分くらいに感じられたが、何を言われても動じない強い精神を貰った気がした

ありがとう電波青年よ


「なるほど」


俺は微笑みながらそう返す


青年は軽く会釈をしながら


「僕も転生してきたんだ。ついこの間かな」

「最初は同じように戸惑ったさ!でも能力のおかげで国王に認可されたんだ」


随分意味わからないことを堂々と言うなぁ

とか考えながらメモをするためにポケットに手を入れる

(あ、そっか寝巻きだった)


俺は全身全霊で今の短文に込められた世界最大の謎に匹敵する疑問の“能力″とやらを聞き出そうとした

(元フリーライターを舐めるなよ、、!)


「能力って、えーと、あのなんか才能とか?」


言葉が詰まり詰まりなのは勘弁してくれ

俺はAIみたいな脳ではない

極めて健全で一般的な脳だ、、、多分


青年は顎に手を合て少し考えてから真顔でこう言い出した


「いわゆるチート能力だよ!炎、水、氷、光、闇、時を自在に操れる」


続けて腕を頭に回し


「説明が難しいから王立コロシアムで実践するよ!」


俺は子供の頃遊んだゲームを連想したが、、炎、水、氷、光、、光?闇?、、

考えたら負けな気がしてきたので諦めて青年との話を続けた


「ほうほう、強そうだ、、ちなみにここはいつ出してもらえるの?」


強気にもうひと押し


「出してもらえなきゃコロシアムは行けないじゃん?」


青年はシーッと人差し指を口に当てながら静かに言う


「王立親衛隊にばれたらめんどくさいからついて来て」


そう言いながらポケットを弄り鍵を出す


カチャ


錠が開く音がした


(お礼を言ったほうが良いか、、ばれたらまずいなら夢が覚めるまでここにいるけど)

(脱獄は脱獄で面白い展開か)


俺はサスペンス小説を読んでいる気分で隠密行動を開始した


ガチャ  キーー--


錆びついた扉を開ける

ばれたらまずいと思うと些細な物音も気になってしまう


「こっち」


青年は俊敏な動きで獄兵を交わし

俺はつまずいたりしながらトロい動きでなんとか青年についていく

(なんか体力落ちたな…夢だからか、、?)

明らかに息切れが早いような、足が遅いような…

いや違う


青年が異常に早い


(これも能力の一部なのか、、?)


とか思いながらもなんとか獄外まで出て来れた、、

と安心した

        ーその時ー


「ジ・インフィニティ」


青年がぼそりと呟く


バタ バタ バタ バタ


気がついた時、目の前には獄兵が横たわっていた


「へ?」


俺は間抜けな声を漏らす

青年に問いかける気は起こらなかった

間違いなく、俺はこの状況を楽しんでいたからだ


外の明かりの下、青年をよく見ると


圧倒的な美青年だと言い切れる顔立ち

背中には剣、服装は黒基調

腰には小道具入れが一つ


うむ、俺よりイケメンだ

そう確信するには時間を要しなかった


美青年に質問をする


「名前は?」


親友になりたいと思った


美青年は口を開く束の間、、


「ちょっと!あんたどこ行ってたのよもうッ!」

「ご主人様、、お怪我はございませんか?」

「こらこら2人とも!英雄様に向かって飛びかからないの!」

「そういうカリンこそ飛びついてるじゃんー」

「うるさい子達、、大丈夫?お姉さんが癒してあげるわよ?」


まさに怒涛の黄色い歓声

驚く隙もないので全く驚かず思考停止ゾーンに入りかけたが、同じミスを二度もする俺じゃない

というか彼女達の言葉は日本語だ


「えっと、、あなた方は?」


「「「「「英雄様の王立親衛隊」よ!」です」…」だわ」


口を揃えてさっき聞いたような名前を言ってきた

みんな若い女性ばかりだ

一人は子供に見える


(15〜19歳ってとこか…若いっていいな)


そんなことを冷静に考えてしまう自分の適応力の高さに驚いていたのだが、我に帰り

彼女達も美青年と同じような服装をしていることに気づく


美青年が俺の質問を読んだかのように切りだす


「ごめん、ごめん、、彼女達は王都で1番強い兵士なんだ。魔法能力もずば抜けているし!」


付け加えて


「言葉も自由自在さ」


(ずいぶん使いやすい魔法だな。これがあれば俺でもTOEIC満点狙えるぞ)


そんなしょーもないことを考えながら彼女達を観察する


まんざらでもない顔をする子、照れて顔を赤らめる子、無表情


かわいい子達だな…


(いやいや魔法が使えるって…名前だけ聞いて一旦休も、、)


脳が麻痺しているのか魔法だの能力だの親衛隊だの聞いても疑問を抱かずスムーズに内容が入ってきた


「んで僕の名前はレミル!よろしくな!」


美青年で超能力者でモテ男か

これほどまで人脈と力があったら王になれそうだが


俺は出された手に握手をし


「よろしくね、俺はケンタ」


そう答えた

田中健太が俺の本名だ


続いて王立親衛隊の女子陣が自己紹介する


「親衛隊のセナでーす、よろー」

セナという茶髪の子は気怠げに


「親衛隊、ミラ。よろしく。」

真面目そうな子がお辞儀する


「親衛隊のカリンよ!よろしくね!」

元気な子だ


「はぁ、親衛隊のレイン。カリン姉がごめんなさい」

くたびれたようにお辞儀する


「うふふ、、ヒーラー兼ご主人様の専属メイドミレイお姉さんよ!よろしくねッ」

色気が滲み出ているレミルにくっつきながら話す自称ヒーラーお姉さんだ


なんだこれ、合コンを思い出すなこれは

趣味でも聞いてみようか

いや、やめとこう。まだ魔法で消されたくはない


俺は王国についての質問を何点か考えていた

こんなによくできた夢はそうそうない

とまぁまだ夢だと諦めない俺も大概ずれているのだが


「ありがとう」

“よろしく“

一礼の挨拶から質問に入る


「コロシアムって何?あと、親衛隊とレミルの仕事って?」


親衛隊女子陣が口を開ける前にレミルが手で“待て“と静止し


「コロシアムは王国の罪人やオーク、ゴブリンなどと騎士団志望の人が戦う場所さ!」


(オーク?ゴブリン?なんだそれは。西洋の化け物にいたような気がするが…)

わからないながらも話を遮らず頷いて続きを聞く


「親衛隊は名誉兵士で、数々の魔物・魔獣を退治してきた英雄部隊さ!王国の安全を護る最後の砦とも言えよう!」


すごい鼻高々に話している内容が俺の地雷を踏んだ

地雷と言うか、逆張り精神を逆撫でしてしまったようだ

(調子に乗っているな…)


昔から誰よりも負けず嫌いだった俺は、この“世界“でも負けず嫌いなようだ

あれ、なんかもう夢じゃないって認めてきてないか?俺?


「ゴブリン、とかオークってそんな悪い奴らなのか?」


親衛隊のセナが一瞬俺を睨みつけるがミラが無感情な機械のような話し方でセナの言いたいことを代弁してくれた


「王国の近くに野蛮な種族はいらない。それだけ」


いささか説明不足で腑に落ちない、、


俺の表情を見て慌ててレミルが補足する


「民衆に怖がられてるからさ、強い人が退治しなきゃいけないんだ。」


ヒーローモノの見過ぎだろうとツッコむ3秒前で一呼吸置き冷静になる


(今ここでは6対1だ勝ち目がない)


一旦引こう

そう決心してから早かった

再び若く美しい親衛隊の美少女達とハーレムイケメンに握手してから、軽く会釈し


「俺さ、実は酔っ払って街で倒れちゃったのよ」


堂々の嘘と


「家こっちにあるから」


と深林を指差し

そそくさと申し訳なさそうに頭を掻きながら退避した


(なかなか楽しい世界だ)


夢であってほしくないと願うようになっていた

家には早く帰りたいが…


「とりあえず、本当にオークだのゴブリンだのが野蛮なのか調べなければ」


そう考えて森を進んでいた

昔のゲームでモンスターなら森にいるだろうという勘頼りだが



数時間後

王国宮廷王座にて親衛α隊隊長ミレイが国王に謁見していた


「再び外的分子が出現いたしました」


国王は黙って聞いている


「今回は敵性分子の可能性が高いことをお伝えいたします」



ゆるく書いていきます

ヨロ(`・ω・´)スク!

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