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短めです。

その後、クロエとはつかず離れずの関係を保ちながら、月日が流れて行った。もちろん、会った時には口説く事も忘れなかったが、年齢を考慮したやり方に留めた。お陰様で少しは好印象を残せていたと思う。


13歳になった。王国の貴族男子は15歳までは王立のパブリックスクールに通うことになる。全寮制であり、長期休みか、よっぽどの事がない限り家には帰らない。王族とて例外ではない。

クロエに会えない日々が始まってしまう…。この頃にはすっかり(りゅうじ)もクロエの事が好きになっていた。

だって可愛いからね!これはしょうがない!!

高等教育が始まれば自宅からの通学も選べるから、それまでの辛抱だ!俺は学園生活に全力投球することにした。ロイド以外の将来の側近も見つけなきゃならないし。


慌ただしく日々が過ぎていく中、15歳になる年にそれは起こった。隣国が臨戦態勢に入ろうとしていると一報が入ったのである。王宮は揺れた。万が一を考え、第一王子として情報を共有するため、俺は寮を出る事になった。もちろんロイド含めた側近たちもだ。


この2年で側近になったのは、イスターク・ミレン、クリストフ・ミレン辺境伯子息兄弟。国境の要のミレン家と懇意になるのは、国防を考えると必然であろう。イスタークは1歳年上でクリストフは同級だ。あとはヨハン・ベイカー子爵子息。彼は商人からの成り上がり貴族だが、その商会は大陸に名を轟かす。爵位は低かったが、ロイドからの進言で側近に加えた。彼は1歳年下だ。

ロイド曰く、側近は今はこれくらいでいいそうだ。高等教育に上がれば、優秀な平民も発掘できると言っていた。というより、彼等以外はロイドのお眼鏡にかなわなかったらしい…。

本当、頼りにしていますロイドさん!


そして、ロイドは能力重視で身分の貴賤は問わないタイプの人間だということも知れた。旧態の身分制度のない日本にいた俺としてはありがたい。

でも側近の話を抜きにして、みんな本当に気持ちよく付き合える仲間だった。


そんなある日、父上に執務室に呼ばれた。となりに宰相のウィラー公爵もいる。父に比べ、ウィラー公爵の顔色が悪い。何かあったのだろうか?


「父上、お呼びでしょうか?」

「あぁ、アレクシス。忙しい所、悪いな。お前に相談があるんだが…」

「はい、何でしょう?」

「今、わが国に危険が迫っていることは知っているな?」

「はい」

「そんな中、バカな王弟が平民を王弟妃に娶った」

「存じてます。巷ではシンデレラストーリーとして人気の三文芝居です。叔父上は自分の立場をわかってるんですか?」

「返す言葉もない…。私の一番の失策だと思ってる」

「それがどうかしたんですか?」

「この件で旧家の貴族から不満が出始めた。まだ私や宰相が抑えられる範囲だが、このうねりが大きくなった時、隣国から一気に攻められる可能性も否定できん」

「ありえますね…」


内憂外患ってヤツだな。全く余計な事をしてくれたよあのオッサン!真実の愛を貫くならその身分と王位継承権を返上してほしかった!!


「そこで国内貴族の結束を高めるため、宰相の所のクロエ嬢とエストワールを婚約させたいと思う。王族と上位貴族の婚約ならば、古参たちも何も言うまいよ。年も同じだし、私は良い案だと思うが…アレクシスはどうだ?」


クロエとエストワールが婚約…?

そんなの…到底、承服できることではない!!

俺の中から黒いオーラが立ち昇り始めた。

ウィラー公爵が青を通り越して白い顔をしている…。

最初から顔色が悪かったのはこういうことか…。

その態度を見るに、ウィラー公爵はクロエとエストワールの婚約に反対の立場だったんだな。

公爵、命拾いしたな…。

そして、これは父上の独断か…。

前回の失策といい、今回の事といい…父上には少し退場しててもらおう。


「父上…、私はそんな婚約は絶対に認めない!!」



いけ!アレクシス!!(笑)

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