それぞれの休日
予約投稿間違えたので、一旦削除し、再投稿しました。
最後なのにすみません!
ユリアから衝撃的な話を聞いた後、俺はロイドたちに厳命した。
「『3』の舞台はギャルゲーだ!みんな気を引き締めるように!」
「殿下。『ギャルゲー』って何ですか?」
ロイドから質問を受ける。
「『ギャルゲー』は『乙女ゲーム』の逆バージョン。男主人公が女の子を落とすゲームだ。しかもユリア曰く、攻略対象者は俺たちの婚約者らしい」
『…は?』
部屋の温度が一気に下がった。
側近たちが只ならぬ雰囲気を纏わせている。
「という事で各自、婚約者との仲を深めるように!この中の誰かが抜けても、私の治世は成り立たないからな!」
『言われなくとも!!!!』
「では、解散!」
よし!みんなの手腕に期待して、俺もクロエとの仲を進展させよう。
【イスターク/ガブリエラ】
「う…。おはよ、イスターク」
「おはよう、ギャビー。まだ寝てていいぞ。体、辛いだろ?」
「…うん」
掠れる声も愛おしい。俺は隣で眠るギャビーの金色の巻毛に指を通し、キスを落とす。アメジストのような瞳が見えないのは残念だが、可愛い寝顔が見れたからよしとするか。
殿下に厳命を受けてから、急いでギャビーを王都のタウンハウスに呼び寄せた。母に聞いたところ、ギャビーの夫人教育はほぼ完了しており、次代の辺境伯夫人として申し分ないらしい。
領地は任せて、王都で社交してこいとの事だ。
もう少しでアレクシス殿下の立太子と戴冠もあるからな。呼び寄せるにはちょうど良かったかもしれない。
ギャビーことガブリエラは、男の理想を詰め込んだような女だ。金髪紫眼の整った容姿もさることながら、豊満な胸、キュッとクビレた細い腰、張りのある尻を持っている。
それでいながら母のような包容力もあり、一本筋の通った考え方も持ち合わせている。
こんなに完璧な女は他にはいない。
早いうちから婚約出来た俺は幸せ者だ。
アレクシス殿下に王位が移った後、俺たちは結婚する。
腹の大きい花嫁にはしたくないから気をつけないとな…。
それにしても、ギャビーが奪われるかもしれないなんて…。
そんな事は断じて認めない!
ギャビーは俺のモノだ!!
メラメラと燃え上がる仮想敵への昂ぶりを落ち着かせる為、俺はもう一度ギャビーを抱き寄せた。
【クリストフ/イザベラ】
空気が透き通る、冬の早朝。一組の男女が一頭の馬に乗り、森を駆けていく。
「寒いけど気持ち良いわね、クリス」
「だろう?」
「本当は自分の馬で来たかったんだけど…」
「嫌だよ。それだと俺がイザベラにくっつけないじゃん」
「もう、クリスったら…」
そう言ってイザベラは笑う。
はぁ〜…可愛い。なんでこんなに可愛いの!?
イザベラは、肩までの茶色のボブヘアに、センター分けの前髪から覗く、黒いオニキスのような瞳が印象的な美女だ。騎士団長の娘という事もあり、活発な性格はとっても俺好みである。
俺は湖のほとりで馬を止めた。
「この景色を見せたかったんだよ」
「…キレイ」
湖は、太陽の光によって水が蒸発し、朝霧がキラキラと煌めいている。とても神秘的な光景に息を呑んだ。
自然とイザベラとの距離が近づく…。
そしてお互いが重なり合って、離れた。
「寒くなってきたし、近くに休める場所があるんだけど…」
「バカ…」
そう言って俺たちは笑い合い、寄り道をして帰る事になった。
俺は、こんなに可愛いイザベラを誰にも奪わせるものか!と、決意を新たにした。
【ヨハン/シルヴィア】
「シルヴィ、どう?」
「いい感じね、ヨハン」
「良かった~。シルヴィは何でも似合うからコーディネートのし甲斐があるよ」
「そんな事ないわ。ヨハンの見立てがいいのよ」
僕の婚約者のシルヴィアは、シルバーのストレートロングにサファイアのような青い瞳をしている。
その色味のためか、人形のように整った容姿のためなのかはわからないけど、周りから冷たい人間だと思われている。
本当はすごく優しいんだけどね。
でも、人見知りな所もあるから、本当に心を許した人にしか表情を出してくれない。
そんな所もたまらなく愛おしい。
今日は久しぶりにシルヴィのドレスを見立てに来ている。
シルヴィも楽しそうだ。
「でも、いいのヨハン?こんなにたくさんドレスを貰って…」
シルヴィが眉を八の字にして、申し訳無さそうに聞いてくる。
慎み深いのも美点だよね〜。
僕が莫大な資産を持っているのを知ってるのに、シルヴィは贅沢を要求したりは絶対にしない。
いつも身の丈を分かっている。
だからつい、甘やかしたくなるんだよね。
「いいに決まってるよ。だって…」
僕はシルヴィの耳元で囁く。
「男がドレスを送るのは脱がしたいからだよ?僕はシルヴィをそれだけ求めているって事…わかった?」
シルヴィが真っ赤になる。
そんな可愛い婚約者をエスコートして、僕は予約してあるホテルに向かった。
【ロイド/スカーレット】
キンッ! カッ! ガキィィィン!!
王宮の訓練場で激しい攻防が繰り広げられている。
観客は居らず、一組の男女の剣と剣がぶつかり合う音だけが木霊する。
お互いが最後の一撃を打ち込むために距離をとった。
一呼吸の後、二人とも踏み込む。
力と力がぶつかり合い、その衝撃で両者の剣が折れた。
決着は引き分けのようだ。
「ロイ様、腕を上げましたね」
「レティにそう言ってもらえて嬉しいけど、ハンデを貰っているようではまだまだだな」
「でも短期間で目覚ましい成長ですよ」
そう言って、レティは両腕両足から5kgのアンクルウェイトを取った。
そう、実は20kgのハンデを背負って戦っていたのだ。
さすが辺境の剣姫である。
「でも最初に比べ、私も息があがってしまいました」
そう言って、レティがふらつく。
俺は慌ててレティを支えようとするが、俺も体力の限界だった為、たいした支えになれなかった。
二人とも、もつれるように倒れ込む。
……。
ん?唇に何か柔らかいものが触れている。
いい匂いもするし何だろう?と思い目を開けると、上にレティが乗っていた。
しかも唇が触れ合っている!!
コレは世間一般でいう、キ、キスと言うものでは!!
と思い固まっていると、レティがパッとどいた。残念!
「ロイ様!すみませんでした!!」
「いや、大丈夫。レティも大丈夫だった?」
俺は冷静を装って、レティを心配してみた。内心はパニックですけどね!!
「だ、大丈夫です。でも…」
「でも?」
「…キス、しちゃいましたね」
と言ってレティが恥じらう。
あ~〜可愛い可愛い可愛い!!可愛いの天才かよ!
嫌悪感を持たれてない事を確信した俺は、理性がぶっ飛んだ。
レティに近付くと、もう一度その唇に自分の唇を重ねたのである。
【アレクシス/クロエ】
「アレク?これで本当に執務がはかどるんですか?」
そう不満を漏らすのは、現在、俺の膝の上にいるクロエだ。
「はかどるよ。それに栄養補給として、クロエが作ってくれたチョコレートをクロエ自らが俺の口に運んでくれるなんて…、やる気しか出ないね」
まぁ、ヤる気かもしれないが…。
「それならいいですが…」
そう言って、クロエは渋々納得する。
本当はどこかに出かけたかったが、引継ぎやらなんやらでとても忙しい俺は、クロエを執務室に引っ張り込んだ。
おかげで執務はハイペースで処理されていった。
クロエも気を利かせて、差し入れを持って来てくれる。
とてもありがたい!しかもクロエの手作りらしい…。
愛を感じる…。
「それにしてもクロエのチョコ、すごく美味しいよ」
「本当ですか!嬉しい…。男の人にはちょっと甘すぎるかな?と思ったんですが」
「脳を酷使してるから、むしろこれくらいが丁度いいよ。ありがとう、クロエ」
「どういたしまして、アレク。こんな事ならいつでも言ってください」
そう、ニッコリとクロエが微笑む。
マジで天使か!!超癒やされる!
でも、そんな天使にイジワルしたくなってしまった…。
「クロエも食べる?物欲しそうな顔してるし」
「分かってしまわれましたか…。実は私はチョコに目がなくて…。お言葉に甘えさせていただきます。でも、アレクの分なので一つだけにしますよ!」
そう言ってチョコを取ろうとした手を掴み、クロエの口の中に口移しでチョコを捩じ込んだ。
「ん…。ふ…」
と甘美な声が漏れる。
「ね、甘くて美味しいでしょ?」
と、俺は妖艶に微笑んだ。クロエは、
「エロ王子…」
と言って、真っ赤になってしまった。本当に可愛い。
でも君にこんな顔をさせるのも、君がこんな顔を見せるのも、俺だけにしてね。
でないと、俺、何をするかわからないから。
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『という事で、充実した休みでした!殿下、ありがとうございました』
「うん、それは良かったね」
みんなの報告を聞いて、驚愕した。
イスターク、クリストフ、ヨハン、一線越えてるのかよ…。
そしてロイドはもう少し頑張りましょう。
to the next stage ……
アレクシス編はこれで終了です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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