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いつも読んでいただき、ありがとうございます!

各家からの抗議により、問題の攻略対象者たちにはそれぞれの当主から忠告がなされた。

ピリング教皇子息のマルクスとカイオム伯爵子息のダニエルは、自身に婚約者がいなかった事を受け止め、ミカエラ嬢とシルヴィア嬢に謝罪したらしい。

まぁ、保身と愛のムチの賜物だな。


マルクスはピリング教皇の養子だ。

聖職者のため婚姻は許されず、ピリング家は代々養子をとっている。そのため、マルクスの立場は盤石ではない。何かあればすぐに優秀な誰かに取って代わられてしまう。

その前に婚姻が許されない立場で、何故婚約者の存在を信じたのかは謎である。

そこは乙女ゲーム特有のご都合主義としておこう。

マルクスは教皇からその点を突かれた為、気付いたみたいだが…。まぁ、マヌケだな。


ダニエルは騎士団長の息子だ。

事態を知った騎士団長に愛のムチもとい、地獄のシゴキを受けたらしい。

こちらは、体にわからされた系だった。

何故、ダニエルが勘違いしたのかも原因がわかった。

姉のイザベラ嬢とシルヴィア嬢が親友のため、よく自宅にシルヴィア嬢が来ていたそうだ。

それをダニエルが、婚約者だから自分に会いに来ていたと勘違いしたのが発端らしい。

まぁ、リリア嬢の入れ知恵もあったんだろうがな。

辞職すると願い出た騎士団長を宥めるのが大変だった…。

まったく余計な仕事を増やしてくれる…。


ただ、エストワールとキルケニー侯爵子息のアランについては反省の色が無かった。

この二人、どうしてくれよう…。

第二王子と外務大臣子息ということもあり、懸念された隣国スパイに懐柔されている説は、ロイド調べでシロだという事が分かっている。

どれだけヒロインの呪いが強いんだ…。

乙女ゲーム、怖いな…。


デビュタントが間近に迫ったある日、影から再度報告があった。

それによると、リリア嬢が階段から突き落とされたと騒いでいるらしい。しかもあろうことか、クロエにやられたかもしれないと言っているとの事。

俺のクロエがそんなことするワケがない!

現場を見ていた影によると、彼女は叫び声をあげながら階段の下で倒れたようだ。

それをマルクスが見つけ、介抱したらしい。

そのため、一度は改心したマルクスとダニエルが、()()()()()()に協力的になった。

リリア嬢からイジメの詳細などを聞き出しているようだ。

まったく…、自作自演にもホドがある。

ここまでしてクロエを悪役令嬢にしたいとは…。


残念だが、リリア嬢にはこのシナリオから退場してもらおう。

そう…、俗にいうバッドエンドだ!


デビュタント当日、法務大臣のキマリエ公爵から声を掛けられた。アビゲイル嬢は本日のデビュタントを欠席するという内容だった。

そういえば刺客としてティーダ国に送っていたなと思い出し、了承する。

ただ何となく、キマリエ公爵が居心地悪そうにしていたため、理由を聞いてみる。


「実は…お恥ずかしい話なんですが、アビゲイルの妊娠が発覚しまして…。まだ安定期にならないため、長距離移動で何かあってはいけないと、ティーダ国の()()で安静にしています」

()()で?…という事はつまり、その相手とは…」

「はい。レオ王子です」


グッジョブ!アビゲイル嬢!!

きっちり役割を果たしてきてくれたようだ。

キマリエ公爵には申し訳ないけど、こちらの思惑以上の成果です!

今年、帰国する予定のアビゲイル嬢を逃さない為に孕ませるなんて…レオ王子、中々やるな。


「キマリエ公爵。全然恥ずかしい事では無いですよ!隣国の王室と縁が出来たんです。誇らしく思いましょう!それとも、レオ王子はアビゲイル嬢に辛く当たっているのでしょうか?」

「いえいえ、そんな事はございません!真綿で包むように大切にされているようですよ」


レオ王子、溺愛してるのか。


「でも、義姉になるマウラ姫が懸念ですね。彼女の気質を考えても何かされないでしょうか?」

「それも問題ないようです。マウラ姫もアビゲイルの事を気に入っており、子供が産まれるのをすごく楽しみにしているようですよ。レオ王子と競うようにアビーの介抱をしているそうです。アビーのおかげでマウラ姫の癇癪が無くなったと向こうでは大喜びしていて、さながら聖女のような扱いをされているみたいです」


すげぇなアビゲイル嬢!

それに公爵よ。娘を褒められて嬉しかったのか、後半は愛称呼びで娘自慢になってるぞ。

まぁ、なにはともあれ丸く収まって良かった。

これで逆ハーエンドは回避だな。


陛下への謁見が終わり、あとはパーティーを残すのみとなった。パーティーの入場順は高位貴族ほど後になる。俺とクロエは一番最後の入場だ。

ギリギリまでロイドと話し合いをしたかった為、控室は同じにしてもらった。


ロイドが惚けている。

着飾ったスカーレット嬢に魂を持っていかれてる様子だ。

スカーレット嬢は、胸元と裾に飴色で蔦のような刺繍を施してある濃いグリーンのシンプルなAラインのドレスだった。髪の毛は片側で緩く纏められ、品の良いバレッタが輝いている。

胸には瞳と同じ色の大粒のルビーが飾られていて、まさに高貴な薔薇のような出で立ちだ。


「独占欲丸出しのドレスね、お兄様。黙って感動していないで感想でも仰ったらどうなの?」


とクロエが指摘する。


「そういうクロエも殿下の独占欲丸出しのドレスじゃないか」


そう、ロイドに返される。

クロエのドレスはブルーのプリンセスライン。内側にいくほど薄い青に変わるグラデーションは、シフォンを重ねて作られている。所々に瞬くように小粒のダイヤが縫い留められており、首元には、イエローダイヤを連ねたネックレスが輝く。髪の毛はハーフアップにされ、まさに妖精姫だよね。

世界で一番可愛くて美しいな!!


「殿下は褒めてくださるわ」

「そうだともクロエ!この世のどんな美も君の前では塵も同然!人の域を超えたその美しさに、いつ妖精界に連れ去られてしまうのか私は気が気でないよ!だが、私もクロエを愛する者。妖精が立ちはだかろうが、そう簡単には連れ去らせはしない!」

「だそうよ…」


俺は跪いてクロエに愛を囁く。若干、クロエの目が死んでいる気がするが気にしない。

今日、婚約発表できるという事に俺も浮かれているのだ!


「ロイ様…。どうでしょう?どこかおかしな所はありませんか?」


スカーレット嬢がロイドに尋ねる。

もっと言ってやってもいいぞスカーレット嬢!着飾ったレディを称賛しないなんて、紳士の風上にもおけないからな!


「おっ、おかしな所なんてどこにも無いよレティ!…すごく、すごく綺麗だ」

「ありがとうございます!ロイ様も今日は前髪を上げているんですね。いつもの髪型も素敵ですが、今日は雰囲気が違うので…その…」


その様子は初々しいが、ここは口を挟ませてもらおう。

と思ったらクロエの気持ちも同じだった。


「エロいわよね!」

「うん、エロいな!」

「何その感想!!」

「ロ、ロイ様!男らしくてとっても素敵ですよ!!」

「レティ…」

「でも、レティ。エロいのはお兄様だけではなくてよ」

「そうだぞスカーレット嬢。二人合わせてエロいんだ」

「「え〜〜〜〜!」」

「だってお兄様のこの装いをご覧なさい。前髪を上げることで出る大人の男の色気、フォーマルなブラックタキシードにタイとチーフとカフスはレティの瞳色の真紅を使うなんて…夜の帝王と言っても過言ではないわね」


俺もうんうんと頷いた。


「そしてその横に抜群のスタイルを持つレティが立つのでしょう?エロい以外に言葉はないわ!」

「きっとお前達がこういった装いであることは予想できたからな…。会場の雰囲気をニュートラルに保つためにも、私とクロエは清涼感たっぷりの装いにしたのだぞ」


そう言う俺の装いは、ミルクティーベージュのタキシードに若葉色のタイとチーフとカフスであった。

クロエを意識しためちゃくちゃ好青年な装いである。


「何か、すみません」


とロイドに謝られた。

気にしてないさ。チートイケメンには敵わん!


「ロイド・ウィラー様、スカーレット・ミレン様、そろそろ御準備をお願いします」


案内係に名を呼ばれる。

俺とクロエは、笑顔で二人を送り出した。

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