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「FOUR SEASONS FEEL ―季節の恋を感じて―」、略して「四季恋(しきコイ)」、俺が日本にいた時に流行った乙女ゲームだ。

流行し過ぎて色々な商品ともコラボしていた。よくある話だが、ユーザー数が伸び悩んでいるスマホゲームがよくこのゲームとコラボしていた気がする。

俺のやっているゴリゴリの戦略メインのシミュレーションRPGもそうだった。メンテナンス後、乙女ゲームパートが追加されていた時は「誰得!?」と叫んでしまったほどだ。


そこでの攻略対象は俺やロイドではない…。

そう、俺達は攻略対象ではないのだ。

攻略対象は第二王子、侯爵子息、伯爵子息、教皇子息、隣国王子…。名前は忘れてしまったが確かこの5人だった気がする。待て、第二王子はエストワールか…。

彼等5人を乙女ゲームパートで攻略することで、強力な武器や魔法、アイテムが手に入るのだ。もちろん攻略キャラも使用できる。

そして、戦略パート。そこで俺とロイドが敵として登場する。めちゃくちゃイケメンなうえに、強さ設定が鬼だった。緻密な戦略、容赦無い攻撃、そして裏工作…。味方だと思っていた仲間に何度裏切られた事か…。みんなサクサク裏切ってくる。運営は完全にアレクシスとロイドに恋していた。


攻略サイトを読み漁り、どうにかこうにか攻略した時には今まで経験したことのない達成感があった。


この戦いに勝つとアレクシス王子が仲間になる。確か兄弟の和解という設定だったと思う…。ステータスをオープンした時、結構な強キャラだったので嬉しかった。5人まとめたような能力だったので、はっきり言って攻略対象者より強い。


しかし本当に恐ろしいのは「ロイド・ウィラー」という男だった。乙女ゲームパートで逆ハーエンドなるものを達成し、戦略パートで勝利を収めると仲間になる。この逆ハーエンドがクソ難しいため断念するプレイヤーが多い中、コラボ期間最終日に達成した猛者がステータスを動画に上げてくれていた。

結果、鬼を通り越して魔王…。能力がチートだった。あの仲間の裏切りは全てロイドの仕業だったのだ…。


難易度MAXだったが、イケメン2人のビジュアルはそのゲームが初出しだったこともあり、プレイヤーはめちゃくちゃ増えた。そういえば、あまりの人気ぶりに「四季恋(しきコイ)」の続編の話も持ち上がっていたな。


そのロイドが目の前にいる…。俺は震えた。

ロイドと知り合うきっかけになった宰相の手腕も思い出す。

ウィラー公爵家、本当に恐ろしい…。


「アレクシス殿下?どうされましたか?」

「いや、ちょっとボーッとしていただけだから」

「!!まさか…またお体が悪いのでは?」


ロイドが心配してくれる。まさか前世のお前を思い出し、恐怖していたとは言えない…。俺は慌てて話を変える。


「体はどこも悪くないよ。ただ、ずっと王宮にいるのもつまらないと思ってね…」

「そうでしたか…。それなら、我が家にいらっしゃいますか?」

「えっ!ロイドの家に?」

「はい。公爵家ならば陛下たちも安心かと…。父にも相談してみます」

「是非、お願いしたい!!よろしくロイド!」

「承りました」


ロイドは快く引き受けてくれた。

友達の家に行くなんてワクワクする。前世の学生の時以来だな。


1週間後、ロイドの家に行く日となった。王宮料理人に手土産のお菓子を作ってもらい準備を整える。前世の社会人の(さが)か、内ポケットに手帳をしまおうとして手帳が膨らんでいる事に気づいた。中を見てみると緑色の石のカケラが挟まっている。取り出そうとも思ったが、何故かその時、()()()()()()()()()()()()()という意識が働いたため、石ごと内ポケットに突っ込んだ。


馬車でウィラー公爵家へ向かう。

緑色の石を見てから、川田隆二ではない心がザワついている。なんとも言えない居心地の悪さを感じながら、俺は公爵家の門をくぐった。


玄関でロイドに出迎えられ、サロンに移動する。何をしようか、と話している時にノックの音が聞こえたので入室を促す。


「アレクシス殿下、本日はようこそいらっしゃいました」


ロイドの母親、ヴィクトリア・ウィラー公爵夫人が優雅に挨拶をする。そのあまりの美貌に、ロイドは母親似かと納得する。ミルクティー色の髪の毛は緩く巻かれ、群青色の瞳が美しい…。思わず見惚れていると、その後ろに小さい女の子が隠れているのを見つけた。


「クロエ、アレクシス殿下にご挨拶なさい」


ウィラー公爵夫人に促され、おずおずと前に出てきたのは妖精と見紛(みまご)うほどの美少女。夫人と同じく緩く巻かれたミルクティー色の髪の毛に、ロイドと同じエメラルドのような翠色(みどりいろ)の瞳。頬はほんのりピンクに色付き、小さくプルンとした唇が可愛らしい。


「アレクシス殿下、ご機嫌麗しゅう。クロエ・ウィラーと申します」


鈴を転がすような声を聞いた瞬間、衝撃が俺を襲った。そして、心の奥底からドロドロとした感情が湧き出る。


クロエ…私は君を絶対に逃さない……

クロエ登場。

やばいアレクシスも登場です。

趣味(笑)のタイトル回収も済ませましたが、もう少し続きます。

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