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天穿つヘリクゼン  作者: 紫 和春


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第29話 移動

 それから数日ほど。

 ゼシリュフク級もすっかり姿を見せなくなった。

 しかし、新国際秩序総会は油断していなかった。


「いよいよ、敵の本陣に突っ込むか」

「アレを使う時が来た」

「我々は、この戦いに勝利せねばならない」


 このように言うのには理由がある。

 それは、まだ地球の衛星軌道上に異星人の母艦が浮いているからだ。

 稼働している天文台や天文愛好家によって、その存在は認知されていた。

 そのため総会は、残った戦力を使ってこれを撃破しようとしたのだ。


「しかしだな。ヘリクゼンは使えるのか?」

「左様。先の戦闘では各都市を焼け野原にしたそうじゃないか」

「それだけ戦力としては十分ということだろう。今攻勢に出なければ新国際秩序に勝利はないだろう」


 そういって、正式にヘリクゼンに出撃命令が下された。


「それで、概要は?」


 一基が世話人に聞く。


「まず前提として、ヘリクゼンを大気圏外でも活動できるようにコックピット周辺を改造します。そのうえで、大気圏外へ進出し、高軌道の衛星軌道にいる異星人の母艦を破壊してもらいます」

「そ。そんで、どうやってその衛星軌道まで行くんだ?まさか単騎で行くとかじゃないでしょ?」

「その通りです。これに関してはこの方から説明していただきます」


 そういって出てきたのは、航空自衛隊宇宙作戦群の司令である一等空佐であった。


「では、簡潔に説明をさせていただきます。今回、一月一日(ねんが)戦術長には、とある飛行船に乗っていただきます」

「飛行船?まさか気球で宇宙に行くとでも言い出すのか?」

「いえ、あくまで空自の中でそう呼んでいるだけです。実際には海自との共同運用になります」

「海自も出てくる飛行船って、一体なんなのさ?」

「有り体な言葉で言うなら、宇宙戦艦です」

「宇宙戦艦?」


 一基の脳裏には、国民的人気アニメの、あの宇宙戦艦がよぎる。


「いままで極秘にされていましたが、ヘリクゼルを利用した、反重力推進機構搭載の深宇宙特殊攻撃艦というものが日米英共同で研究、建造されていました」

「『されていた』……というものが気になるな」

「現在建造は終了し、いつでも運用可能な状態になっています」

「なるほど。それに乗って宇宙に行けってことね」

「その通りです」


 一基は納得する。


「それで、その攻撃艦というのはどこにあるの?」

「琵琶湖湖底にて待機状態です」

「琵琶湖?」

「えぇ。湖底で建造されたのです」

「試験とか一切してないわけ?」

「指摘の通り、公試運転などの試験は行っておらず、反重力機構のテスト運転のみに留まっております」


 一基は頭を抱えた。


「……まぁ、とやかくは言わないけどさ」

「戦術長の言いたいことは、我々も分かってはいるつもりです」

「で、結局いつ出発なの?」

「ヘリクゼンの改造が終了すれば、いつでも行けます」

「分かった。とにかく、今は改造が終わるのを待つしかないってことね」


 そういって一基は立ち上がる。


「ま、あまり期待しないけど、せいぜい俺の足を引っ張ることだけはするなよ?」


 一基の鋭い眼光。

 そして一基は、部屋を出て行く。

 自室に戻る道中、一基は若干テンションが上がっていた。


「また戦闘ができる……!俺の独壇場だ……!」


 一基の足取りは軽かった。

 結局、ヘリクゼンの改造には三日三晩の時間が必要だった。

 コックピット周辺を空気が漏れないように密閉状態にし、さらにモジュールのようにさせる必要があるのだ。

 そして、その対策は一基本人にも行われる。いくら密閉状態であるとはいえ、宇宙空間に進出するのだ。簡易的な宇宙服は必要だろう。

 幸いにも、日本の企業が宇宙服の製造に関わっており、その技術が使えたのだ。この時代の宇宙服は機動性に優れ、かつ機能性も良い。

 コックピットでも邪魔にならない全身タイツ型の宇宙服は、まさに理想形と言ってもいいだろう。

 それらを数日で揃えた技術者には、頭が上がらない。

 そしてそれら一式を持って、ヘリクゼンは琵琶湖へと向かう。

 ヘリクゼン本機は簡単に輸送できないため、一基が乗り込み、陸路と空路に分かれて向かうことになった。

 琵琶湖のほとりにある、とある施設。

 そこには、つい最近完成したばかりの観光施設があった。

 道の駅のような風貌を持っている建物だ。実際に観光名所として使われている。


「で、こんな所に呼び出してどうする気なんだ?」


 一基は駐車場にヘリクゼンを座らせ、待機状態にさせている。

 そこに、先日の宇宙作戦群の司令がやってきた。


「お待たせしました。ヘリクゼンと車をあちらに向かわせてください」


 司令が指さしたほうには、琵琶湖にせり出した、巨大な倉庫のようなものがあった。

 シャッターで閉ざされており、異様な雰囲気を醸し出している。


「アレが湖底に向かう入口です」


 シャッターが開き、ただの空間が姿を表す。

 その中にヘリクゼンと車、そして関係者が入る。

 するとシャッターが閉じ、床全体が下へと下がり始めた。

 数分ほどすると、床の降下が終了する。

 そして再びシャッターが開くと、そこには巨大な空間が広がっていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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次回もまたよろしくお願いします。

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