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第1話 紹介

「皆さん、こんにちは。フラメタックスCEO、ヨーデット・アルデンテです。本日は、わが社の歴史について語りたいと思います。まずはわが社の歴史を語る上で欠かせない金属をご紹介しましょう。『ヘリクゼル』です」


 スポットライトに照らされたアンデルテのそばに、金属の塊が出現する。


「これは、わが社で開発された形状記憶超合金です。配合は企業秘密で話すことは出来ませんが、従来の形状記憶合金と異なる性質を持ち合わせています。それが、質量を無視した変形が可能だということと、ヘリクゼルからは純粋なエネルギーが放出されていることです。これにより、人類は無限の可能性を得ることが出来ました。今や人類の生活とは切っても切れない程浸透していることでしょう。その性質によって、簡単にエネルギーを取り出すことが可能となり、次世代のクリーンエネルギーとして重宝されています。現にヘリクゼルを用いた発電所も建造されており、その注目度はますます上がることでしょう。また、宇宙開発にも影響を及ぼし、人類の宇宙進出に拍車をかけることになりました。宇宙船に用いられる動力には、ヘリクゼルは欠かせないものになったでしょう」


 そういってアンデルテのバックスクリーンには、これまでのフラメタックス社の製品がズラリと紹介されていく。


「この超合金を発見・開発に乗り出したのが、わが社フラメタックスです。今や世界企業となったフラメタックスも、アリゾナ州の小さな町工場から始まりました。そんな町工場として創業を始めた時から、一貫して持ち続けている信念があります。それが『人類の発展に寄与する』ことです。このヘリクゼルを発見した社長は、人類文明に発展をもたらすと確信したそうです。そしてこの超合金を人類のために使おうと、わが社は総力を挙げてその利用方法を模索しました。まずはその展延性を利用して、加工の分野に用いることです。幸い、材料としては申し分にない程であったため、早速使われることになりました。初めは義足や義手として。そして今は、超小型化したコンピュータと共に使うことで生体チップとして利用すること等、トランスヒューマニズムを推進することが出来ました」


 アンデルテの横には、これまでのフラメタックスの商品が並べられる。


「これが、わが社の実績です。人類の発展に寄与する。これまでに幅広くやってきた事が、このように実を結んでいます。これまでも、そしてこれからも、人類の発展と未来のために、尽力していく事をお約束しましょう」


 こうしてアンデルテの演説は終わり、スポットライトが消える。

 しかし、再びスポットライトが当てられ、アンデルテが姿を現す。


「ここからは、社外秘の重要情報をお教えしましょう。日々の仕事をこなしている中で、わが社の義足を使っている患者が、ある現象に遭遇したというのです。それが、金属と生体の融合です」


 そういうと、バックスクリーンにその患者の写真が映し出される。


「この患者は、日本に住む男性です。わが社の製品である義足を用いたところ、生体と金属部が癒着したとの報告があがってきたのです」


 スクリーンには、膝から下が無くなった男性と、癒着したと思われる皮膚と金属部が映し出された。


「この現象を確認するのは、我々としても初めてです。そのため、専門の医療スタッフが現地に派遣され、素早く状況を分析しました。その結果、体にヘリクゼルが取り込まれた状態であることが判明したのです。しかし、これは見方を変えれば、画期的な発見でもあるのです。人類のさらなる進化、その可能性を秘めた現象とも言えるでしょう」


 そういってスクリーンには、人類の可能性を示したイラストが流れる。


「基本、金属と肉体は融合することはありません。しかし、これが示すことは、人類はまだまだ無限の可能性を秘めているということです。問題は、この現象が彼のみであるということでしょう。初めて発見されたことも重なり、これまでの常識が通用しない世界でありますが、人類の可能性を引き出すためには引き下がるわけには行きません。我々はこの男性の家族を一時的に保護することにしました。まぁ、名目上は保護ですが、事実上の監視下に置いている状態ですがね。それでも、かなりの情報を収集することが出来ました。最新の研究では、おそらくDNAが関係していると考えられています。そんなことが可能なのかと思われるでしょう。YESかNOかで言えば、YESです。現実として、量子力学的な分野では、人類の思考や観測が結果に影響を及ぼしているとされています。そうなれば、生物の肉体と融合する物質があってもおかしくないでしょう」


 そういってアンデルテのみにスポットライトが当てられる。


「本日のプレゼンテーションはいかがだったでしょうか?これから起こることは、人類の進化か、それとも一人の男の暴走か。皆さんの目で存分に確かめてください」


 そういってアンデルテは礼をすると、スポットライトが消えた。

ここまで読んでいいただき、ありがとうございます。

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次回もまたよろしくお願いします。

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