「ボティーガス墓地の一夜 ～屍を漁る類の魔女の話～」インテルメッゾ[バスク地方・魔女の3つの変奏曲] 第三変奏 沢山のゴミの山の中から天国の破片を見つけられる者は幸いだ
おお!!神がいないって？
悲劇の中、切に思う時こそさ、
僕らは、いもしない神を
魂に感じるべきなのさ
そりゃあ、試練に馬鹿親切な
説明書なんてついちゃいない
表面だけとりつくろって、
調子よくアーメンだけ言っても救われない世界さ
例え、救いがこの世界にないとしても、
それでも十字架にかけられたあの男がいた様に
ならば、十字架の上でこそ、どうか沢山の幸せを!!
そうじゃなきゃこの世界なんて
そうさ、ねぇ、ちっとも幸福じゃない!!
そりゃ絶望はあるさ
骨を折れば痛くて泣き叫ぶし、
いつまでも愛が傍にある楽園にいるわけじゃない
悲しいって結局ロマンだからもう会えない事こそが
ねぇ、本当なら最高にハッピーな筈なんだよね
支え切れない位の沢山の悲しみで
この糞ったれな世界は出来てるからこそ
私達のあの日の幸せに価値があるってわかってるかい？
僕ら十字架に縛られたまま、
幸せな夢を見てるんだ
おお、友人達よ!!
君が南極ガニに喰われたので、
君は蟹の血肉となり、もう
僕ら語り合うすべもない
それでも天国で
いつかひょっとして会えるのだろうか？
つまりさ、それでも救いは
本当はあるのかもしれない
だけど天国はいつだって都合のいい所にはないから
沢山のゴミの山の中から、ああ、天国の
破片を見つけられる者は幸いだ
世界は十字架の上で繰り広げられる喜劇だものな!!
つまりさ、それでもさ
僕は救いがあって欲しかったんだ
この世に、南極蟹の中に、若く死んだ君との思い出に、
そして、そうさ!!あなたにこそ!!
そうだろ？あなたにだって救いが!!
十字架の上に幸福はあったと言ってほしいんだ!!
この世の無数の悲しみを栄養にして、
ああ、僕達は今日も幸せを感じるんだ
イエス様、あなたは何処か知らない所で
陽気に楽しくやってるんだろう？
永遠の王国では陽気にさ
