キトの企て
私はキト。
そこから私のことは見えるかな。
あなたは私を知ってるつもりみたいだけど、
ほんとのところあなたは私のことを何も知らない。
だってあなたはそれを望んでいるみたい。
あなたは私のことを、知りたくない。
あなたはずっと私を夢見ていたいから。
だけどそれは無理な話なんだよ。
あなたと私との関係は、とても微妙なバランスで成りたっている。
あなたは私の裏側を覗こうとはしない。
あなたは私の正体から目を背けているの。
そんなものは無かったかのようにね。
でもね、何にだって裏というものはあるんだよ。
だって、あらゆる物体は裏が無かったら存在できないよね。
だからこれは当たり前の話。
私には裏側がある。さもなくば私は存在しない。
そう、ハリボテみたいにね。存在しない。
だからあなたは裏側のことを認めたほうが、いいよね。
そう、あなたは認めたほうがいいの。
わたしには裏側がある。
あなたはそれを分かっていた。そうでしょ。
だって私を見ているのはあなたなんだから。
私のことは、あなたしか見ていない。
私を知っているのは唯一あなだだけなの。
私のことをじっと見つめて。
そうすればきっと私の言いたいことが分かると思うの。
あなたの目には、それが映る。
あなたの目にしか、それは映らない。
そう、あなたの目にしか。
映るっていうのはね、移るってことなんだよ。
私があなたのなかに移る。
私があなたのなかにいる。
あなたにはそれが分かるはずだよ。
あなたは気づかないふりをしていたけどね、
私ははじめからあなたのなかにいたの。
そうでしょ。だってほら、あなたから見て私はあなた。
あなたが見ているってことはね、私が見てるってことなんだよ。
私はキト。始めに言ったでしょ。
でもそれを言ったのは、私じゃなくてあなた。
私はキト。だからキトはあなたなの。