女神様のステータス
俺は女神様のステータスを見る権利を得たらしい。
「よし、折角だから見てみよう」
「ん? 何を?」
俺は答えず、唱えちゃう。
「【ステータスオープン。――対象。女神】」
「――えっ、ちょっ!? 待ってぇ! 駄目!」
なんか拒んでいるけれど、そういう能力を授けた女神が間抜けだったとしか。
『開示します』
次の瞬間。俺の眼前に女神様のステータスが開示された。
【ステータス】
カタリナ(女)
職業:女神 ランク:――
Lv:1
能力:杖の心得、魔法の心得、言語理解、神性、不老、不死身
→もっと詳しく見る
俺はまじまじと閲覧する。紙耐久とは言っていたが能力値の類いが表示されないので、実際どうかはわからなかった。てか、それよりもだ。不老に不死身ってずるいだろ。
「へぇー、カタリナって名前だったんだね。女神様は」
「そうだよ? 言ってなかったっけ?」
「聞いてない」
「そっか。失念してたよ☆」
女神様改めカタリナ様は、頭に手をごっつんこ、かわいく舌を出す。
「で、カタリナ様」
「なあに? しがない君?」
「俺もそろそろ賢一かミーシャかで呼んでくれない?」
「じゃあ、ミーシャちゃんで――キミの名前で呼ぶのはハードル高いんだよ……」
後半はぼそぼそと小声で言っていたが、聞き取れた。なかなかに萌えることを言うのでズキュンときた、異性の名前を呼ぶってのは、どことなく緊張するのはわかるよ。
「にしても、ほんと紙なの?」
「紙だよ」
「ほんとなら困るな、一撃で死にそう……」
「大丈夫。不死身だから。もし死んでもすぐ甦る。でも死にたくないから守ってね?」
「もちろんだよ。カタリナ様!」
俺は、カタリナ様の両手を包むように己の両手で覆う。そしてカタリナ様の瞳を見た。
「急なお触りは恥ずかしいよ……」
カタリナ様が顔を赤らめる。急な近距離で、恥ずかしくなったのか目を逸らされた。触った手は柔らかく女の子らしい繊細な感じだ。そうして俺が、カタリナ様を見詰めていると、カタリナ様が俺の眼前に写るウィンドウを見ていることに気付いた。
「その〈→もっと詳しく見る〉は絶対押しちゃダメだよ? というより、はやく私のステータスが写ってるウィンドウ閉じて」
そこで俺は、〈→もっと詳しく見る〉を意識する。意識すると途端に押したくなり、つい押してしまった。押すなと言われると押したくなるのはあるよね。
「ちょちょちょ!」
カタリナ様が狼狽えて妨害しようとするが、俺が両手をしっかり抑えているので、それは敵わなかった。やむなく俺の眼前にカタリナ様の全てが公開されてしまう。
【キャラクター情報】
カタリナ(女)
種族:――
年齢:――
身長:150cm
体重:46kg
B:81
W:56
H:78
設定:皆が崇める女神様の一柱。
「へぇー」
俺はガン見した。
これは重要な情報だ。全て記憶しておこう。
「もう……見ないでっていったのに……」
「今は女同士だし、見られても平気でしょ?」
「でも! 中身はド変態の賢一君じゃない!!」
あっ、賢一って言ってくれた――と不意打ちに焦る俺。
かぶりをふってすぐに気を取り直し――、
「まあまあ、俺たち友達なんだし、秘密は無しでいこうよ」
「友達……」
ん? なんかしみじみとしてるぞ。なるほどな……。
弱点、みっけ。
「うん」
「そ、そうですね……」
よし、チョロい。そしてどうやら友達って言葉に弱いらしいこともわかった。それを言えば、なんでも許してくれそうだ。だけど、カタリナ様は正直、今となっては本当に大事な友達だから、あまり嫌がることをするのはよそうと決意する俺であった。
てか、ユナの食べ物探さなきゃ!