3章 死因
3章 死因
妹の死因は不明との事だった。
不明という言葉は何故か彼を駆り立てた。
それまで長い間、死について考えていた彼がようやくそれ以外のことに関して考え始めた。不明とは。別に銃殺されたわけでもなく、毒殺されたわけでもなく、普通なら脳梗塞とか心臓麻痺とかそういう話ではないのだろうか。彼はそんなことを考えながらも友人と平凡すぎる週末を迎えた。両親のダメージは消えていないようだったが、いつもの様に夕食後に部屋に帰る。そして寝るまでの間に動画を見ていた。ふと部屋の電気が消えていることに気づく。そして電気をつける。
そこには一人の女が立っていた。
「どちら様ですか」
彼は問いかけた。
「こんばんは。あなたの妹の死因について伝えに来た者です。あなたの妹の死因ですが、脳の一部が破損…と言うよりは消失していたことが原因と思われます。尚、死因不明に関してその調査に関わった人間は全員嘘をついていません。」
よく分からない言葉を女は話す。
「ではその情報はどこで得たものですか。」
「それに関してはお答え出来ません。申し訳ありません。お詫びと言ってはなんですがお見舞いも兼ねて貴方に渡したい物があります。」
そう言うと女はミサンガをベッドに横たわる彼に手渡した。
「これは何ですか。」
と問いかける。
「貴方が昔身につけていた物です。遅くなってしまいましたが、お渡ししておきます。是非身につけて下さい。それでは私は失礼しますね。」
女はそう言い残し、部屋を後にした。
彼は翌日両親に問おうと思いながら眠りについた。