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編まれゆく

柔らかいしか知らない

作者: 朝森雉乃

春 らんまんのそよ風は

しずかに髪をなでてゆく

おととい死んだアメショーのみゃーが

おかえしにくれた柔らかさ


梅雨 どんよりと灰色は

たれこめながら落ちないで

おととい届いたモンゴルからの恋文が

ほんのり湿る柔らかさ


夏 さんぜんとまぶしくて

潮騒と遊ぶカモメの子

おととい買った水着のひもを

ほどいてしまう柔らかさ


秋 あのイチョウの大木は

ひらくるくると葉を散らす

おととい約束したデート――というか散歩を

じゃまする雨の柔らかさ


冬 ことしは雪が降らない

白くて冷たくて清くてもそれを雪と呼んではいけない

おととい降った世界の光を

こおりつかせる柔らかさ


(フィスト)のように厳しくて

(ビースト)のようにトゲトゲで

ねじれ(ツウィスト)のようにまどろこしくて

聖職者(プリースト)のようにうそつきで


厳冬 つま先がさまよう

しらない小鳥がせわしく鳴く

おととい編み終わったマフラーの

やり場に困った柔らかさ


それが初めて(ファースト)の柔らかさ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 言葉の選び方ももちろんなのですが、韻のふみ方が素晴らしいなと思いました。
2017/04/29 22:06 退会済み
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